3級では決算時の処理をまとめて解説しましたが、2級では個別にその都度解説していきます。
そして今回は、有価証券についての決算時の処理です。売買目的有価証券、満期保有目的債券、子会社株式・関連会社株式、その他有価証券でそれぞれ処理が違います。
順を追って説明していきます。
売買目的有価証券
売買目的有価証券においては、決算時期に時価で見直しをしていきます。これを有価証券の評価替えといいます。
取得原価よりも時価が値上がりしたときは、有価証券の資産価額を増やすとともに、有価証券評価益(収益)として、実際にはまだ現金も受け取ってはいないけれど、収益として計上します。
例)決算日において、A社株式(売買目的有価証券)の帳簿価額10,000円を時価12,000円に評価替えする。
(売買目的有価証券)2,000/(有価証券評価益)2,000
逆に取得原価よりも時価が値下がりしたときには、有価証券の資産価額を減らすとともに、有価証券評価損(費用)として、計上します。
例)決算日において、A社株式(売買目的有価証券)の帳簿価額10,000円を時価8,000円に評価替えする。
(有価証券評価損)2,000/(売買目的有価証券)2,000
また、貸借対照表など決算書の表示も実際の勘定科目と表示上の科目が異なることがありますので、注意が必要です。
3級では、売上⇒売上高、仕入⇒売上原価、繰越商品⇒商品がありました。売買目的有価証券は、有価証券(流動資産)として表示します。ただし、試験では、複雑化を避けるためか、そのまま決算書に表示している場合があります。
満期保有目的債券
公社債など満期保有目的債券については、決算時に評価替えはしません。しかし、取得価額が額面金額(債券金額)よりも低い金額(または高い金額)で購入した場合、その差額が金利調整差額として償却原価法で処理します。
償却原価法とは、金利調整差額を公社債の取得日から満期日までの間、一定の方法で有価証券の帳簿価額に加算(減算)する方法です。そのため、満期日には取得金額と額面金額との差額がなくなるようになっています。
償却原価法には、定額法と利息法がありますが、2級では定額法での処理となります。
文章で言っても、わかりにくいので例を使って説明していきます。
例)決算日(R2年3月31日)において、B社社債(満期保有目的債券、額面金額100円を97円で1,000口購入、取得日:R1年8月1日、満期日:R6年7月31日)に対して償却原価法(定額法)を適用する。
B社社債は5年(60月)で満期を迎えます。また、償却原価法では月割計算を行います。今回は、R1年8月~R2年3月までの8カ月で調整をかけます。
取得原価は@97×1,000口=97,000円、額面金額が@100×1,000口=100,000円です。
金利調整差額は、100,000円-97,000円=3,000円となり、60月(5年)で額面金額にしていきます。当期においては、3,000×8月/60月=400円が償却金額となります。
満期保有目的債券の金額を400円増やすとともに、相手勘定は有価証券利息(収益)で処理します。
ちなみに、公社債は、100円単位で取引されるので、問題文にいくらと書いていなくても、100円につき○○円(今回では97円)というように計算します。
(満期保有目的債券)400/(有価証券利息)400
決算書の表示方法については、投資有価証券(固定資産)となります。ここで、流動資産やら固定資産と出ていますが、決算日の翌日から1年以内に現金化するものを流動資産、1年を超えるものを固定資産というように分類していきます。詳しくは、決算書のところで説明したいと思います。
子会社株式・関連会社株式、その他有価証券については、次回にします。