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収益の認識基準の考え方

このブログも作り始めてから4年経過しました。ここ2年はあまり更新していないのも関わらずアクセス数は上昇し続けており、大変感謝しております。

2022年12月3日現在

日商簿記に関係ないものなど少し整理をしました。今回は、今年の4月から出題範囲となった「収益の認識基準」を解説したいと思います。ずっとこれだけ抜けていたので1年近く気にしていましたが、これで2級は大体はサポートできる形になりそうです。

収益認識の認識基準とは?

収益の認識基準とは、獲得した収益をいつの時点で計上すればよいのかという考え方を示した基準となります。

まずは、今までのおさらいをしてみましょう。以下の流れによって契約が進行していきますが、どの時点で売り上げを計上したらいいのでしょうか。

契約時:お客さまとの契約書を作成し、サインをした日

履行時:お客さまへ商品の引き渡しまたはサービスの提供を完了した日

代金請求時:お客さまに対し、代金を請求した日

代金領収時:お客さまとの代金決済が完了した日

正解は②履行時となります。大体は②と③は同時期になると思います。

レストランへ行って、メニューの中から食べたいものを注文します(①契約時)。その後、注文した食事が届いて(②履行時)、店員さんが伝票を置いていきます(③代金請求時)。食事が終わったら、レジにて会計を済ませます(④代金領収時)。

1日で終わる取引であっても、この4つのタイミングは必ず発生します。ただし、簿記的には日付が変わらないので結果は変わりませんが・・・。

例えば、①契約時に代金を受け取ったなら、これは前受金で計上します。また、②履行時売上が計上され、代金回収が後日となれば売掛金が同時に計上されます。その後、④代金領収時で代金を受け取ったなら、売掛金の回収となります。

実務(税務上)においては、実は年度さえ変わらなければどのタイミングで計上しても問題ないんですよね。ただし、今日は①契約時に計上し、次の日は④料金領収時ということにはなりませんが・・・。確定申告をするときには、きちんと②履行時に合わせるよう決算整理仕訳で調整しないとなりません。

ここまでが、今まで学習してきた内容となります。今回の収益基準の認識においては、同じ商品・サービスであっても、そのものに対し保守がセットでついているなど付加価値があって、それが終了するまで売上を計上できないという考え方を学習します。

商品を引き渡したのに売上を立てられないのはきついので、実際には、商品売買と保守を別々の契約で行うことがあります。

収益認識の5つのステップ

ここでは、商品売買と保守サービスがセットとなっている事例でお話していきます。

【事例】

  1. (株)マーズ設備(会計年度4月1日~翌3月31日)は、4月1日に冷蔵庫の販売と2年間の保守サービスを提供する1つの契約を締結した。
  2. 当社は、契約同日(4月1日)に冷蔵庫を引き渡し、2年間の保守サービスを行う。
  3. 契約書に記載された対価の額は、250,000円(商品の対価は220,000円、保守サービスの対価は30,000円)である。
  4. 商品の引き渡し時に対価250,000円を現金で受け取る。

ステップ1 顧客との契約を識別する。

今回の契約が収益認識基準を採用する一定の契約に該当するかを判定します。実際の問題では、この要件はすでにクリアしているものとし、特に気にしなくてもよいステップとなります。

ステップ2 商品売買と保守サービスの提供を履行義務として識別する。

商品(冷蔵庫)の販売と保守サービスの提供を履行義務として識別し、それぞれ独立した収益認識の単位とします。セット販売なんだけど、「商品の販売」と「保守サービスの提供」を別個の取引として分けて考えることとなります。

ステップ3 取引価格の算定を行う。

商品(冷蔵庫)の販売と保守サービスの提供に対する取引価格を250,000円と算定します。

ステップ4 取引価格を各履行義務に配分する。

商品(冷蔵庫)の販売及び保守サービスの独立販売価格に基づき、取引価格250,000円を各履行義務に配分し、商品(冷蔵庫)の取引価格は220,000円、保守サービスの取引価格は30,000円とします。ここまでは、問題文のとおりです。

ステップ5 履行時期により収益の認識を行う。

履行義務の性質に基づき、商品(冷蔵庫)の販売一時点(4月1日)で履行義務を充足すると判断し、商品(冷蔵庫)の引き渡し時に収益を認識します。また、保守サービスの提供一定の期間(引き渡し時から2年間)にわたり履行義務を充足すると判断し、当期及び翌期の2年間にわたり収益を認識します。

商品の販売時における収益の認識

商品(冷蔵庫)は引き渡し時である4月1日に収益を認識するため、その日に売上を計上します。

保守サービスの提供における収益の認識

保守サービスの提供は引き渡し時から2年間となっているため、当期分と翌期分に分けて、当期末に当期分だけ売上を計上します。したがって、2年分の保守料30,000円÷2年=15,000円を当期末である3月31日に売上を計上します。

 

具体的な仕訳につきましては、次回以降にします。

久しぶりですがちょっとホームページの宣伝します。

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そこで、個人事業者や一人会社(小規模の法人)に対して、会計実務に関するブログを開設しました。中規模以上の会社となると税理士や公認会計士が顧問として就くので、心配事があれば、相談することとなるでしょう。

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税金を納めるためだけに作成してきた確定申告書と違う使われ方が出てきたため、今まで以上に会計知識を備える必要があります。

前置きが長くなりましたが、もし今後このブログで日商簿記検定を取得し、事業を始める方は、弊所ホームページにも目を通していただければと思います。

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