マイホームの購入は、一個人にとっては人生最大の買い物です。その家に住み始めた以降に欠陥に気づいたときは、どうすればいいのでしょうか?
普通に考えれば、修理をしてもらうのですが、最初の契約で何年かは無料で修理してくれるところもあります。ただ、これも民法からの要請ではありません。
現行の民法では、対象物の購入後、知らなかった欠陥を発見した場合(隠れた瑕疵)には、契約解除か損害賠償請求のみとなっています。お金払うから、自分で業者見つけてね!ということになります。
知らなかった欠陥ということなので、搬送途中の微量のキズなんかは、最初から説明を受ける場合があります。かすり傷まで損害賠償されては業者も大変なので、最初に告げてその部分は免責してもらうのです。
「こんなところにシミが!」とか小姑のように指摘されては、建物や車なんて売ることができないので、軽微なキズに対しては、そこまではおおごとにする必要がないということになります。
大体はハウスメーカーの方で対応してくれるので、あまり不便には感じないのですが、民法ではそれしかないので、現状に合った対応をしましょうということに変更になりました。
隠れた瑕疵から契約不適合へ
冒頭で話した通り、「隠れた瑕疵」なので、建物だと契約時や内見のときにここにはキズとか黒ずみが少しありますがなどと事前に話しておけば、その時点で飼い主に買うか買わないか判断してもらう形になるので、買った後にごねても、「それを承知で買ったんでしょ?」ということになるので、売主の責任は必要ありません。
ところが、今回の改正で「隠れた瑕疵」という文言がなくなりました。売買の目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しない場合は、「契約不適合」として売主が責任を負わなければならなくなりました。
まぁ、契約書に瑕疵の文言を入れてしまえば、契約に沿った内容となるので、また別の話になりますが…。
買主から売主への責任追及
契約不適合のモノを引き渡された場合にどうなるか?今までのも含めてひとつずつ説明します。
①履行の追完請求(新)
・欠陥があったときは、修理を請求できます。
・代わりが用意できるものであれば代替品と取り換えてもらうように請求ができます。
・数量が少ないときは、不足分を引き渡してもらうよう請求ができます。
・頼んだものと若干違うタイプのものを引き渡されたときは、正規品と交換してもらうよう請求ができます。
など
②代金減額請求(新)
欠陥や数量不足、種類の違いにより、売主が正規品や代替品が用意できなかったり、買主がそれでもいいよって我慢する代わりに代金を値引きしてもらうよう請求できます。
③損害賠償請求
不適合品によって損害が生じた場合は、お金で解決することができます。
④契約の解除
使い物にならないほどの不適合品を引き渡されたときは、契約を無かったことにすることができます。
これらの項目は、買主が選ぶことができます。そして、たとえば雨漏りのせいで家財道具が使い物にならなくなった場合は、雨漏りの修理の請求と家財道具に対しての損害賠償を重ねてすることができます。
どれも今では当たり前すぎて「あっ、そう?」て感じですが、現代にあわせた改正となっています。