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商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

外貨建取引その2~為替予約~

外貨建取引には、変動相場の影響が付きまといます。それでは、この変動相場の影響を回避したり、低減する方法はないものでしょうか。

実は、先物取引というものがあって、これを利用することによってリスク回避をすることができます。ヨコ文字でいうと「リスク・ヘッジ」といいます。

先物取引とは、あらかじめ決済時の相場を契約により決めておく取引のことをいいます。この、あらかじめ決済時の相場を決めることを為替予約といいます。

為替予約には、独立処理(原則)と振当処理(容認)がありますが、2級では振当処理の簡単な方法でしか出題されないため、この振当処理について解説します。

取引時(まで)に為替予約をしたとき

取引時(まで)に為替予約をしたときは、為替予約時の先物為替相場(予約レート)で換算をします。そして、決済時には、その予約レートでの取引となるため、為替差損益も生じません。

したがって、予約時から決済時まで予約レートを使うため、相場は動きませんから決算時の処理も必要ありません。

 

例)次の一連の取引について仕訳をしなさい。

①×1年1月15日 商品100ドル(取引時のレート:102円)を輸入し、代金は3カ月後に支払うこととした。また、取引と同時に為替予約(予約レート:100円)を行った。

②×1年3月31日 決算日(決算時のレート:98円)を迎えた。

③×1年4月14日 ①の買掛金を小切手で支払った(決済時のレート:105円)。

①の仕訳

買掛金:100ドル×100円=10,000円

仕入)10,000/(買掛金)10,000

②の仕訳

仕訳なし

③の仕訳

(買掛金)10,000/(当座預金)10,000

為替予約をしなければ、買掛金は100ドル×105円=10,500円となり、500円の為替差損が生じてしまうところでした。

取引発生後に為替予約をした場合

この場合、為替予約を行った時点での予約レートにより換算替えをします。為替差損益もこの時点で計算をします。

例)次の一連の取引について仕訳をしなさい。

①×1年1月15日 商品100ドル(取引時のレート:102円)を輸入し、代金は3カ月後に支払うこととした。

②×1年1月31日 ①の買掛金について為替予約(予約レート:100円)を行った。

③×1年3月31日 決算日(決算時のレート:98円)を迎えた。

④×1年4月14日 ①の買掛金を小切手で支払った(決済時のレート:105円)。

①の仕訳

買掛金:100ドル×102円=10,200円

仕入)10,200/(買掛金)10,200

②の仕訳

予約レートによる買掛金の換算額:100ドル×100円=10,000円

∴10,000-10,200=▲200円(買掛金の減少)

(買掛金)200/(為替差損益)200

③の仕訳

仕訳なし

④の仕訳

(買掛金)10,000/(当座預金)10,000