仮受金と仮払金、立替金と預り金
仮受金
仮受金とは、内容不明の入金があったが、その内訳や金額が未確定のときに、一時的に処理する勘定科目です。
簿記の試験でよくあるのが、出張中に社員から振り込みを受けたが、会社に帰ってくるまで何の振り込みなのかわからないケースです。
例)出張中の従業員から当座預金口座に10,000円の入金があったが、その内容は不明である。
(当座預金)10,000/(仮受金)10,000
例)従業員が出張から戻り、仮受金10,000円は、得意先から売掛金を回収した金額であることが判明した。
(仮受金)10,000/(売掛金)10,000
仮払金
仮払金とは、会社の従業員が出張する際、あらかじめ出張旅費の概算額を手渡しておくときに使う勘定科目です。
例)従業員の出張に伴い、旅費の概算額10,000円を現金で前渡しした。
(仮払金)10,000/(現金)10,000
例)従業員が出張から戻り、概算額10,000円のうち、旅費交通費として4,000円を使用したとの報告を受け、残額は現金で受け取った。
(旅費交通費)4,000/(仮払金)10,000
(現金)6,000/
立替金
立替金とは、本来は取引先や従業員が負担すべき費用を、会社で代わりに立て替えた場合に使う勘定科目です。
立替金は、単に立替金(資産)で処理するか、もしくは従業員立替金(資産)で処理します。
例えば、給料が25日支給日のときに、会社主導で団体保険に入っていて、その保険料の支払日が25日より前のときにこの勘定科目を使います。
このように本試験では、使うべき勘定科目が2つ(またはそれ以上)ある場合があります。こういう時は、勘定科目一覧表というもので使ってよい勘定科目が示されています。その指示に従って、勘定科目を使ってください。
勘定科目一覧には、「従業員立替金」と記載してあるのに、こちらの判断で「立替金」を使ってしまうと、仕訳はふつうに合っていても、使うべき勘定科目を使用していないことから誤答となってしまいます。
例)当社は、従業員等が支払うべき生命保険料5,000円を現金で立て替えた。
(従業員立替金)5,000/(現金)5,000
例)当社は、従業員に支払う給料100,000円のうち、先に立て替えていた5,000円を差し引き、残額を現金で支払った。
(給料)100,000/(従業員立替金)5,000
/(現金)95,000
預り金
預り金とは、従業員に対する給料から源泉所得税や社会保険料を天引きしたときに、一時的に預かったお金として処理する勘定科目です。
こちらについても、単に預り金(資産)や所得税預り金(資産)、社会保険料預り金(資産)で処理する科目のパターンがありますのでご注意ください。
例)当社は、従業員に支払う給料100,000円のうち、源泉所得税10,000円、社会保険料8,000円を差し引き、残額を現金で支払った。
(給料)100,000/(所得税預り金)10,000
/(社会保険料預り金)8,000
/(現金)82,000
例)預り金として処理していた源泉所得税10,000円、社会保険料16,000円(会社負担分8,000円)を現金で支払った。
(所得税預り金)10,000/(現金)30,000
(社会保険料預り金)8,000/
(法定福利費)8,000/
ここで法定福利費について説明します。健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料については、法律で従業員と会社が折半(2分の1ずつ)することになっています。そこで、会社負担分は、法定福利費(費用)として処理します。