ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

その勘定科目、大丈夫ですか?

個人事業主でありながら、営業もやって経理もやらなければならないひとり事業主は大変です。

やはり簿記3級の知識ぐらいは備えておいた方がよいでしょう。特に経理をする上で、勘定科目は大事なものです。今回は、注意すべき点について触れていきます。

毎回、勘定科目がブレていないか

その都度、気分によって勘定科目を変えてしまっていると、出来上がった決算書も信用の無いものになりますし、データを拾いたくても、ごちゃ混ぜになっていると参考にすることもできません。

自分で1回ルールを決めたら、それに基づいて経理をしましょう。混同しそうな勘定科目の例をいくつかあげてみます。

 

①工具器具備品・事務用品費・消耗品費

まずは、工具器具備品ですが、これだけ資産です。この勘定科目に入れていい条件は、耐用年数1年以上のもので取得価額10万円以上でなければなりません。事務机や応接セット、スチール棚、パソコン、プリンタなど一般的に備品というものでも、10万円に満たないものは資産計上できません。

この「取得原価10万円以上」の中には、買った正味の代金(購入対価)のほか、付随費用も含まれます。付随費用には、購入手数料・運送費・荷造費・設置費用などがあります。

したがって、工具器具備品には、購入代価+付随費用の合計金額が取得原価として計上することになります。

あとは、事務用品費と消耗品費の分類です。

事務用品費は、事務作業で使用する文房具に支払った金額をいいます。

消耗品費は、事務用品費以外のものや、少額の工具器具備品などに対する支出をいいます。

何が事務作業に使うものなのか、渉外や営業で使うものなのかで判断が分かれるところです。ここの部分を明確化していないと、毎回、勘定科目がブレてしまう結果となります。この場合、無理に事務用品費を使わなくても、消耗品費で処理しても構いません。

その他、事務で使用するための書籍や新聞などは、新聞図書費に分類することもできます。

②接待交際費・会議費・旅費交通費

接待交際費は、飲食・送迎・お土産・お歳暮などお得意先や取引先に対して接待や交際のために支払う経費のことをいいます。

会議費は、業務のために必要な商談・打ち合わせ・その他会議に係る費用のことをいいます。社内・社外は問いません。

旅費交通費は、事業主や従業員が業務上で使用したバス・タクシー代などの実費及び宿泊代などの旅費も含まれます。

まず、事業所など部内で使ったものは旅費交通費となります。商談相手など外部の方を呼ぶためにかかった旅費交通費は接待交際費となります。

そして、一般的に1人5,000円以下の飲食代であれば、接待交際費ではなく会議費として経理することができます。また、5,000円を超えても、昼食費など通常の費用として認められる範囲内(自分でしっかりルールを決めておく必要あり)であれば、これも会議費でOKです。

ただし、会議費とするためには、飲食のあった年月日、飲食店名、金額、人数などの一定の記載のある書面を保管しておかなければなりません。

個人事業主については、交際費の全額が損金算入できますが、法人の場合は損金算入できる金額に上限があります。

また、個人事業主の場合で、喫茶店などで、これから行くお客さまへの準備作業をする、いわゆる”ひとり会議”であっても会議費とすることができます。ただし、一般的にコーヒーなどの飲み物だけで、食べ物の方は含みません。

そして、従業員との親睦のための福利厚生費セミナー講師を呼ぶためにかかった費用としての教育研修費も混同しやすい勘定科目になりますので、ご注意ください。

③広告宣伝費と消耗品費

広告宣伝費は、会社や事務所のイメージアップや売上の増加を図るために、不特定多数の方に対して支出した費用です。

消耗品として購入した紙をチラシ作りに活用したなどありますが、そこまで厳格にする必要は税務上はありません。ただし、自分でどのくらい広告宣伝費を使用したのか把握することは、経営者としては必要なことです。

自分で決めたルールに従って、混同しない程度に明確に分けて今後の判断材料にしましょう。

 

その他、諸会費と接待交際費、旅費交通費・車両費・燃料費だったり、いろいろな判断によって分類できます。あまり、わからないうちは会計ソフトにある分だけ勘定科目を使用しなくてもいいので、合わせてもいいものであればコンパクトにまとめることをおすすめします。

雑収入・雑費の使い過ぎに注意

雑収入や雑費という勘定科目は、他の勘定科目に当てはまらない収入や支出に使います。また、現金過不足が生じて、最終的に行き着く先がここになります。(個人事業主については、事業主貸や事業主借で処理しますが…)

そのため、使途不明金が集まる場所です。あまりこの勘定科目を使いすぎるといい結果にはならないので注意が必要です。きちんと詳細は備考欄にでも記載・入力しておきましょう。

先ほど述べたことと逆にはなりますが、分類できるものは、分類しておいた方が後々、自分にとってはいいと思います。決算書を見ても雑費が何なのかは一目でわからず、仕訳日記帳などを参照しないといけない羽目になりますから…。

最低限のことはしましょう

自分で経理をすると決めたら、最低でも簿記3級の知識は備えておきましょう。間違った知識での会計ソフトの入力は、間違った決算書として税務署に提出することになります。会計ソフトは便利ですが、間違った入力情報について、指摘を受けることはできません。現在ではクラウドサービスで専門家のチェックをしてくれるものもあります。その分の費用はわかりませんが…。

勘定科目の分け方が書いてある本ぐらいは、1冊用意しておきましょう。

 

引きやすい!  必ず見つかる!  勘定科目と仕訳の事典

引きやすい! 必ず見つかる! 勘定科目と仕訳の事典

 
最新 知りたいことがパッとわかる勘定科目と仕訳が見つかる本

最新 知りたいことがパッとわかる勘定科目と仕訳が見つかる本

 
小さな会社と個人事業者・フリーランスのための勘定科目の選び方と使い方がわかる本

小さな会社と個人事業者・フリーランスのための勘定科目の選び方と使い方がわかる本

 
困ったときにすぐ引ける 勘定科目と仕訳の事典

困ったときにすぐ引ける 勘定科目と仕訳の事典

  • 作者: 西宇好明
  • 出版社/メーカー: ナツメ社
  • 発売日: 2010/06/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 1人 クリック: 2回
  • この商品を含むブログを見る
 
豊富な仕訳例で世界一使いやすい!勘定科目と仕訳の事典

豊富な仕訳例で世界一使いやすい!勘定科目と仕訳の事典

 

 何度も繰り返しになりますが、自分でやるならスキルアップもかねて簿記の知識は備えて、決算書の読み方は把握しておくべきです。それができないのであれば、専門家にお願いしたほうが、時間の有効活用ができます。