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商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

株式の発行と剰余金の配当その2~株式の発行~

3級でも基本的なことをやりました。今回はもう少し掘り下げて説明していきたいと思います。まずは、株式の発行からです。

株式の設立発行

会社の設立にあたり、株式を発行したときは、原則として、その全額を資本金(純資産)で処理します。

 

例)マーズ株式会社は、会社の設立にあたり、株式50株を1株当たり10,000円で発行し、全株式の払い込みを受け、払込金額は当座預金とした。

当座預金)10,000/(資本金)10,000

ここまでは、3級のときそのままです。2級では払込金額のうち最低2分の1資本金として処理しなければなりません(容認)。では残額はどうしたら?ということですが、残りは資本準備金(純資産)として処理することとなります。

純資産の自己資本には、資本金・資本準備金・その他資本剰余金などがありますが、資本金は、足りなくなったからちょっと減らそうとかいう些細なことで動かすことはできません。会社の決まりである「定款」に資本金の額が定められていて、変更するには定款を変更をするとともに登記事項の変更もしなければならなく、大変面倒です。

あまり細かい話は省きますが、資本金>資本準備金>その他資本剰余金の順に手続きが面倒なんだなというぐらいで押さえておいてください。

本試験では、「なお、払込金額のうち会社法で認められている最低金額を資本金とする。」のように記載されています。このような場合は資本金と資本準備金を半分に分けて仕訳をしましょう。

当座預金)10,000/(資本金)5,000

           /(資本準備金)5,000

株式の増資

①申込証拠金を受け取ったとき

単に増資したときは、先ほどの仕訳と変わらないのですが、2級では証券会社に依頼して、株主(出資者)を募集します。

まずは、申込期間を設定して当社の株式を買ってもいいと思う株主を募集します。会社に株主を選ぶ権利があります。会社にふさわしくない人が株主になってしまうと株主総会が荒れてしまうからです。

このとき申込者から預かるお金を申込証拠金といいます。入金された段階で資本金と区別するために株式申込証拠金(負債または純資産)として処理します。

また、入金された預金も会社のものと一緒にしてしまうと煩雑になってしまうので、別段預金(資産)で処理をします。ただし、本試験では返金することを考えておらず、全額資本金等になります。

 

例)増資のため、株式10株について1株あたり12,000円で株主を募集したところ、申込期日までに全株式が申し込まれ、払込金額の全額を申込証拠金として受け入れ、別段預金とした。

(別段預金)120,000/(株式申込証拠金)120,000

②払込期日が到来したとき

 払込期日になったら、株式申込証拠金資本金(純資産)に、別段預金(資産)を当座預金(資産)に預け替えをします。「会社法で認められている最低金額」と表示があったら、資本金(純資産)と資本準備金(純資産)にはんぶんこです。

 

例)払込期日となり、申込証拠金120,000円を増資の払込金額に充当し、別段預金を当座預金とした。なお、払込金額のうち、会社法で認められている最低金額を資本金とすることとした。

(株式申込証拠金)120,000/(資本金)60,000

             /(資本準備金)60,000

当座預金)120,000/(別段預金)120,000

会社設立や株式発行にかかる費用の支出

会社を設立するときや株式を発行するときには、会社設立のための印紙代・登記手数料や株式発行のために証券会社へ支払う手数料などがかかります。

それらの経費を計上するために3つの勘定科目があります。

創立費(費用または資産):会社設立までにかかった諸経費や株式発行費用

開業費(費用または資産):会社設立から営業を開始するまでにかかった諸経費

株式交付費(費用または資産):会社設立後(増資時)の株式発行費用

なお、これらは繰延資産と呼ばれ、均等割による償却(科目は○○費償却(費用))が認められています。試験対策としては、創立費開業費5年株式交付費3年と覚えておきましょう。

この繰延資産は、実際には5年や3年で償却しなければならない訳ではないのですが、これを説明すると試験のときに混乱すると思いますので、ここでの説明は省きます。

 

例)増資にあたり、株式50株を1株当たり10,000円で発行し、全株式の払い込みを受け、払込金額は当座預金とした。また、株式発行のための費用1,000円を現金で支払った。なお、払込金額のうち、会社法で認められている最低金額を資本金とすることとした。

当座預金)10,000/(資本金)5,000

         /(資本準備金)5,000

(株式交付費)1,000/(現金)1,000