ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

材料費(費目別計算)その4~予定消費単価~

材料費の最後です。いままでは、実際の購入単価を用いて計算していました。ところが、毎回の購入単価は一定のものではなく、時価によって変動するものです。そのため、総平均法で計算をしていると、月末まで消費した金額を確定させることはできず、それまで仕訳もできないし、材料費がその都度いくらかかったのか計算することさえもできないという現場の問題が生じます。

そこで、年度初めに今年の材料費の単価はこれだけですと決めておけば、予算にもとづいた材料の購入もできますし、計算や仕訳もその都度行うことができるようになります。このときの材料費の単価を予定消費単価といいます。

最終的には予算消費額と実際消費額とは相違しますが、月末時にその処理をすることで帳尻を合わせることができます。この考え方も工業簿記としてはセオリー通りの処理となりますので、予算と実際の金額をここで押さえておいてください。

材料を消費したときの処理

例)当月、直接材料として原材料80㎏を消費した。なお、この予定消費単価は@250円である。

仕訳の仕方は、なんら変わりなく従来と同じようにします。

予定消費額:@250円×80㎏=20,000円

(仕掛品)20,000/(材料)20,000

月末時の処理

月末に実際消費額が判明したら、予定消費額と比較をして、その差額分を材料消費価格差異という勘定科目で処理します。これは月末に予算と比べてどのくらい相違があったかという資料になる数字となります。

 

例)当月の直接材料費の実際消費額は19,200円(@240円×80㎏)であった。なお、予定消費額は20,000円(@250円×80㎏)で処理をしている。

 

さて、今までの考え方でいくと、材料費を800円多く計上していたのだから、その分減らして正しい数字にすればいいので、

(材料)800/(仕掛品)800

という風な仕訳を考えてしまいがちです。

しかし、これでは「今月は800円節約できたね♪」という情報が埋もれてしまいます。工業簿記は管理会計に属するものなので、自社の分析も簿記に要求しているのです。そのため、材料費価格差異を使って情報を残しています。

*正しい仕訳*

(材料)800/(材料消費価格差異)800

 

ちなみに仕掛品が800円多く計上されていますが、決算時に売上原価に組み込んでいくので、ここでは予算のまま無視して進めることとなります。

そして、試験対策としてもう一つ。この差異が貸方に出ているときは、有利差異として予算よりも少なく済んで良かったね。ということになります。また、この差異が借方に出ているときは、不利差異として予算よりも多く使ってしまったことになります。○○差異という勘定科目はこれからたくさん出てきますので、ここでは一旦こういうものだということで、心の隅にでも気に留めておいてください。

年度末決算の処理

材料消費価格差異は、毎月計上されていきますが、最終的には売上原価(費用)に振り替えられていきます。貸方差異(有利差異)の場合は、売上原価はその分減ることになりますし、借方差異(不利差異)の場合は、売上原価がその分増えることになります。

仮に前項目の例の数字(800円の有利差異)が年間の差異だった場合はこのような仕訳となります。

(材料消費価格差異)800/(売上原価)800

f:id:polytech-MK:20190711142838j:plain