ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

直接原価計算その5~原価の固変分解~

直接原価計算の最後です。あまり出題実績がないものと思っていましたら、丁度自分が受け直した150回の本試験で登場してしまいました。

ちなみに日商簿記は資格を取得した後でもまた取り直すことが何回でもできます。私の場合平成14年のものだったので、現在の試験範囲とは半分ぐらい違うといっても言い過ぎでない位変わっていました。当時は未着品や積送品などの特殊商品販売、為替手形三者間の為替取引)、とてもややこしい本支店会計(本店・支店の一致額・内部利益の控除など)がありましたが、この部分が1級となってしまいました。

代わって1級から降りてきたのが、外貨建取引、税効果会計連結会計などです。当然ながら当時は電子記録債権などはありません。一部の勘定科目の名称(貸倒償却⇒貸倒損失・貸倒引当金繰入、受取手形⇒営業外受取手形)すら変わっていました。

実務に使えるようになるためには、知識のアップデートのためにやっておいた方がいいと思いました。直近では平成30年に出題範囲の大改正があったところです。

それでは本題に入っていきましょう。

直接原価計算では、原価を変動費と固定費に分けなければなりません。「これは変動費で、これは固定費だ」とはっきりしているものはいいのですが、中には携帯電話や水道光熱費のような定額従量制のものはどっちにすればいいのか悩みます。定額従量制は何も使わなくても基本料金はかかり、使用料金は別途変動費のようにかかってしまうものです。

この場合、原価を変動費と固定費に分ける方法(固変分解)を使います。試験に出題されるのは、高低点法という方法です。

高低点法とは、過去の一定期間における生産量と原価データに基づいて、一番高い数値から一番低い数値を差し引いて、変動費を割り出すものです。

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これも150回の過去問を使って説明をします。

 

問5 これまで水道光熱費を全て固定費としてきたが、精査してみると変動費部分もあることが分かった。過去6カ月の売上高と水道光熱費の実績データは以下のとおりであった。高低点法により、売上高に対する水道光熱費変動費率(%)を計算しなさい。

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 この問題文を読んでツッコミどころはありますが…まずは公式を完成させるために数字の高い地点と低い地点を探します。

すると、8月が一番高く、6月が一番低いことがわかります。それ以外の月については全く不要なデータとなります。

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このブログ、分数が表示できないので、分子と分母の計算と分けて計算したいと思います。そして、この場合の原価はターゲットになっている水道光熱費を表します。したがって、生産量は売上高となります。分母の方が大きい数字を使わないと100%超えてしまうのでわからなくなったらそういう風に考えてください。

分子(原価=水道光熱費)の計算:527,000円-509,000円=18,000円

分母(生産量=売上高)の計算:4,095,000円-3,345,000円=750,000円

変動費:18,000円/750,000円=0.024(2.4%

問5の答え 2.4%

6月でいえばこのように固変分解できます。

変動費:509,000円×2.4%=12,216円

固定費:509,000円-12216円=496,784円

 

これで個別原価計算、総合原価計算、標準原価計算、直接原価計算が終了しました。

次回は2級最後の「本社工場会計」となります。