ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

決算整理仕訳その3

減価償却費の計上

減価償却費の計上については、ほぼ過去の記事でご説明しました。

 

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 補足説明として、本試験では年次決算(1年に1回の決算日)がよく出ますが、まれに月次決算(1ヶ月に1回の決算日)を採用している場合があります。

月次決算は、毎月行われるので、正確な会社の経営状況が把握できます。経営者は月次決算書または残高試算表を見て、迅速な経営判断が下せます。また、経理担当者としては、3月決算時に1年近く前の4月の出来事を思い出すことは困難です。記憶のあるうちにチェックすることで帳簿が合わなかったときに思い出せるわけです。

計算方法は、普通に1年分の減価償却費に12か月で割れば1か月分の減価償却費が出ます。

 

例)建物の減価償却費について、年間見積額360,000円を月割計算したものを毎月の決算で計上している。当月の減価償却費を計上しなさい。なお、記帳方法は間接法である。

毎月の減価償却費:360,000円÷12カ月=30,000円

減価償却費)30,000/(建物減価償却累計額)30,000

 

期首に1年間の見積額を仮で計算しています。期末に実際の計算額が違うときには、年次決算で調整します。

例えば、3月の年度末に計算したところ年間の減価償却費が400,000円だったときには、

400,000円(年間)-(30,000円(1か月分)×11カ月)=70,000円が3月の減価償却費となります。

減価償却費)70,000/(建物減価償却累計額)70,000

売上原価の計算

売上高から売上原価を差し引くと売上総利益が出ます。通常、粗利と呼ばれるものです。

売上高は、売上(収益)の期末残高になるので、特に問題なく数値を拾い出せますが、売上原価の方はちょっと計算しないと数値が出ません。

売上原価に対応する勘定科目は、三分法によると仕入(費用)と繰越商品(資産)となります。

 

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商品を仕入れたときには、仕入(費用)を使っていましたが、これも貯蔵品(資産)と同じ考えで、当期仕入れた商品のうち売ることのできなかった在庫は、繰越商品(資産)として計上し、次期に繰り越します。

この繰越商品は、貯蔵品と違って、期首に再振替仕訳で元に戻すことはしないので、この決算期に繰越商品を仕入れに戻す作業をします。

例えば、期首(4月)に前期の在庫として繰越商品が10,000円あったとします。当然、その商品は、当期に売っているはずなので、仕入に計上します。

仕入)100,000/(繰越商品)100,000

そして、期末(3月)に在庫が50,000円残っていた時には、仕入から繰越商品に振り替えなければなりません。

(繰越商品)50,000/(仕入)50,000

当期の仕入高が500,000円だったとき、売上原価は以下のとおりになります。

500,000(当期仕入)+100,000(期首繰越商品)ー50,000(期末繰越商品)=550,000(売上原価)

この二つの仕訳を一つにまとめた仕訳が、決算整理仕訳となります。

入)100,000/(越商品)100,000

越商品)50,000/(入)50,000

勘定科目の最初の文字を順に呼ぶと「仕・繰・繰・仕」(し・くり・くり・し)となります。この仕訳の覚え方は、簿記業界では最も有名な呪文になっています。

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