ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

工程別総合原価計算

工程別総合原価計算とは、原価計算処理を2工程以上行うものをいいます。つまり、単純原価計算の処理を2回以上繰り返す原価計算です。実際の試験では、2回で出題されます。木工品であれば、外枠を組み立てる工程と塗装をして仕上げる工程で作業部門が分かれているということです。

工程別総合原価計算の応用問題として、第1工程の外枠の状態のまま外部に販売(半製品)してしまうという問題も出ることがあります。別会社で装飾を施して別物として販売したいという場合ですね。

また、工程別総合原価計算には、累加法非累加法がありますが、2級では累加法しか出ませんので、その文言は無視しても構いません。

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例)当社は製品Aを製造し、製品原価の計算は累加法の工程別総合原価計算を採用している。次の【資料】に基づいて、第1工程月末仕掛品の原料費と加工費、第2工程の前工程費と加工費、第2工程完成品総合原価を計算しなさい。

なお、原価投入額を完成品総合原価と月末仕掛品原価に配分する方法は、第1工程は平均法、第2工程は先入先出法を用いること。第1工程の途中で発生する正常仕損品には処分価値はなく、この正常仕損の処理は度外視法による。第2工程の終点で発生する正常仕損品は210,000円の処分価値があり、第2工程の正常仕損費は完成品に負担させること。

【資料】

①第1工程

月初仕掛品 400個(50%)

原料費:86,000円 加工費:175,000円

当月投入 8,000個

原料費:1,800,000円 加工費:3,380,000円

正常仕損品 200個

月末仕掛品 600個(50%)

完成品 7,600個

②第2工程

月初仕掛品 800個(75%)

前工程費:416,400円 加工費:241,600円

当月投入 7,600個

前工程費:?円 加工費:4,608,000円

正常仕損品 200個

月末仕掛品 1,000個(40%)

 

まず、累加法度外視法は2級のスタンダードなので無視します。あとは太字で表示している文字だけに注意して計算していきます。

第1工程は平均法、第2工程は先入先出法。仕損品の処理は第1工程はすべて費用、第2工程は評価額の分だけ完成品原価からマイナスです。

注目すべきは、第2工程は原料費から前工程費に名称が変わっています。前工程費は、第1工程の原料費と加工費が混じっている理由からです。

また、半製品がなければ、第1工程の完成品は第2工程の当月投入量と一致します。したがって、第2工程の当月投入の?円は、第1工程の完成品総合原価の金額と一致します。

第1工程の処理(原料費ボックス)

第1工程は平均法で処理します。ここから組別総合原価計算と同じ手抜きですが、以前開業する前のポリテクセンターでの勉強会で使用していたレジュメを参考にしてください。これ以降は、この解説付き資料を原則使っていきます。

ちなみに仕損が減損になっているボックスがありますが、仕損として読み替えてください。

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第1工程の処理(加工費ボックス)

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第2工程の処理(前工程費ボックス)

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