ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

帳簿の締め切り

いよいよ、このテーマで日商簿記3級のプログラムは終了となります。

帳簿の締め切りとは、決算書の作成が終了し、それぞれの帳簿を閉鎖して、新たな年度のために新しい帳簿に差し替える作業です。会計帳簿は、会計年度が終了し、帳簿の閉鎖の時から7年保存になっています。そのため、会社としては、次ページにはせず、今まで使用してきた帳簿を段ボールなどに格納して、保存していると思います。

締め切る帳簿の中には、仕訳帳や総勘定元帳などの主要簿から、現金出納帳や仕入帳などの補助簿からさまざまな種類があります。まず、補助簿の締め切り方は、毎月の締め切り方とほとんど同じです。簿記の試験での締め切りについては、総勘定元帳に絞って説明していきます。

*総勘定元帳の締め切りの流れ*

①収益・費用の勘定科目を損益勘定に振り替える。

当期純損益を繰越利益剰余金に振り替える。

③資産・負債・純資産の勘定科目を締め切る。

収益・費用勘定から損益勘定への振り替え

損益計算書の定義は、ある一定期間(年次決算は1年間)の経営成績となっています。

したがって、収益・費用の勘定科目については、次期に繰り越すものではないので、損益勘定にひとまとめにしてしまって、総勘定元帳の中に小型の損益計算書を作成して終了となります。

例)次の勘定科目を締め切りなさい。

売上 500,000円、仕入 220,000円、販売費及び一般管理費販管費) 100,000円

販売費及び一般管理費とは、給料や広告宣伝費など本業に費やした経費の総称をいいます。詳しくは、2級の内容となります。省略して「販管費」と呼んでいますので、それで進めていきます。

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期末そのままだとこの状態です。収益勘定は借方、費用勘定は貸方がスカスカになっています。これを損益勘定を使ってバランスの良い長方形にして終わらせます。

 

具体的な仕訳の方法は、以下のとおりとなります。

*振り替えの仕訳*

(売上)500,000/(損益)500,000

(損益)220,000/(仕入)220,000

(損益)100,000/(販管費)100,000

 

この仕訳を転記したものが次の表になります。

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当期純利益から繰越利益剰余金勘定への振り替え

損益計算書損益勘定は、同じ構造になっています。上の図では、収益・費用勘定はきれいに長方形の形になりました。ただ、今度は損益勘定の左下が不釣り合いになっています。これを繰越利益剰余金勘定に振り替えます。

そもそも、当期純利益は、これからの運用資金となるので、純資産の項目である繰越利益剰余金に組み込まれるのです。

 

*振替仕訳と総勘定元帳への転記*

(損益)180,000/(繰越利益剰余金)180,000

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資産・負債・純資産の勘定科目の締め切り

収益と費用が片付いたので、残りの勘定科目を締め切ります。貸借対照表の各勘定科目については、すべて財産ですから、次期に繰り越していきます。

 

例)次の勘定科目を締め切りなさい。

諸資産 900,000円、諸負債 320,000円、資本金 300,000円、繰越利益剰余金 100,000円

当期純利益 180,000円

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急にモノクロですが…

※諸資産は、現金・商品などのあらゆる資産を集めた勘定科目です。実際の勘定科目ではありませんが、簡略化した貸借対照表を作成した場合に用いられます。また、2級の問題で使われたりします。諸負債も同じ。

資産・負債・純資産については、次期に繰り越されるということで、残高を「次期繰越」として以下のように締め切ります。

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次期繰越は赤で表示します。(本試験では、赤ペン使用不可のため黒で書きます。)

締め切り線として二重線を引きます。また、二行以上にわたるときには合計線、貸借行の高さが合わないときは、斜線で合計の行を揃えます。

 

そして、新年度のために「次期繰越」と記入した逆側に「前期繰越」と記入します。

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実務では、帳簿を閉鎖しますので、全く新しい帳簿に切り替えて、前期繰越を書き始めます。本試験では、紙面の都合上、このように表示することとしています。

3級終了

以上で3級のテーマがすべて終了しました。このブログの使い方としましては、市販のしっかりとしたテキストを購入の上、補助的に使用していただくといいと思います。

 個人的には、昔からいろいろな教材はTAC派なので、こちらをおすすめします。

スッキリわかる 日商簿記3級 第10版 [テキスト&問題集] (スッキリわかるシリーズ)

スッキリわかる 日商簿記3級 第10版 [テキスト&問題集] (スッキリわかるシリーズ)

 
みんなが欲しかった 簿記の教科書 日商3級 商業簿記 第7版 (みんなが欲しかったシリーズ)

みんなが欲しかった 簿記の教科書 日商3級 商業簿記 第7版 (みんなが欲しかったシリーズ)

 

 

ただ、これをやったからといって、本試験で良い点を取れるとは限りません。試験には、テクニックというものが存在します。基礎勉強と試験勉強は別物として挑戦していただければと思います。

 

そのテクニックについては、当マーズオフィスで実戦編として取り扱っていますので、ご近所の方は、よろしくお願いいたします。

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