商品売買その5~割戻し~
2019年3月までは、傷んだ商品が混じっているときに対応する値引きという項目と掛代金を予定より早期に支払った分の利息分を差し引く割引きという項目がありましたが、削除となりました。最近の世の中では、傷んだ商品や傷モノがあると返品対象となるからです。
2022年4月から、割戻しの論点のみとなりました。(2022年12月更新済み)
商品の割戻し
割戻しとは、商品を大量に購入することで、あらかじめ取り決めた分だけリベートとして、売上金額の減額や返金をすることをいいます。
商品を売り上げたとき
商品を売り上げた際に売上割戻しが予想される場合には、あらかじめ約束をしていた割戻し額(リベート)は返金負債(負債)で処理し、割戻し額を差し引いた金額は売上(収益)で計上します。
【前提条件】
ジュピター製作所(会計年度4月1日~3月31日)は、マーズ文具店にA時計(@2,000円)を販売しており、期末までに1,000個以上販売したときは、1個当たりの価格をさかのぼって@1,800円に減額するという契約を締結している。なお、当社はマーズ文具店に対する当期の販売個数を1,200個で見積もっている。
例)4月20日に、A時計を150個販売し、代金は現金で受け取った。
販売金額:@2,000円×150個=300,000円
予想される割戻しの金額:(@2,000円-@1,800円)×150個=30,000円
売上金額:300,000円-30,000円=270,000円
*仕訳*
(現金)300,000/(返金負債)30,000
/(売上)270,000
割戻金を支払ったとき
割戻しの要件が達成され、リベートを支払ったときは、返金負債(負債)を減少させます。
例)3月15日に、A時計を200個販売し、代金は現金で受け取った。なお、この取引により当期の販売個数が1,000個に達したので、割戻しを行い、現金で支払った。
まずは、今回の取引について普通通り仕訳をします。
販売金額:@2,000円×200個=400,000円
予想される割戻しの金額:(@2,000円-@1,800円)×200個=40,000円
売上金額:400,000円-40,000円=360,000円
*仕訳*
(現金)400,000/(返金負債)40,000
/(売上)360,000
そして、今までの販売個数に対するリベート額は返金負債(負債)で計上していますので、その分を減らします。
返金負債:(@2,000円-@1,800円)×1,000個=200,000円
*仕訳*
(返金負債)200,000/(現金)200,000
割戻しが適用されなかったとき
割戻しが適用されなかったときは、今まで計上していた返金負債(負債)を売上(収益)に振り替えます。
例)ジュピター製作所は、売上のリベートとして返金負債20,000円を計上していたが、当期末までに割戻しが適用される販売個数に達しなかったため、適切な勘定科目に振り替える。
*仕訳*
(返金負債)20,000/(売上)20,000
別パターンとして
先ほどは最初から割戻しを想定して仕訳をしましたが、最初に割戻しを想定していなかったが、割戻しを達成した場合も説明します。なお、【前提条件】は見積りを900個とし、それ以外は同条件とします。
商品を売り上げたとき
例)4月20日に、A時計を150個販売し、代金は現金で受け取った。
今回は、達成見込み無しとして考えていますので、リベート額関係なく普通の取引で仕訳をします。
販売金額:@2,000円×150個=300,000円
*仕訳*
(現金)300,000/(売上)300,000
割戻金を支払ったとき
例)3月15日に、A時計を200個販売し、代金は現金で受け取った。なお、この取引により当期の販売個数が1,000個に達したので、割戻しを行い、現金で支払った。
今回の売上金額から、今までに計上すべきであった返金負債(負債)を計算し、その分を差し引いて売上(収益)に計上します。
販売金額:@2,000円×200個=400,000円
今までの割戻しの金額:(@2,000円-@1,800円)×1,000個=200,000円
売上金額:400,000円-200,000円=200,000円
*仕訳*
(現金)400,000/(返金負債)200,000
/(売上)200,000