ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

152回日商簿記2級の解答について~第1問 仕訳問題②~

第1問の2 固定資産の分割払い

問 ×年4月1日、商品陳列棚を分割払いで購入し、代金として毎月末に支払期日が順次到来する額面¥150,000の約束手形10枚を振り出して交付した。なお、商品陳列棚の現金購入価額は¥1,440,000である。

 

固定資産を手形で購入したときには、営業外支払手形(負債)で処理します。勘定科目一覧に「支払手形」がある場合は、間違える可能性があるのですが、今回はリストにはないので、一覧表見ないで解いてしまったというミスがなければ、特に間違える要素はなかったと思われます。

備品の正味価額は、現金購入価額¥1,440,000になります。また、支払いのため約束手形¥150,000×10枚発行しているので、まずは以下の仕訳となります。

(備品)1,440,000/(営業外支払手形)1,500,000

差額は、完済時までの利息相当分となります。したがって、支払利息(費用)で処理することとなります。

*正解の仕訳*

(備品)1,440,000/(営業外支払手形)1,500,000

(支払利息)60,000

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第1問の3 商品保証引当金

問 ×年3月31日、決算にあたり、前年度に販売した商品に付した品質保証期限が経過したため、この保証のために設定した引当金の残高¥36,000を取り崩すとともに、当期に品質保証付きで販売した商品の保証費用を当期の売上高¥18,500,000の1%と見積もり、洗替法により引当金を設定する。

 

商品保証引当金(評価勘定)とは、家電などを購入するときに保証書をもらいますが、その保証期間中に故障が起きた場合には、売主側が無償で修理しなければならないため、そのための引当金となります。

まず、前段の部分です。洗替法のため、前年度に設定してある商品保証引当金36,000円を一旦戻します。引当金を戻し入れるときには、共通して「○○引当金戻入」(収益)の勘定を使います。今回は、商品保証引当金戻入(収益)で処理します。

*戻入時の仕訳*

(商品保証引当金)36,000/(商品保証引当金戻入)36,000

 

続いて、今期の引当金を設定します。こちらも設定する場合には、共通して「○○引当金繰入」(費用)の勘定を使います。今回は、商品保証引当金繰入(費用)で処理します。

商品保証引当金の計算:18,500,000円×1%=185,000円

*設定時の仕訳*

(商品保証引当金繰入)185,000/(商品保証引当金)185,000

 

以上を組み合わせたものが、今回の答えとなります。

*正解の仕訳*

(商品保証引当金)36,000/(商品保証引当金戻入)36,000

(商品保証引当金繰入)185,000/(商品保証引当金)185,000

 

ちなみに差額補充法で仕訳を行った場合を掲載しておきます。

*差額補充法で設定した場合*

(商品保証引当金繰入)149,000/(商品保証引当金)149,000

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コメント

ここからは勉強法となりますが、結果がどうであれ試験を終了した後は、その日の17時ごろには、いろんなところで解答速報が出ます。必ず、きっちりと復習をしましょう。

合格発表日までは受験生のスタイルを崩さないようにしてください。万が一、合格していると思って、合格発表日までに勉強をしていなくて、実は落ちてしまったという結果になってしまった場合、その期間の記憶を取り戻すのは、至難の業です。

全開までいかないまでも、最低限の復習は怠らないようにするのが、資格合格への近道です。休むのは、合格を手にしたときにしましょう。これは、簿記だけでなく、他の資格にもいえることです。

ランク付けするとすれば…

上策:解答速報を確認し、解き方などの詳細まで復習する。

中策:解答速報の答えだけ確認する。

下策:試験が終わって、モチベーションが一気に下がったから何もしない。

最低でも試験当日だけ休んで、次の日からは気持ちを切り替えて勉強に臨みましょう。

 

この期間中については、行政書士マーズオフィス個別指導部として宣伝もさせていただきます。弊事務所では、簿記講座をはじめとする社会に使える資格を個別指導方式で教えています。この簿記2級の本試験問題については、「日商簿記2級実戦編」として北海道旭川市近辺の方を対象に行っていますので、よろしくお願いいたします。

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152回日商簿記2級の解答について~第1問 仕訳問題①~

6月9日 152回日商簿記が実施されました。受験生の方、お疲れさまでした。今回は、拍子抜けのように簡単でした。特に難しい論点はなく、過去数回受験された方は、何だったんだと思われるのではないでしょうか。

個人的に自分の娘も受験しましたが、商業高校なのに毎回、受験時期とテスト時期が重なるという嫌がらせにあっています。結局、内申の方が大事なので、中間テストの方を優先にしたようです。何度もそんな状況では、いっそのこと卒業してから受けた方がよさそうです。

さて、以前の予想の結果からお伝えします。

 

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 予想結果について

第1問 仕訳問題 ①有価証券の売却、②固定資産の分割払い、③商品保証引当金、④外貨建取引、⑤会社設立時の新株発行

第2問 個別論点 現金預金(銀行勘定調整表、現金棚卸)

第3問 財務諸表 貸借対照表税効果会計

第4問 工業簿記 部門別個別原価計算

第5問 工業簿記 標準原価計算

今回は、マーズとしましては、4問中2問の的中率でした。普通は、4問中1問当たればいい方なので、大健闘だったと自画自賛しています。

そして、久々に2連続で部門別計算が出ました。しかし、前回、合格できなかった人にとっては、アドバンテージがあるはずです。また、部門別計算については、通常の個別原価計算よりは簡単な論点になっているため、合格率はおそらく上がるのでは、と予想しています。

今週から続けて、日商2級の解答について、お話ししていきたいと思っています。

第1問の1 有価証券の売却

問 ×年12月1日、売買目的で保有している額面総額¥1,000,000の社債(利率年0.365%、利払い日は3月末と9月末の年2回)を額面¥100につき¥98.90の価額(裸相場)で売却し、売却代金は売買日までの端数利息とともに現金で受け取った。なお、この社債は×年9月1日に額面¥100につき¥98.80の価額(裸相場)で買い入れたものであり、端数利息は1年で365日として日割で計算する。

 

まずは、購入時の価額を計算しなければなりません。

1,000,000円の額面を100円につき…というところで100円の社債を10,000口購入していることがわかります。

そして、問題文から98.80円で購入しているので、以下の式で購入価額が出ます。

式)98.80円×10,000口=988,000円

新規発行の購入なら特に問題ありませんが、発行後の途中で購入した場合には受け取る金額から端数利息が差し引かれます。ただし、今回関係ないのでここは飛ばします。

*購入時の仕訳*

(売買目的有価証券)988,000/(現金など)988,000

 

そして、売却時には、98.90円に値上がりしているため、1口につき0.1円の利益が出ています。利益分は、有価証券売却益(収益)で処理します。

式)0.1円×10,000口=1,000円(利益分)

*売却時の仕訳*

(現金)989,000/(売買目的有価証券)988,000

          (有価証券売却益)1,000

 

さらに、9月1日~12月1日までの利息を受け取ることができるので、端数利息の計算が必要となります。受け取る利息は、有価証券利息(収益)で処理します。

端数利息の計算は、元金×利息×経過日数/365日となります。うるう年では出題されることはないと思いますので、この式で大丈夫です。

そして、経過日数の計算は、その計算ひとつで4点マイナスになってしまう最重要論点です。暦の覚え方で、31日以外の月は「西向く侍(2・4・6・9・11」で覚えてしまいます。2月は通常28日、それ以外は30日となっています。

また、中途半端な日での計算には要注意です。例えば9月16日が購入日で、9月だけの日数を計算するとき、9月は全部で30日ですから、30日-16日とすると、16日が含まれなくなるので+1する必要があります。自信がなければ、指折りで数えましょう。そうすると、この答えは15日となります。

問題に戻ります。まず、直近の利払日の翌日を起点としなければならないため、問題文からそれを読み取ります。今回は、9月末が利払日となっていますので、その翌日10月1日が起算点となります。10月1日~12月1日(売却日)は、31日(10月)+30日(11月)+1日(12月)の計62日が経過日数となります。

式)1,000,000円×0.365%×62日/365日=620円

最終的な仕訳は、以下のとおりです。

*正解の仕訳*

(現金)989,620/(売買目的有価証券)988,000

          (有価証券売却益)1,000

          (有価証券利息)620

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この期間中については、行政書士マーズオフィス個別指導部として宣伝もさせていただきます。弊事務所では、簿記講座をはじめとする社会に使える資格を個別指導方式で教えています。この簿記2級の本試験問題については、「日商簿記2級実戦編」として北海道旭川市近辺の方を対象に行っていますので、よろしくお願いいたします。

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決算整理仕訳その6

今回は、会社にかかる税金である法人税等の計上です。法人税等の正式な名称は、「法人税、住民税及び事業税」となります。だいぶ前は、「法人税等」でよかったのですが、最近の試験では、この長い勘定科目を使っています。

2級の本試験では当期純利益の30%か40%を自分で計算するのですが、3級だと具体的な法人税等の数字が与えられているようです。この法人税等と消費税については、2019年4月から2級から3級に降りてきた項目です。

 

納付の流れとしましては、決算が年1回の会社の場合、会計期間の途中で6か月分の概算額を申告納付します。これを中間納付といいます。

中間納付の処理は、仮払法人税(資産)で処理します。

 

例)法人税の中間申告を行い、税額50,000円を現金で支払った。

(仮払法人税等)50,000/(現金)50,000

※前回の仮払消費税と勘定科目が似ているので、間違えないように注意しましょう。

 

そして、最終的に決算日に法人税等の金額が確定したときには、仮払法人税等の金額を差し引いた額を未払法人税(負債)で処理します。確定した金額については、法人税、住民税及び事業税(費用)で処理します。

※先述のとおり、第1問の仕訳問題では、受験生にこの長い科目を書かせておきながら、第5問などの決算書の問題では、法人税等で表示されている場合があります。

 

例)決算の結果、当期の法人税等が125,000円と確定した。なお、中間納付額50,000円が、仮払法人税等として計上済みである。

法人税、住民税及び事業税)125,000/(仮払法人税等)50,000

           /(未払法人税等)75,000

 

法人税の未払額を納付書で支払った場合は、未払法人税(負債)を減少させて、ゼロにします。

 

例)未払法人税等75,000円を現金で支払った。

(未払法人税等)75,000/(現金)75,000

 

以上で、決算整理仕訳が終了しました。続いては、精算表を作成後、精算表に基づいて決算書を作成していきます。

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決算整理仕訳その5

決算整理仕訳の最後2つは、税金の処理です。

消費税の納付額の計算

まずは、期中の消費税の処理については、過去の記事をご覧ください。

 

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消費税を受け取った場合には、仮受消費税(負債)で処理し、消費税を支払った場合には、仮払消費税(資産)で処理します。 

そして、3月31日に決算整理仕訳で精算を行った上で、2通りのパターンにより処理が分かれます。

①仮受消費税>仮払消費税のとき

商売が順調にいっているときは、当然売り上げの方が大きくなるので、受け取った消費税の方が多くなります。仮受消費税から仮払消費税を差し引いた分だけ、多く税金を受け取っているので、その分納税義務が発生します。

このとき、確定した金額は、未払消費税(負債)で処理します。

 

例)決算において、消費税の納付額を計算する。なお、仮受消費税は2,400円、仮払消費税が800円であった。

まずは、仮受消費税はホームポジションが貸方にあるので、借方に記入することで残高がゼロになります。

(仮受消費税)2,400/

 

同じように仮払消費税も借方に記入して、残高をゼロにします。

(仮受消費税)2,400/(仮払消費税)800

 

そして、その差額が未払消費税となります。

(仮受消費税)2,400/(仮払消費税)800

          /(未払消費税)1,600

 

また、納付書で金融機関に現金で支払ったときは、

(未払消費税)1,600/(現金)1,600

となります。

 

②仮受消費税<仮払消費税のとき

仮受消費税より仮払消費税の方が多いときは、その分、申告をすれば、税金が戻ってくることになります。この場合、未収消費税(資産)または未収還付消費税(資産)として処理します。

 

例)決算において、消費税の納付額を計算する。なお、仮受消費税は800円、仮払消費税が2,400円であった。

(仮受消費税)800/(仮払消費税)2,400

          /(未収消費税)1,600

 

また、申告をしたのち、指定口座(例:普通預金)に振り込まれたときは、以下の仕訳となります。

(未収消費税)1,600/(普通預金)1,600 

 

決算整理仕訳その4~③収益・費用の未収・未払い(見越し)~

収益の未収

収益の未収があるときは、未収収益(資産)で処理をします。また、具体的な内容として、未収地代(資産)や未収利息(資産)などを使う場合もあります。

 

例えば、A社からB社へ、×1年7月1日に現金500,000円を貸し付けた場合(貸付期間1年、年利率2%、元利金ともに返済時に支払、会計期間4月~3月)、7月から3月までは、実際に何も受け取ってはいないが、利息としては発生しているべき期間となるので、当期分に計上しなければなりません。

 

7月に現金を貸し付けた場合の仕訳(A社側の取引)

(貸付金)500,000/(現金)500,000

 

3月31日に未収収益を計上する場合の決算整理仕訳

9か月分の利息:500,000円×2%×9か月分/12か月分=7,500円

(未収収益)7,500/(受取利息)7,500

または、

(未収利息)7,500/(受取利息)7,500

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翌4月1日の再振替仕訳

(受取利息)7,500/(未収収益)7,500

または、

(受取利息)7,500/(未収利息)7,500

返済日の仕訳(参考)(小切手で受け取った場合)

(現金)510,000/(貸付金)500,000

          (受取利息)10,000

※再振替仕訳により、受取利息は-7,500円からスタートしており、返済日に10,000円受け取ると差引2,500円(4月から6月までの3ヶ月分)が×2年度の計上となります。

費用の未払い

費用の未払いがあるときは、未払費用(負債)で処理をします。また、具体的な内容として、未払地代(負債)や未払利息(負債)などを使う場合もあります。

 

上記の例(B社側)で説明すると、7月から3月までは、実際に何も支払ってはいないが、利息としては発生しているべき期間となるので、当期分に計上しなければなりません。

 7月に現金を借り入れた場合の仕訳(B社側の取引)
(現金)500,000/(借入金)500,000

3月31日に未払費用を計上する場合の決算整理仕訳

(支払利息)7,500/(未払費用)7,500

または、

(支払利息)7,500/(未払利息)7,500

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翌4月1日の再振替仕訳

(未払費用)7,500/(支払利息)7,500

または、

(未払利息)7,500/(支払利息)7,500

返済日の仕訳(参考)(小切手で支払った場合)

(借入金)500,000/(当座預金)510,000

(支払利息)10,000

※再振替仕訳により、支払利息は-7,500円からスタートしており、返済日に10,000円受け取ると差引2,500円(4月から6月までの3ヶ月分)が×2年度の計上となります。

まとめ

3回にわたって、前受・前払い(繰り延べ)、未収・未払い(見越し)をやってきました。似たようなものが4種類あるので、受験生にとっては、それが借方なのか貸方なのかわからなくなることがあります。

この場合、前とつくものは、元の勘定科目(例でいえば、受取地代・支払地代)を差し引くものだと考えれば、比較的どちらに書くべきものなのかを理解することができます。同じく、未とつくものは、元の勘定科目(例でいえば、受取利息・支払利息)を足すものと考えることです。

 

今回の例の支払利息7,500円の未払い計上について、支払利息のホームポジションは、借方です。よって、「未は足す」ので、まずは、借方に支払利息7,500円を記入します。

(支払利息)7,500

そして相手勘定に未払費用または未払利息を記入すると、正しい仕訳になります。

(支払利息)7,500/(未払費用)7,500

または

(支払利息)7,500/(未払利息)7,500

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決算整理仕訳その4~②収益・費用の前受け・前払い(繰り延べ)~

収益の前受け

収益の前受けがあるときは、前受収益(負債)で処理をします。また、具体的な内容として、前受家賃(負債)や前受利息(負債)などを使う場合もあります。

例えば、賃貸会社(会計年度4月~3月)が9月から1年分の地代360,000円(1か月分30,000円)を現金で受け取った場合、9月~3月までは、当期分の収益となりますが、4月から8月までは、まだ実現していない利益なので、当期分から除く必要があります。

9月に現金を受け取った場合の仕訳は、

(現金)360,000/(受取地代)360,000

となります。

 

このうち、4月から8月までの5ヶ月分は次期の収益なので、その分を繰り延べます。

5か月分の地代:30,000円×5か月分=150,000円

(受取地代)150,000/(前受収益)150,000

または

(受取地代)150,000/(前受地代)150,000

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決算が終わったら、再振替仕訳をして元に戻します。

(前受収益)150,000/(受取地代)150,000

または

(前受地代)150,000/(受取地代)150,000

費用の前払い

費用の前払いがあるときは、前払費用(資産)で処理をします。また、具体的な内容として、前払家賃(資産)や前払利息(資産)などを使う場合もあります。

先ほどの例を立場を逆にして、支払う側で考えてみます。

当会社(会計年度4月~3月)が9月から1年分の地代360,000円(1か月分30,000円)を小切手で支払った場合、9月~3月までは、当期分の費用となりますが、4月から8月までは、まだ実現していない費用なので、当期分から除く必要があります。


9月に小切手で支払った場合の仕訳は、

(支払地代)360,000/(当座預金)360,000

となります。

このうち、4月から8月までの5ヶ月分は次期の費用なので、その分を繰り延べます。

5か月分の地代:30,000円×5か月分=150,000円

(前払費用)150,000/(支払地代)150,000

または

(前払地代)150,000/(支払地代)150,000

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これも決算が終わったら、再振替仕訳をします。

(支払地代)150,000/(前払費用)150,000

または

(前払地代)150,000/(支払地代)150,000

決算整理仕訳その4~①収益・費用の前払い・前受け、未払い・未収の概要説明~

収益・費用の前払い・前受け、未払い・未収

2019年3月までは、収益・費用の繰り延べ・見越しというタイトルでよかったのですが、わかりづらいということで言葉遣いが変更になりました。

これで、どれだけ受験者の負担が軽減されるか分かりません。

保険料とか会費とか、4月の期首ではない中途半端な時期に支払うと、次期の分まで含まれてしまいます。たとえば、保険料12,000円(1か月分1,000円)を8月に1年分支払うと、8月~3月分の8か月分が当期の費用、4月から7月の4か月分が次期の費用となります。何もしないと次期の費用まで当期の費用となってしまうので、次期の費用を減らす作業をしなければなりません。これを費用の繰り延べといいます。

先払い(先払いする方は前払い、先払いを承諾する方は前受け)をすると、繰り延べの処理が必要になります。

それとは逆に後払い(後払いする方は未払い、後払いを承諾する方は未収)をすると、見越しの処理が必要になります。

そんなわけで、見越しの方は「見」の部分を「未」に変えて、覚えてくださいという記憶方法があったのですが、使えなくなったのが残念です。

 

ところで、以前「未収入金と未払金、前受金と前払金」をお話ししましたが、覚えていますか?

 

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 それと今回のテーマ、「収益・費用の前払い・前受け、未払い・未収」。微妙に名称が違うことにお気づきでしたか?最初に「収益・費用の」というのがついています。

単発で買い物をしたり、取引をしたときは、前回の勘定科目を使います。しかし、保険料や家賃収入など継続的に行われる取引についての収益や費用については、「未収入金・未払金、前払金・前受金」の勘定科目は使用しません。

代わりに「未収収益・未払費用、前払費用・前受収益」という勘定科目を使います。

ここは、3級の本試験でも受験生を悩ませるテーマとなっています。そして長くなりそうなので、次回、ひとつずつ説明していきます。

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