ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

商品売買その6~棚卸減耗損と商品評価損~

今回は、商品売買における決算整理事項の内容です。3級では「仕・繰・繰・仕」という仕訳をしましたが、2級では損益計算書の表示方法(勘定式から報告式へ)が変わるため、本試験でこの仕訳をすると逆に混乱してしまう場面が出てきます。

精算表の作成をする場合は、依然として「仕・繰・繰・仕」は有効ですが、損益計算書を作成する場合は、以下の式を覚えておいた方が効果的です。

売上原価=期首商品棚卸高(期首の繰越商品)+当期商品仕入高ー期末商品棚卸高(期末の繰越商品)

損益計算書の表示方式については、別の機会があれば紹介していきます。

棚卸減耗損

月末や決算期に在庫の実際の数量(実地棚卸数量)と商品在高帳上の数量(帳簿棚卸数量)が一致するかを確認します。この作業のことを棚卸しといいます。

このとき実際の数量が足りなかったり、いつのまにかキズ物になっていて廃棄しなければならないときに棚卸減耗損(費用)で処理します。

この棚卸減耗損は、2級で登場しますが、工業簿記にも同じものが出てきます。しかも工業簿記の名前が棚卸減耗費(費用)となっており、微妙に違っています。商業簿記の時に棚卸減耗費とかいてしまったり、その逆をしてしまうと非常に痛い失点となりますのでご注意ください。次に説明する商品評価(費用)と語尾が同じという風に覚えた方がいいですね。

 商品評価損

期間の経過により、商品価値が下がってしまった場合には、時価(正味売却価額)に減額する必要があります。このときの取得原価-時価商品評価損(費用)として処理します。春にサマーセールとして売り出していたものが、秋ごろになって安く売りだしているイメージです。

 

例)次の決算整理仕訳を行いなさい。

期首商品棚卸高 330,000円

期末商品棚卸高

 帳簿棚卸高:数量450個、帳簿価額@¥800

 実地棚卸高:数量444個、正味売却価額@¥795

 

このような問題が実際に出題された場合、商品ボックスを作成して棚卸減耗損と商品評価損の数字を出します。この商品ボックスの四角形の面積で求めていきます。

この商品ボックスは、工業簿記でもそっくりなものが出てきます。したがって、工業簿記のボックスを書いてしまうと間違ってしまいますので注意してください。

それでは、ここからはボックスの作成方法です。

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まず、上のような図を記入します。そして、縦軸に価格(単価)、横軸には数量を記入していきます。外周の太枠は期末商品棚卸高の帳簿価額を表しています。

帳簿価額を求めるに際し、問題文により次のように記入します。

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現時点の期末帳簿価額は、@800円×450個=360,000円となっています。ここから在庫が減っていって最終的には緑枠まで縮小します。

そして、実地棚卸高を緑枠の縦軸・横軸それぞれがぶつかる場所に記入します。

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横軸は、450個から444個に在庫が減っていますので、水色枠が棚卸減耗損の数値となります。また価格の方は800円から795円に値下がりしていますので、オレンジ枠が商品評価損の数値となります。

あとはそれぞれの枠の縦✖横を計算して面積を求めると完成になります。

棚卸減耗損:800円(縦)×6個(横)=4,800円

商品評価損:5円(縦)×444個(横)=2,220円

期末商品棚卸高(実地):795個(縦)×444個=352,980円

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あとは、「仕・繰・繰・仕」をやって、繰越商品を360,000円から352,980円にする仕訳をするだけです。

*正解の仕訳*

仕入)330,000/(繰越商品)330,000

(繰越商品)360,000/(仕入)360,000

(棚卸減耗損)4,800/(繰越商品)4,800

(商品評価損)2,220/(繰越商品)2,200