経費(費目別計算)
今回は、費目別計算の3つ目経費に関して解説していきます。
経費の分類
経費とは、材料費と労務費以外の費用をいいます。経費もまた、以下の区分によって分類されます。
①支払経費
②月割経費
③測定経費
④発生経費
①支払経費
その月に支払った金額を消費額とする経費をいいます。
支払経費には、外注加工費や修繕費などがあります。
外注加工費は、自己の工場で作業をするよりも、他の工場や企業に依頼することで、作業の効率化や経費の節減となる場合に発生する費用です。外注はアウトソーシングともいいます。
②月割経費
一定期間(1年や半年など)の発生額を計算し、月割に計算し直した金額をその月の消費額とする経費をいいます。
月割経費には、工場の減価償却費や賃借料などがあります。
③測定経費
メーターなどで検収した消費量をその月の消費額とする経費をいいます。
測定経費には、電気代や水道代、ガス代などがあります。
④発生経費
その月の発生額を消費額とする経費をいいます。
発生経費は、棚卸減耗費や仕損費などがあります。
このうち、外注加工費は直接製品にかかった費用が明らかになるので直接経費となります。これ以外に特許権使用料についても製品を製造するのに必要なものですので、直接経費となります。2級で試験範囲となるのは、この2つだけですので覚えておきましょう。それ以外は、すべて間接経費となります。
経費を消費したとき
経費の処理方法は2通りあります。ひとつは経費(費用)を用いて処理する方法と、経費勘定を用いないで、外注加工費や減価償却費など個別の勘定科目を用いる方法があります。
試験的には、経費勘定を用いないで処理する方法が一般的ですので、そちらで解説していきます。
例)当月の経費を計上する。
外注加工費10,000円、水道光熱費3,000円、減価償却費2,200円
(仕掛品)10,000/(外注加工費)10,000
(製造間接費)5,200/(水道光熱費)3,000
(減価償却費
)2,200
有価証券その3~有価証券の売却など②~
今回は、有価証券の売却についてです。株式などの有価証券については、上場企業であれば東京株式市場において、常に値動きしています。
そのため、購入時の単価と売却時の単価は異なります、売り値が上がれば、利益を得ることができます。逆に売り値が下がれば、損をしてしまいます。
利益があったときは、その差額を有価証券売却益(収益)として計上し、損失があったときには、有価証券売却損(費用)として計上します。
また、当期において2回以上同じ銘柄を購入した場合には、平均原価法が使われます。
平均原価法とは、取得原価の合計を購入株式数の合計で割った平均単価で株式の単価を記帳する方法です。その他に移動平均法が用いられる場合がありますが、商品有高帳のところで確認しておいてください。
例)売買目的で購入したX社株式100株のうち40株(@200円)で売却し、代金は月末に受け取ることにした。
(期中の取引)
5月10日 X社株式 50株(@180円)
10月22日 X社株式 50株(@195円)
平均単価:@180円×50株+@195円×50株/50株+50株=@187.5円
売却時の帳簿価額:@187.5×40株=7,500円
売却価額:@200×40株=8,000円
売却利益:8,000円-7,500円=500円
*仕訳*
(未収入金)8,000/(売買目的有価証券)7,500
/(有価証券売却益)500
民法改正その7~契約不適合担保責任~
マイホームの購入は、一個人にとっては人生最大の買い物です。その家に住み始めた以降に欠陥に気づいたときは、どうすればいいのでしょうか?
普通に考えれば、修理をしてもらうのですが、最初の契約で何年かは無料で修理してくれるところもあります。ただ、これも民法からの要請ではありません。
現行の民法では、対象物の購入後、知らなかった欠陥を発見した場合(隠れた瑕疵)には、契約解除か損害賠償請求のみとなっています。お金払うから、自分で業者見つけてね!ということになります。
知らなかった欠陥ということなので、搬送途中の微量のキズなんかは、最初から説明を受ける場合があります。かすり傷まで損害賠償されては業者も大変なので、最初に告げてその部分は免責してもらうのです。
「こんなところにシミが!」とか小姑のように指摘されては、建物や車なんて売ることができないので、軽微なキズに対しては、そこまではおおごとにする必要がないということになります。
大体はハウスメーカーの方で対応してくれるので、あまり不便には感じないのですが、民法ではそれしかないので、現状に合った対応をしましょうということに変更になりました。
隠れた瑕疵から契約不適合へ
冒頭で話した通り、「隠れた瑕疵」なので、建物だと契約時や内見のときにここにはキズとか黒ずみが少しありますがなどと事前に話しておけば、その時点で飼い主に買うか買わないか判断してもらう形になるので、買った後にごねても、「それを承知で買ったんでしょ?」ということになるので、売主の責任は必要ありません。
ところが、今回の改正で「隠れた瑕疵」という文言がなくなりました。売買の目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しない場合は、「契約不適合」として売主が責任を負わなければならなくなりました。
まぁ、契約書に瑕疵の文言を入れてしまえば、契約に沿った内容となるので、また別の話になりますが…。
買主から売主への責任追及
契約不適合のモノを引き渡された場合にどうなるか?今までのも含めてひとつずつ説明します。
①履行の追完請求(新)
・欠陥があったときは、修理を請求できます。
・代わりが用意できるものであれば代替品と取り換えてもらうように請求ができます。
・数量が少ないときは、不足分を引き渡してもらうよう請求ができます。
・頼んだものと若干違うタイプのものを引き渡されたときは、正規品と交換してもらうよう請求ができます。
など
②代金減額請求(新)
欠陥や数量不足、種類の違いにより、売主が正規品や代替品が用意できなかったり、買主がそれでもいいよって我慢する代わりに代金を値引きしてもらうよう請求できます。
③損害賠償請求
不適合品によって損害が生じた場合は、お金で解決することができます。
④契約の解除
使い物にならないほどの不適合品を引き渡されたときは、契約を無かったことにすることができます。
これらの項目は、買主が選ぶことができます。そして、たとえば雨漏りのせいで家財道具が使い物にならなくなった場合は、雨漏りの修理の請求と家財道具に対しての損害賠償を重ねてすることができます。
どれも今では当たり前すぎて「あっ、そう?」て感じですが、現代にあわせた改正となっています。
労務費(費目別計算)その2~予定賃率~
材料費のところで予定消費単価のお話をしましたが、労務費についても人件費予算を立てている企業や工場がほとんどだと思います。
年度初めに1年分の人件費予算を立てておいて、年間作業時間で割ると単価が出てきます。このときの単価を予定賃率といいます。だいたい内容は材料費と同じ作業になります。
賃金を消費したときの処理
例)当月の直接工の賃金消費額を計上する。なお、当月の直接工の作業時間は40時間(すべて直接作業時間)であり、予定賃率は@220円で計算する。
こちらも材料費と同じように賃金(費用)として処理します。
賃金の予定消費額:@220円×40時間=8,800円
(仕掛品)8,800/(賃金)8,800
月末時の処理
月末に実際消費額が判明したら、予定消費額と比較して、その差額分を賃率差異として処理します。
例)当月の実際消費額は8,000円(実際賃率@200円)であるが、予定消費額8,800円(予定賃率@220円)で計上している。なお、当月の直接工の実際直接作業時間は40時間であった。
予算よりも経費を800円節減できたので、その分賃金(費用)の消費から減らす仕訳を行います。
(賃金)800/(賃率差異)800
賃金を安く済ませることができたため、賃率差異が貸方に計上されています。貸方に計上されている場合は、有利差異でしたね。
ちなみに、賃率差異が借方に計上されている場合は、予算よりも多く人件費を消費しているので、不利差異となります。
年度末決算の処理
賃率差異は、毎月計上されていきますが、最終的には売上原価(費用)に振り替えられていきます。
仮に前項目の例の数字(800円の有利差異)が年間の差異だった場合は、このような仕訳となります。
(賃率差異)800/(売上原価)800
青色申告について
開業するには、税務署に「開業届」(個人事業主については「個人事業の開業・廃業等届出書」、法人については「法人設立届出書」)を提出しなければなりません。
それに伴って、いわゆる青色申告特別控除を受けたい方は、開業後2カ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
まず確定申告には、「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。
白色申告とは、青色申告の届出をしていない事業者がする申告になります。そのため、所得控除をはじめとする優遇措置は受けることができません。
青色申告の必要性
もっぱら、経理の仕事が苦手で、収支内訳表などの簡単な帳簿しか使わない方や、節税するほど事業所得がない方が青色申告をしていない白色申告のケースになります。
青色申告は、以下のような方におすすめです。というか、上記の条件に当てはまらない限り青色申告をすべきでしょう。
・所得(収入-経費)が65万円を超えていて、節税をしたい方
・赤字になる可能性が高い方
青色申告のメリット
青色申告には、4つのメリットが存在します。
①65万円または10万円の所得控除(青色申告特別控除)が受けられる。
複式簿記で経理をした場合は65万円の控除、収支などを記録した単式簿記で経理をした場合には10万円の控除を受けられます。
また、複式簿記で経理をしても、申告期限(その年の3月15日まで)を経過して確定申告した場合にも10万円控除となります。
※令和2年(令和3年の申告)より、青色申告特別控除額が原則55万円に引き下げとなります。ただし、帳簿等を電磁的記録で備付け及び保存する場合やe-Taxによる申告をする場合には、従来通り65万円の控除額となります。
②30万円未満の備品などの減価償却資産を経費で一括計上できる。
通常、備品や車両、建物といった固定資産については、決まった年数に分割して減価償却費(経費)を計上しなければなりません。ところで減価償却とは、高額な固定資産を購入したときに経費にすることができるシステムなんです。ご存知でしたか?
例えば15万円のパソコンを4年で償却するとすれば、単純計算で年間3万7500円の経費(減価償却費)にすることができます。
ところが、青色申告をしていれば、1つ30万円未満の固定資産については、その年に一括して必要経費にすることができます(合計300万円まで)。
③家族を従業員として雇用していた場合、その給与も全額必要経費にすることができる。
家族経営をしている個人事業主や中小企業などは、生計を同じくする家族や親族を「青色事業専従者」として届け出れば、その給与については全額「専従者控除」として必要経費にできます。
なお、白色申告でも、配偶者86万円、その他の親族50万円の控除ができます。
④赤字が出たときは翌年度に繰り越しできる。
もし当年度に赤字となってしまった場合には、翌年以降3年間の事業利益から差し引いて税金の軽減を図ることができます(純損失の繰越控除)。
また、当年度の赤字を前年度の黒字に繰り戻して還付が受けられます(繰戻還付)。
開業当初で軌道に乗るまでの間に会計年度を越してしまったときや、大事なお得意先が離れてしまって売り上げが激減してしまったなどの原因で残念ながら赤字になってしまった場合には、大きな味方となってくれます。
※その他、貸倒引当金の設定、棚卸資産の低価法の選択、更正に対する異議申し立ての方法も優遇措置としてあります。
青色申告を忘れてしまっても、これからでも大丈夫
もし、面倒などの理由で青色申告をしていない場合でも、大丈夫です!
青色申告は、原則その年の3月15日までに提出が必要です。また、その年の1月16日以降に開業した方は、業務を開始した時から2ヶ月以内に申告が必要となります。
ですから、もし青色申告に変更したいと思っている方は、来年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出すれば、今年は無理でも、来年からは優遇措置を受けられます。
所得控除の65万円だけ考えても大きいので、これからでも考えてみる価値があるのではないでしょうか?
おまけ
例)事業収入500万円、必要経費200万円、基礎控除を含む所得控除100万円の場合
白色申告では、(500万円-200万円-100万円)=200万円が課税所得金額となります。そして税額が200万円×10%-9万7500円=10万2500円となります。
青色申告では、白色申告の課税所得金額に65万円差し引きますので、135万円が課税所得金額となります。そして税額が135万円×5%=6万7500円となります。
つまり、3万5000円の節税となります。
有価証券その2~有価証券の売却など①~
前回は有価証券の購入をお話ししましたので、今回保有時の配当や利息の処理を解説していきます。
配当金受取時の処理
株式を保有していると決算時期に年1回ないし年2回配当金が送られてくる場合があります。いわゆる株主になっていると株主優待を受けられるほか、決算時に利益が出れば、配当を受ける権利が出てきます。
配当金は、郵送で配当金領収証を受け取るか、通帳振り込みで行われたりします。配当金領収証を受け取ったときには、郵便局などで換金します。ちなみに配当金領収証はすぐに換金できるため、現金(資産)扱いでしたね。そして、相手勘定は受取配当金(収益)で処理をします。
例)所有しているA電気会社株式について、配当金領収証1,000円を受け取った。
(現金)1,000/(受取配当金)1,000
利息の受取時の処理
また、国債や社債などの長期保有債券については、利息が半年または1年に1回約束した利率によって利息が支払われます。こちらも、最近は債券がペーパーレスのため、銀行振り込みがほとんどです。利息を受け取った際には、通常の利息と区別して、有価証券利息(収益)で処理します。
例)所有しているB社社債(額面価額10,000円、年利率1%、利払日は年2回)について、利払日が到来したため、利息が普通預金に振込された旨通知を受けた。
年2回となっているので、半年に1回の利払日となります。したがって、額面価額×年利率×1/2で利息を計算します。
有価証券利息:10,000×1%×1/2=50円
(普通預金)50/(有価証券利息)50
有価証券の論点は、この利息計算がキモとなっています。月割計算や日割計算など、少しでも計算を間違えると0点ということになりますので注意してください。
次回は、有価証券の売却についてお話ししますが、日割計算のことについても触れていきます。
会計ソフトの扱う上での注意点について
個人事業主の間ではクラウドタイプやソフトウェアタイプの会計ソフトが普及しています。これは、簿記の知識がなくても入力が簡単なので、その日に利用することができる優れモノです。
あとは勘定科目の区分の本を1冊買ってしまえば、そのまま決算書作成まで仕上げることができます。
ところが、本当にそうでしょうか?会計ソフトを使用する上で最低限簿記3級の知識は必要といいたいところです。顧問税理士を雇っている方は別ですが…。
今回は、その落とし穴について詳しく説明していきます。
その現金合ってますか?
最近はキャッシュレスも普及してきて、現金を持ち歩かない方も増えてきています。それでも事業を行うには、手提げ金庫ほどの現金は必要です。
100均などで消耗品を買ったり、会議での交通費や駐車場代を現金で支払うことはまだまだあるでしょう。まとめて入力をしている方は特に要注意ですが、毎日、ソフトに入力していても間違いが起こることがあります。
それは、「現金残高がマイナスになってしまう」現象です。会計ソフトに現金に関する取引を入力していくと、自動的に現金出納帳が作成されていきます。
もちろん領収書の日付順に入力することは当たり前なのですが、その順序にも気をつけなければなりません。
例えば、事務所の現金が0円だったと仮定します。そして、普通預金から1万円を下ろした後、ダイソーで5千円ほど消耗品を購入しました。このとき、入力の順序を仕訳の表示は以下のとおりとなります。
①普通預金から1万円下ろす。 現金出納簿の残高 10,000
(現金)10,000/(普通預金)10,000
②ダイソーで5千円分消耗品を購入する。 現金出納簿の残高 5,000
(消耗品費)5,000/(現金)5,000
これは、問題ないですね。ところが、たくさんの領収書を先に入力してしまいたいと思っている方はどうでしょう。
①ダイソーで5千円分消耗品を購入する。 現金出納簿の残高 -5,000
②普通預金から1万円下ろす。 現金出納簿の残高 5,000
その日の最終的な残高は合いますが、絶対的なルールに違反していることになります。それは、
「現金はゼロ円になっても、マイナスになることはない」
という大原則があるからです。よく考えてみてください。財布の中身のマイナスってどう表現すればよいのでしょうか?
誰かからお金を借りたとしても、現金という現物は手元にありますから、資金がマイナスでも、現金がマイナスには絶対なりません。
大体の会計ソフトの入力は振替伝票のボタンから入力するように解説されています。そのため、現金出納帳を印刷するまで見ない方もおられます。また、マイナスになってもこの原則を知らなければ、気にも留めないのです。
最終的には残高が合うとしても、税務調査が入ってこんなもの見せてしまうとどうでしょう。ずさんな帳簿管理を指摘されます。
「現金も合わせられないんだから、他の帳簿も絶対ミスがあるはず。そして、それは納税にも影響している。」と心証が悪くなることでしょう。
まず間違ったことに気づいたなら、その日であればすぐ修正しましょう。ただし、現金出納帳を毎月印刷していて、数か月後に初めて気づいたなど大分経ってたり、修正箇所が1つに留まらないなど修正も困難な場合はあります。そんなときは、備考欄に「伝票番号110番と111番の入力を前後間違って入力したため ○月○日判明」などと理由を書いておいて、自分はこの誤りに気付いているんだぞというてん末を残しておいてください。あとは、今後同じ間違いをしないことを心がけましょう。
年会費や保険料などを年払いしている場合
個人事業主の会計期間は周知のとおり1月1日~12月31日となっています。
そこで、期中に年会費や年払保険料など先の経費までまとめて支払う場合があります。この場合、費用収益対応の原則という会計上の規則があります。
詳しい内容については、以下の記事をご覧ください。
誤って来年度の費用を計上することは、その分当期純利益が減ることになります。確定申告であれば、必要経費を多く計上しているので事業所得が減ることになります。
所得税や法人税は事業所得や(税引前)当期純利益の数字から計算されるので、過少申告となってしまいます。悪く言えば、脱税にもつながってしまいます。
その結果、過怠税や重加算税などのペナルティがあるので、注意して欲しいところです。そうならないためにも税理士による専門家に見てもらうことが大事です。
この費用計上については、以下3つも同じ結果となりますので注意しましょう。
売上計上の時期について
その場で商品売買やサービスが完結するものは特に問題ありませんが、手付金(着手金)を事前に受け取っている商売の方は、その売上計上の時期に注意しましょう。
ここは行政書士業務を例にあげます。
例)自動車保管場所証明(車庫証明)のため、事務委任契約を締結した。その翌日10,000円着手金として普通預金に入金確認をした。その後、手続きが終了し、保管場所証明書・保管場所標章などを納品した。
この場合、経理するタイミングは、
①契約締結時
②着手金入金時
③事務完了時(納品時)となります。
正解は③事務完了時(納品時)となります。
①は契約をしただけで、双方まだ何もしていません。この場合、仕訳自体が不要です。
②については、着手金は前受金(負債)として処理する必要があります。このとき、まだお客さんの手元には何も手渡されておらず、行政書士自体も仕事をしている訳ではありません。よって、入金の事実だけを仕訳します。
(普通預金)10,000/(前受金)10,000
③については、双方の目的が達成されたときなので、ここで前受金を減らして、売上を計上します。
(前受金)10,000/(売上高)10,000
これについては、普段ならいきなり売上計上しても特に問題はありませんが、やはり年度末だけ税金が関係するので、業務が年を越すものはないかどうか確認が必要となります。
あとは、月次決算をしている方は、正確なデータが得られるので、この覚え方で会計ソフトに入力しましょう。年度末だけだとどうしても忘れがちなので、普段からその心積もりの方が気が楽になります。
生活関連費の計上について
水道代、電気代、電話料金などの生活関連費についても、計上の時期に注意が必要です。電話代は別として、水道代や電気代などは検針をします。そのため、経理するタイミングは以下のケースが考えられます。
①検針時
②請求書送付時
③料金引き落とし時
こちらの正解は①検針時となります。
電気や水道などは使用し終わった量を検針して、料金が確定しますので、商品を受け取ったときと同じように考えます。
(水道光熱費)×××/(未払費用)×××
相手勘定は未払費用(負債)で処理します。
②については、すでに確定した料金を請求書にしただけなので、この時点での仕訳は不要です。
③については、料金を支払ったときの仕訳をすることになります。
(未払費用)×××/(普通預金など)×××
ネットで買い物をした場合(クレジット決済)
その場で手に入らないものは、Amazonやアスクルなどのネットで消耗品などを注文することがあります。このときの経理のタイミングは4つのケースが考えられます。
①注文したとき
②商品が到着したとき
③クレジット会社から請求書が来たとき
④代金を支払ったとき
ここまでくれば大体わかってきたのではないでしょうか。正解は②となります。商品の受け渡しがあったときが経理するときになります。
①特になし
②(消耗品費)×××/(未払金)×××
③特になし
④(未払金)×××/(普通預金など)×××
着払いのときは、②の時点で支払も完了するので、この時点で仕訳をします。着払手数料がかかった場合は支払手数料(費用)で処理します。送料(受取人負担)がある場合は、原則、本体価格に含めて一括で消耗品費(費用)で処理するか、通信費(費用)または荷造運賃(費用)などで別に処理します。
ところで、水道光熱費のときは未払費用、消耗品費のときは未払金としていることに気づきましたか?
単発で買い物しているときには未払金を使います。水道光熱費や地代家賃、賃借料など継続的にサービスの提供を受ける契約のときは未払費用を使います。
このように会計ソフトでも簿記の知識が必要となりますので、個人事業主自身で経理をなさる方は簿記3級程度の知識を備えておきましょう。もしくは日払いで人を雇うような感覚で行政書士の会計記帳代行をご利用ください。