ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

153回日商簿記2級の解答について~第2問 穴埋め選択問題②~

第2問の(3)合併の問題

 問 合併の対価が合併によって受け入れた資産から負債を差し引いた純資産額を上回る場合、その超過額である( )は、貸借対照表の(⑤)の区分に記載し、( )年以内に( )法その他合理的な方法によって規則的に償却しなければならない。これに対し、合併の対価が合併によって受け入れた純資産額を下回る場合、その不足額は、( )として損益計算書の(⑥)の区分に記載されることになる。

 

簿記の世界で、合併は端的にいえば、会社を買うことです。会社の価値は資産から負債を差し引いた純資産で決まります。

前半部分については、購入価額(合併対価)>会社の価値(会社の純資産)の場合を指しています。会社を付加価値をつけて買う場合は、どんな場合でしょう。

例えば、個人的に好きなコンビニであるローソンの経営権を買ったとします。少し高くはつくが、買った瞬間にローソンの知名度と経営のノウハウ、そして何より、そこに来店するお客さまをすべて獲得することができます。

このように合併先のブランド力やネームバリュー・経営のノウハウなどの見えない価値のことをのれん(資産)といいます。見えない価値なので、貸借対照表無形固定資産の区分で記載することになります。

こののれんは、20年以内にだいたい定額法で処理するようになっています。

では、残り後半部分については、購入価額(合併価額)<会社の価値(会社の純資産)となっており、その会社を得して買ったことになっています。

この場合は、その会社が経営悪化により倒産しそうで、資本力のある会社に経営権を買い取ってもらう場合です。その会社に勤務している従業員を助けるために社長がお願いしているシーンなどは、ドラマでも見かけたりします。そんな会社は独自の特許権のようなお宝を持っていたりするんですが…。

この場合、得をして合併したのですから、当然収益が発生します。この差額を負ののれん発生益(収益)で処理します。この負ののれん発生益は、普段そんなにあることではないので、損益計算書特別利益の区分に記載されます。

したがって、⑤にはク.無形固定資産⑥にはヒ.特別利益がそれぞれ入ります。

第2問の(4)有価証券(満期保有目的債券)の問題

問 有価証券は、その保有目的にしたがい、( )、(⑦)、( )およびその他有価証券に区分される。(⑦)は、(⑧)をもって貸借対照表価額とするが、債券金額より低いまたは高い価額で取得した場合、その差額が金利の調整と認められるときは、その差額を償還期まで一定の方法で取得価額に加減する。この方法を(⑨)法という。たとえば、20X1年4月1日に社債1,000,000千円を額面100円につき99.00円にて償還期日20X6年3月31日まで保有する目的で購入したとする。ここで定額法によって(⑨)法を適用したとすると、20X3年3月31日時点での(⑦)の貸借対照表価額は(⑩)千円となる。

 

まずは、過去に取りあげた記事があるので、それを参照ください。

 

polytech-mk.hatenablog.com

 

 

polytech-mk.hatenablog.com

 有価証券の区分には、売買目的有価証券、満期保有目的債券、子会社株式・関連会社株式、その他有価証券の4つがあります。

問題文の⑦の語句を探すには、差額の金利調整というキーワードでわかります。この処理をするものはたった一つです。よって、⑦にはハ.満期保有目的の債券が入ります。

この満期保有目的債券はウ.取得原価をもって貸借対照表価額とします。これよく読むと、答えがすでに文中に記載されています。この最後の文に「その差額を償還期まで一定の方法で取得価額に加減する。」

簿記は国語の問題といいますが、この答えは特にそんな感じがします。計算の基礎となる取得価額と書かれているので、語群から探すとそれに当てはまるものが一つしかありません。このように、簿記の知識がなくても解ける問題が実はあったりするので、文章をしっかり読み進めることが必要となります。

そして、この中段に書かれている計算方式を償却原価法といいます。よって、⑨にはツ.償却原価が入ります。

最後の⑩は計算問題となります。とりあえずの千円の単位はヨコに置いておきます。

まず、目的の社債の取得原価を計算します。

取得原価:1,000,000×99/100=990,000

この社債は、X1年4月1日~X6年3月31日(決算日は3月31日)までの5年間保有することとなります。

償却原価法は、990,000を5年にかけて1,000,000に戻していく方法なので、額面価額と取得原価との差額10,000を5年で割って、毎年その価額を取得原価に足していきます。

毎年の償却価額:10,000÷5年=2,000

ここで、取得時期が4月1日でなく、5月1日となっている場合には、月割計算が必要となります。今回は、それが無い受験者に優しい問題となっています。

以降、満期までは次のような流れとなります。

1年目(X2年3月31日):990,000+2,000=992,000貸借対照表価額)

2年目(X3年3月31日):992,000+2,000=994,000

3年目(X4年3月31日):994,000+2,000=996,000

4年目(X5年3月31日):996,000+2,000=998,000

5年目(X6年3月31日)(満期日):998,000+2,000=1,000,000

問題の⑩には、2年後の994,000が正解となります。

 

弊事務所では、簿記講座をはじめとする社会に使える資格を個別指導方式で教えています。この簿記2級の本試験問題については、「日商簿記2級実戦編」として北海道旭川市近辺の方を対象に行っていますので、よろしくお願いいたします。

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