ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

156回日商簿記2級の解答について~第1問 仕訳問題①~

久しぶりに投稿いたします。

1月末までFP試験の講義をしていたため、遅れましたことをお詫び申し上げます。

2月の試験まであとわずかですが、今後の方々にも分かるように解説していきますので、よろしくお願いいたします。

今回の順番は、1→4→5→2→3です。

前回、第2問において商品売買が出題されましたが、解き方が同じようなものが2連続続きました。商品有高帳のような表を作成するのが苦手な方は、後回しにしても構いません。

 

第1問 下記の取引について仕訳しなさい。ただし、勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選び、正確に記入すること。

 

当座預金 別段預金 受取手形 売掛金 未収入金 仮払法人税等 建物 建物減価償却累計額 繰延税金資産 不渡手形 支払手形 買掛金 未払金 未払法人税等 繰延税金負債 資本金 株式申込証拠金 資本準備金 その他資本剰余金 売上 受取手数料 仕入割引 仕入 支払手数料 減価償却費 売上割引 支払利息 手形売却損 火災損失 法人税、住民税及び事業税 法人税等調整額 未決算

第1問の1 不渡手形と償還請求

 かねて得意先から売掛金の決済のために受け取り、取引銀行で割り引いていた額面¥800,000の約束手形が満期日に支払拒絶され、取引銀行から償還請求を受けたので、手形の額面金額に満期日以後の延滞利息¥1,200および償還請求に伴うその他の費用¥800を含めて小切手を振り出して支払うとともに、手形の振出人である得意先に対して、小切手で支払った延滞利息およびその他の費用を含む金額で手形の償還請求を行った。

売掛金決済時の取引

久々の投稿なので、過去と被るかも知れませんが、問題を解くには、取引の時間の流れをつかむことが非常に重要となります。

受取手形)800,000 /(売掛金)800,000

次に受け取った手形を取引銀行へ行き、割引の上、資金の回収をしています。

ここの部分はあまり関係ないので飛ばします。

②取引銀行への手形代金等の償還

いったん受け取った現金ですが、その手形が不渡りとなってしまったため、得意先の代わりに責任を負って返金します。満期日からの延滞利息と諸費用を肩代わりしています。

延滞利息と諸費用は不渡手形に含めて処理をします。なお、得意先に対しての請求については、簿記上の取引となりませんので無視します。

【正解の仕訳】

(不渡手形)802,000/(当座預金)802,000

第1問の2 仕入の割戻し

 買掛金¥1,800,000の決済日となったが、仕入先から同社の大口顧客にかかわる規程にもとづいて買掛金の2%の支払いを免除する旨の通知があったので、支払免除額を差し引いた残額について小切手を振り出して買掛金の決済を行った。

勘定科目の語群に「仕入割引」があるので使いたくなりますが、これは罠です。

仕入に関して減額が発生するパターンは3つあります。

仕入値引仕入れたものに傷があった場合、値引をしてくれます。この場合、仕入の一部取り消しがあったものとして、その金額について反対仕訳を行います。

なお、最近は正規の商品が送られてくるため、値引自体は少なくなっているようです。

(買掛金)×××/(仕入)×××

仕入割引:買掛金の決済前に支払いを終えたので、得意先からご褒美として、その間の利息分を差し引いてくれます。この場合は、その値引部分を仕入値引(収益)として処理します。ご褒美なんでね。

(買掛金)×××/(仕入割引)×××

仕入割戻:商品をたくさん買ったので、買掛金の一部を免除してくれます。その場合は、仕入値引と同じ処理となります。

したがって、今回は仕入割戻となります。

割戻額:1,800,000×2%=36,000円

【正解の仕訳】

 

(買掛金)1,800,000/(仕入)36,000

         /(当座預金)1,764,000

第1問の3 税効果会計(貸倒引当金の繰入限度額)

 ×年3月31日、決算にあたり、売上債権の期末残高¥500,000について2%の貸倒れを見積もり、貸倒引当金を設定したが、その全額について税法上の損金算入が認められなかったので、貸倒引当金にかかわる税効果会計の仕訳を行う。貸倒引当金に期首残高はなく、また法人税等の法定実効税率は30%である。なお、貸倒引当金を設定するための決算整理仕訳はすでに行っているものとし、税効果会計の適用にかかわる仕訳のみを解答すること。

まず、決算整理仕訳を頭の中で思い浮かべます。

貸倒引当金繰入額:500,000×2%=10,000円

(貸倒引当金繰入)10,000/(貸倒引当金)10,000

そして、「損金算入が認められなかった」=前の仕訳の費用を減額です。

いくら減額すればよいかというと、法人税等の法定実効税率の分だけとなります。

減額分:10,000×30%=3,000円

貸倒引当金繰入(費用)が損金部分なので、その分を法人税等調整額を使って減額します。あとは、空白部分は借方となるので、繰延税金資産(資産)を使います。

【正解の仕訳】

繰延税金資産)3,000/(法人税等調整額)3,000