ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

連結会計その2~ダウンストリームとアップストリーム~

この部分は連結会計をする上で大事な考え方となります。

まず1つ目。

連結財務諸表を作成する場合、グループ会社間での売買や貸し借りのような取引は、グループを大きな一会社として考えると、自分から自分への取引ということなので、その部分は消去する仕訳を行います。P社からS社に利益をつけてモノを販売したときも、その利益分は水増しになってしまうため消してしまいます。

この作業を債権債務の相殺控除内部利益の控除といいます。

何故こんなことをしなければならないかというと、P社が赤字決算になりそうなときにS社に借金や過剰在庫を押し付けて、P社こそが健全な経営をしていると見せかけようとすることを防止するためです。

ところで、目に見える財産の移動は大丈夫ですが、目に見えない損益や権利義務などは消去すると考えます。遠くにある会社にわざわざ返しに行けますか?ということです。

そして、この仕訳をするために必要なものが、タイトルにあるダウンストリームアップストリームです。

まず前提の話として、P社は支配する会社なので上位にいます。そしてS社は支配を受ける会社なので下位にいます。この位置関係が大事です。

P社からS社にモノが移動するとき、上から下に川のように流れることからダウンストリームと呼びます。
逆にS社からP社にモノが移動するとき、下から上の流れなのでアップストリームと呼びます。

これから、仕訳の仕方の概要を説明しますが、以下の点に着目して考えてみましょう。

どこの会社の意思で物流をするのか?

非支配株主は存在するか?

ダウンストリーム

まずは簡単な方の説明からです。ダウンストリームはP社からS社にモノが移動する流れです。2人の経営者の例で話をすると、P社のモノを自分の判断でS社にモノを渡すのですから、非株くんには関係ありません。P社の経営は自分だけが行っているからです。したがって、仕訳もシンプルに行います。


例題 P社は土地10,000円をS社に対して15,000円で売却した。

   (持分割合はP社が60%、非支配株主持分は40%です。以下同じ。)

P社の土地を5,000円の利益をつけて売却しているので、その利益について当初の仕訳の逆仕訳をして取り消すこととなります。なお、土地を売った現金預金などはP社にわたっていますから、そのままにします。つまり、原価のまま引き渡すことになります。

【当初の仕訳(P社)】

(現金預金など)15,000/(土地)10,000

           /(土地売却益)5,000

※または固定資産売却益ですが、実際の試験では土地売却益を使うことがほとんどです。

【当初の仕訳(S社)】

(土地)15,000/(現金預金など)15,000

【連結修正仕訳】

(土地売却益)5,000/(土地)5,000

これにより、P社の土地10,000円がS社に原価のまま引き渡されたことになります。

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アップストリーム

 アップストリームはS社からP社にモノが移動する流れです。先ほどと違ってS社には非株くんがいます。利益を受けるときも、費用負担するときも2人一緒が原則ですね。

例題 S社は土地10,000円をS社に対して15,000円で売却した。

【当初の仕訳(P社)】

(土地)15,000/(現金預金)15,000

【当初の仕訳(S社)】

(現金預金)15,000/(土地)10,000

         /(土地売却益)3,000

         /(非支配株主持分)2,000

土地を売った利益5,000円は、それぞれ二人のフトコロに入っています。自分が3,000円(持株比率60%)、非株くんには2,000円(持株比率40%)の取り分です。非株くんへの取り分については、非支配株主持分(純資産)で処理します。P社はこれを返さないとならないとともに、非株くんも返還しないとならないのです。

【連結修正仕訳】

(土地売却益)3,000/(土地)5,000

(非支配株主持分)2,000/

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アップストリームは、非支配株主持分のことも考えないとならないので、問題文を読むときにどっちなのかを判断することを忘れないでください。

連結会計その1~会社のしくみと連結会計~

この連結会計で2級の範囲は終了となります。この後は、サンプル問題を使用したサービス業の貸借対照表と製造業の損益計算書をやる予定です。

まずは本題に入る前に、連結会計を知るためには会社と株式・株主の関係を知っておいた方がよいと思います。

中級者でもう連結会計のしくみを理解されている方については、軽く読み飛ばしていただければと思います。

会社を大きくするには

連結会計とは、グループ会社に対する会計のシステムのことをいいます。

会社を大きくするためには、既存の会社を取り込む合併があります。合併には、ターゲットとなる会社の施設・人材・技術力・顧客などを自社のものにできるメリットがあります。ところが、会社が大きくなりすぎると指揮系統に不利な影響を及ぼすこととなります。大きな銀行同士が合併を行うこと(メガバンク)がありますが、その後企業再編をすることとなります。

そこで次にどうするかというと、分社化(会社分割)ということになります。自社は親会社(管理会社)として、他の部門を子会社にすることで経営陣が増えることになります。管理会社の取締役が、子会社の取締役に指示をすることで指揮系統がまとまるということになります。

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たとえば、食品関係の会社でカフェ部門とファーストフード部門があったが効率化を図るため、それぞれの部門を会社として分社化するということです。

自社が不動産業を新たに行うこととなり、自社で最初からやるには資金・施設・労働力・ノウハウが不足している、または莫大な費用がかかる場合で、合併という選択肢が取れないときの手段として企業買収という方法があります。合意による買収もありますが、力づくで奪う敵対的買収という方法もあります。企業買収には、次の株式のしくみの理解が必要となります。

株式について

株式会社には、株式という単位があります。会社を設立する場合には、自分または仲間で出資をする発起設立と、他人に出資させる募集設立があります。

募集設立では、株券を発行して購入者から資金調達を行い、その対価として株主となってもらう訳です。

株主は配当を受ける権利のほかに、株主総会で会社の決議に参加する権利(議決権)があります。議決権は、選挙や学校の生徒会などの1人1票制ではありません。会社に多く出資した分だけ議決権があります。したがって、50%以上の出資をしている株主は、筆頭株主と呼ばれ過半数の議決を1人で決めることができます。

テレビでもよくやっている代表取締役の解任取締役会で行いますが、その前提資格である取締役の解任株主総会で行います。筆頭株主は経営陣をクビにできる大きな力があるということになります。そのため、会社の経営陣(代表取締役など)が筆頭株主となる場合が前提となります。会社の運営に全く興味のない投資家に会社の運命をゆだねることはできないからです。

親会社としてターゲットの会社を支配するためには、50%以上の株式を持っていないとできないということを理解しておきましょう。

企業買収

もう用語として使っちゃっていますが、親会社は子会社を支配する側、子会社は親会社から支配を受ける側をいいます。例として敵対的買収を説明いたします。

企業買収を成功させるには、親会社として50%の株式の保有が必要となります。そのため市場に出回っている株式を買い占める方法(公開買い付け:TOB)や、多くの株式を所持している重役を取り込むなどの方法があります。

 

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市場で200株を取得することができたP社は、株主の1人を取り込むことに成功し、過半数の300株を保有することができました。これでS社はPグループ会社(最近はホールディングス:HDって呼ばれたりしています。)の参加としてスタートすることとなります。 

 こんなに長い説明でしたが、問題文では「発行済株式総数の60%を○○円で取得し、支配を獲得した。」という文言しか出てきません。

非支配株主持分

今度は、連結会計で必ず出てくる非支配株主について説明します。上記の図によると、P社は500株中300株を取得し、支配を獲得しました。それとは別に200株の株主が2名います。この株主のことを非支配株主といいます。そして、非支配株主が持っている200株を非支配株主持分といいます。

非支配株主が何人も存在すると説明が面倒になるので、以降の例題からP社の株主1人(60%)と非支配株主1人(40%)の2人で共同経営をしていると仮定して話をします。

P社の株主のことは主人公として自分と呼びますが、非支配株主のことは非株くんと呼びます。

共同経営ですから、得をしたときは二人で分け合い、損をしたときは二人で負担をします。これが大原則です。

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連結決算のしくみ

もう一度確認ですが、合併は吸収される会社が消滅します。ところが連結会計では、支配する側もされる側も会社が存続していることに違いがあります。

したがって、決算も個々の会社で行い、個別財務諸表が作成されます。そして、グループ全体の財政状態や経営成績を示すための連結財務諸表を別に作成することとなります。そのため、P社での決算手続、S社の決算手続、グループ全体での決算手続はそれぞれ独立したものだということを念頭においてください。

連結財務諸表を作成するための開始仕訳および連結修正仕訳は、P社の仕訳でもなければS社の仕訳でもありませんから、各社に影響を及ぼす仕訳はないということを覚えておいてください。また翌年度に繰り越さず、毎回同じ工程で始めます。

ここから、その工程ですが…

①開始仕訳

連結が始まった時点から前年度までの仕訳をまとめたものを作成します。

②連結修正仕訳

次に、当年度の連結にかかわる仕訳を作成します。

③連結精算書の作成

個別財務諸表のときと同様に連結精算書を作成します。

④連結財務諸表の作成

連結精算書をもとに連結貸借対照表連結損益計算書を作成します。

 

本支店会計その2~本支店合併財務諸表③特別編~

前2回の内容をもとに今回は実戦向けの解き方を解説します。名誉のために満点目指している方でなければ、第3問が面倒なものであった場合、半分以上取れれば良しとする方法です。

前回の最後に申し上げた通り、第3問の満点20点中、支店勘定(支店当期純利益)と繰越利益剰余金勘定(本支店全体の当期純利益)の4点(各2点)を出すために相当な時間を要します。第1問仕訳問題の各問の点数が4点ですから、この程度のものです。

合格点が70点ですから、4点に10分以上かけるのであれば、他のところに手を回せるわけです。全て埋めたい気持ちはありますが、他の問題を見直す時間に費やした方がいい結果を導きます。何度やっても計算ミスや勘違いなどケアレスミスはついて回ります。

いつも模擬試験をやっても2時間足りないという方は、この方法で練習してみてください。全体的に第3問は、捨て問作ってもいい問題ばかりです。

そして、この問題を解くためのポイントをもう一つ。解答用紙に注目してください。今回は損益勘定の総勘定元帳となります。したがって、貸借対照表のみの仕訳は一部を除いて無視して進みます。そして支店の仕訳は、最終的な支店の当期純利益を計算するためのものですから、これも無視して進みます。

もし、何回もやって時短に成功した方については、本編では示しませんが第2ステップとして支店の方も今回の要領で計算してみてください。そうすれば捨て問はなくなります。

日商問題の解答解説のときは問題すべて掲載しますが、今回は省略してコンパクトにします。

工程1 未処理事項の処理

細かい話は前回までを参考にして頂ければと思います。

まず未処理事項ですが、ここは基本通り仕訳を行います。なぜなら、この未処理事項を適当にやると決算整理事項にも影響を与えるからです。

(1)売掛金回収の未達

売掛金の変動は、決算整理事項②貸倒引当金の算定にかかわる部分です。

売掛金:▲60,000円

※本店のみの数字(以下同じ)を表示しています。

基本的に仕訳は時間がかかるので極力しません。

(2)営業用車両の購入の未記帳

車両の購入は、決算整理事項③減価償却費の計上にかかわる部分です。

車両運搬具:2,000,000円

(3)記帳の誤り

貸借対照表関係のため処理不要です。

(4)本店および支店の未記帳

仕入勘定については、解答用紙への仕入勘定にかかわる部分です。

⑦消費税の精算にも関係しそうですが、本店一括処理のため仕入がプラマイゼロとなりますので、ここの部分は無視して構いません。

仕入:▲108,000円

工程2 決算整理事項の処理

(1)売上原価の算定

本店のみボックス作成して各数値を把握します。

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仕入(売上原価):3,780,000円(前T/B)+717,000円(繰越商品前T/B)-756,000円(期末商品棚卸高)-108,000円(未処理事項④)3,633,000円

これ以上決算整理事項に仕入勘定は登場しません。したがって解答用紙にすぐ記入します。これをすることによって時間が無くなっても部分点を獲得することができます。

全体を把握するために、事前に決算整理事項を把握しておくことが大切です。解答用紙に記入しないといつまでたっても0点のままです。

棚卸減耗損:22,680円(ボックス上図)

商品評価損:19,400円(ボックス上図)

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まずは4点。
(2)貸倒引当金の設定

貸倒引当金繰入勘定のみ計算します。

貸倒引当金:(1,098,000円売掛金前T/B)-60,000円(未処理事項⑴))×1%=10,380円

繰入額:10,380円-10,300円(貸倒引当金前T/B)=80円

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今回配点ではありませんでしたが、予想はできないので仕方ありません。
(3)減価償却費の計上

本店の備品と車両運搬具のみ計算します。

備品(定額法):600,000円(前T/B)÷5年=120,000円

車両運搬具(生産高比例法):2,000,000円(未処理事項⑵)×3,000㎞/150,000㎞=40,000円

減価償却費合計:120,000円+40,000円=160,000円

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ここで2点、計6点。
(4)満期保有目的債券の評価

償却額(償却原価法):1,000,000円(額面)-990,000円(前T/B)÷10年=1,000円

有価証券利息:12,000円(前T/B)+1,000円=13,000円

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ここで2点、計8点
(5)その他有価証券の評価

損益勘定に関係ないので飛ばします。

(6)費用の前払と未払

前払いはマイナス、未払いはプラスでした。

給料:830,000円(前T/B)+70,000円(未払分)=900,000円

支払家賃:780,000円(前T/B)-60,000円(前払分)=720,000円

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どちらか一択で2点、合計10点。ここで一応の半分目標です。
(7)消費税の精算処理(税込方法)

ここは本店と支店、両方の数字を見なければなりません。

売上分(仮受消費税):(7,560,000円(本店前T/B)+3,240,000円(支店前T/B))×8%/108%=800,000円

仕入分(仮払消費税):(3,780,000円(本店前T/B)+1,414,800円(支店前T/B))×8%/108%=384,800円

先ほど述べましたが、未処理事項⑷の商品移動は総体での数字が変わるわけではないので無視します。

租税公課(未払消費税):800,000円-384,800円=415,200円

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ここで2点、合計12点。
(8)のれんの償却

償却額:840,000円(前T/B)÷(10年-3年)=120,000円

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ここで2点、計14点。
(9)広告宣伝費の負担割合の調整

本店の広告宣伝費60,000円を支店が負担してくれるので、差し引きます。

広告宣伝費:319,000円(前T/B)-60,000円=259,000円

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最後の2点で16点達成です。

この状態で目標の16点達成となりました。前T/Bからただ書き写す箇所は、当たり前に得点となりません。また、合計欄を書いても得点にはなりません。

もし、これで時間が1時間弱余るようであれば、支店の部分を改めて計算して答案用紙を完成させてもOKです。

ただし、30分切るようであれば、見直しに集中した方が失点を防ぐことができます。1つでも間違いに気づくことができれば十分です。

特に第1問は各4点ですから、間違いに気付けば捨て問の部分はカバーできます。簿記の問題は計算問題ですから、コスパの計算も上手に行いましょう。

本支店会計その2~本支店合併財務諸表②~

前回の続きです。問題は続きからの掲載です。

 

問 品川商事株式会社は、東京の本店のほかに埼玉県に支店を有している。次の【資料】にもとづき、第7期(平成29年4月1日~平成30年3月31日)の本店の損益勘定を完成しなさい。ただし、本問では「法人税、住民税及び事業税」と税効果会計を考慮しないこととする(149回第3問)。

【資料】

(A)残高試算表(本店・支店)

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(C)決算整理事項等

(4)満期保有目的債券は、平成28年4月1日に、期間10年の額面¥1,000,000の国債(利払日:毎年3月および9月末日、利率年1.2%)を発行と同時に¥990,000で取得したものである。額面額と取得価額との差額は金利の調整と認められるため、定額法による償却原価法(月割計算)を適用している。

(5)その他有価証券の期末時点の時価は¥784,000である。

(6)経過勘定項目(本店・支店)

①本店:給料の未払分¥70,000 支払家賃の前払分¥60,000

②支店:給料の未払分¥50,000 支払家賃の未払分¥50,000

(7)本店および支店の商品売買取引にかかる消費税(税率8%)に関して、本店が税込方式にて一括して申告・納付している。なお、本問では商品売買以外の取引に係る消費税を考慮しないこととする。

※試験当時の消費税率で表示しています。

(8)のれんは、平成26年4月1日に同業他社を買収した際に生じたものである。発生年度から10年間にわたり、毎期均等額ずつ償却している。

(9)本店が支払った広告宣伝費のうち、支店は¥60,000を負担することとなった。

(10)支店で算出された損益(各自算定)が本店に報告された。

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決算整理事項の処理

 (4)満期保有目的債券の評価

満期保有目的債券は本店のみの処理となります。償却原価法については、過去の記事をご覧ください。

 

polytech-mk.hatenablog.com

 

この債券は4月1日(期首)に取得したものですから、月割計算でなくても構いません。

償却額:(1,000,000円-990,000円)÷10年=1,000円

【本店の仕訳】

(満期保有目的債券)1,000/(有価証券利息)1,000

(5)その他有価証券の評価

こちらも本店のみの処理です。帳簿価額725,000円から時価784,000円に評価替えします。値上がりしているのでその他有価証券(資産)をその分増やします。相手勘定はその他有価証券評価差額金です。

その他有価証券の増加分:784,000円(時価)-725,000円(帳簿価額)=59,000円

【本店の仕訳】

(その他有価証券)59,000/(その他有価証券評価差額金)59,000

なお、今回作成するのは損益の総勘定元帳です。損益計算書とほとんど同じですが、損益に関する勘定のみ注視すればよいことになります。

したがって、この(5)の仕訳は損益勘定に絡んでいないので、仕訳をしなくても先に進めることができます。

(6)費用の前払と未払

各費用について、繰延と見越しを行います。3級では具体的に未払給料(費用)などと記入していましたが、2級では概ね表記の方法が若干変わります。

(前T/Bなどの問題文の勘定科目に従います)

前受収益(負債):前受手数料、前受利息など(3級のときの勘定科目、以下同じ)

前払費用(資産):前払給料、前払家賃、前払保険料など

未収収益(資産):未収利息など

未払費用(負債):未払給料、未払家賃、未払保険料など

なお、前受金・前払金・未収金・未払金はそのまま変わりません。

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【本店の仕訳】

(給料)70,000/(未払費用)70,000

(前払費用)60,000/(支払家賃)60,000

【支店の仕訳】

(給料)50,000/(未払費用)50,000

(支払家賃)50,000/(未払費用)50,000

(7)消費税の精算処理(税込方式)

すべての勘定科目を税込みで計算すると、それだけで試験が終わってしまうため時間の都合上商品売買のみとしています。したがって、売上と仕入に関しての消費税を計算します。

なお、試験当時は消費税8%であったため、そのまま8%で計算しています。税込時の処理については、8%/108%(現在は10%/110%)で計算します。

消費税の仕訳は、問題文にもあるとおり本店で一括処理をします。

売上分の消費税(仮受消費税):(7,560,000+3,240,000)[前T/B]×8%/108%=800,000円

仕入分の消費税(仮払消費税):(3,780,000+108,000+1,414,800-108,000)[前T/Bと未処理事項④]×8%/108%=384,800円

未払消費税:800,000円-384,800円=415,200円

【本店の仕訳】

(未払消費税)415,200/(租税公課)415,200

(8)のれんの償却

のれんは4月1日(期首)に発生したものですから、月割計算は要しません。また、本店のみの仕訳となります。

発生時から3年(26年度から28年度)経過していますので、前T/Bの帳簿価額はすでに3年分差し引かれた金額となっています。

償却額:840,000円(前T/B)÷(10年-3年)=120,000円

【本店の仕訳】

(のれん償却)120,000/(のれん)120,000

(9)広告宣伝費の負担割合の調整

本店の広告宣伝費60,000円を支店にそのまま振り替えます。

【本店の仕訳】

(支店)60,000/(広告宣伝費)60,000

【支店の仕訳】

(広告宣伝費)60,000/(本店)60,000

(10)支店の当期純利益の振り替え

配布されているメモ用紙に簡単な決算整理後残高試算表(後T/B)を作成します。

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 今回の計算の関係するのは損益項目ですから赤枠と青枠のみを記入します。メモ用紙ではなく問題用紙の前T/Bに直接書き込んでもいいと思います。あと、勘定科目も「家賃」「棚減」「商損」とかわかる程度に省略して書いてください。

ここから支店の当期純利益を計算しますと以下のとおりとなります。

支店当期純利益:3,241,800円(収益合計)-3,033,550円(費用合計)=208,250円

【本店の仕訳】

(支店)208,250/(損益)208,250

【支店の仕訳】

(損益)208,250/(本店)208,250

※基本なので表示していますが、支店の当期純利益さえ把握していれば、実際には仕訳は不要です

答案用紙にそれぞれの赤枠の金額合計と支店勘定(支店の当期純利益)を記入して全体の当期純利益を計算します。

当期純利益:7,651,700(収益合計)+208,250(支店当期純利益)-6,305,360円(費用合計)=1,554,590円繰越利益剰余金

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もし、問題文に本支店の一致金額を求められた場合、上の数字も前回までの分を足して記入することになります。

本支店の一致金額:1,844,000円(未処理事項まで)+208,250円(支店純利益)=2,052,250円

 

次回はせっかくなので、支店勘定と繰越利益剰余金勘定の4点捨ててもいいという方のための速攻解答編を解説します。

本支店会計その2~本支店合併財務諸表①~

支店をたくさん持っている会社でも、それぞれの業績はさまざまです。それでは実際わが社全体で、どれだけの業績が上がっているのかを示すために、本店および各支店の決算書をひとまとめに作成したものを本支店合併財務諸表といいます。

本支店合併財務諸表の作業工程は以下のとおりです。

①本店と各支店それぞれの決算整理前残高試算表を作成する。

②未達事項・未処理事項・決算整理事項に関する仕訳をする。

③本店勘定と支店勘定を取り除く。(内部取引の相殺)

④各勘定科目を合算して本支店合併財務諸表を完成させる。

⑤総勘定元帳を締め切り、繰越試算表を作成する。

ここは1つ1つやるよりも、過去問形式で実際に説明したいと思います。今回は決算整理事項の(3)までです。問題文もそこまで表示しています。

 

 品川商事株式会社は、東京の本店のほかに埼玉県に支店を有している。次の【資料】にもとづき、第7期(平成29年4月1日~平成30年3月31日)の本店の損益勘定を完成しなさい。ただし、本問では「法人税、住民税及び事業税」と税効果会計を考慮しないこととする(149回第3問)。

【資料】

(A)残高試算表(本店・支店)

 

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わかりやすいように本店勘定と支店勘定を塗りつぶしてます。

(B)未処理事項等

(1)本店の売掛金¥60,000が回収され、本店で開設している当社名義の当座預金口座に入金されていたが、銀行からの連絡が本店に届いていなかった。

(2)平成30年3月1日、本店は営業用の車両¥2,000,000を購入し、代金の支払いを翌月末とする条件にしていたが、取得の会計処理がなされていなかった。

(3)本店が支店へ現金¥67,000を送付していたが、支店は誤って¥76,000と記帳していた。

(4)本店が支店へ商品¥108,000(仕入価額)を移送したにもかかわらず、本店・支店ともその会計処理がなされていなかった。

(C)決算整理事項等

(1)商品の期末棚卸高は次のとおりである。売上原価を仕入勘定で計算する。ただし、棚卸減耗損および商品評価損は、外部報告用の損益計算書では売上原価に含めて表示するものの、総勘定元帳においては、棚卸減耗損および商品評価損を仕入勘定に振り替えず独立の費用として処理する。

①本店(上記B(4)処理後)

原価:@¥756 正味売却価額:@¥736

帳簿棚卸数量:100個 実地棚卸数量:970個

②支店(上記B(4)処理後)

原価:@¥540 正味売却価額:@¥550

帳簿棚卸数量:800個 実地棚卸数量:785個

(2)本店・支店とも売上債権残高の1%にあたる貸倒引当金を差額補充法により設定する。

(3)有形固定資産の減価償却

①備品:本店・支店とも、残存価額ゼロ、耐用年数5年の定額法

②車両運搬具:総利用可能距離150,000㎞ 当期の利用距離3,000㎞、残存価額ゼロ

未処理事項等の処理

本店と支店は距離が離れているため、現金や商品が到着するのに時間がかかります。決算日をまたぐこともあるため、事前に連絡をしておきます。ところが、その連絡がうまく届かなかった場合、その取引があったものとして仕訳をしておかなければなりません。これを未達事項といいます。

今回は相手が銀行ですが、これも未達事項となります。

(2)~(4)は人為的ミスなので未処理事項となります。

そして本題に入る前に、本支店会計の問題を解くためには、1つの原則を守らなければなりません。

本店勘定と支店勘定は貸借逆のカタチで金額が一致する

資料Aの残高試算表(以下前T/B)を見ると、本店勘定(¥1,745,000)と支店勘定(¥1,736,000)が一致していません(不一致金額は¥9,000)。この状態を解消するのが最初の工程となります。

(1)売掛金回収の未達

本店の売掛金60,000円を現金預金で回収しましたが、銀行からの連絡がないため放置しています。(銀行勘定調整表の論点)

したがって、次の仕訳が必要となります。

【本店の仕訳】

(現金預金)60,000/(売掛金)60,000

(2)営業用車両購入の未記帳

これも本店の処理が必要です。単なる未記帳なので仕訳をするだけです。

【本店の仕訳】

(車両運搬具)2,000,000/(未払金)2,000,000

本店勘定および支店勘定には変動はありません。

(3)記帳の誤り

支店の記帳を訂正します。

【支店の仕訳(誤)】

(現金預金)76,000/(本店)76,000

【支店の仕訳(正)】

(現金預金)67,000/(本店)67,000

【訂正すべき仕訳】

(本店)9,000/(現金預金)9,000

(4)本店及び支店の未記帳

本店から支店の商品の発送処理の仕訳をします。

【本店の仕訳】

(支店)108,000/(仕入)108,000

【支店の仕訳】

仕入)108,000/(本店)108,000

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この時点で本店勘定と支店勘定の照合をします。すると、それぞれ1,844,000円で一致しました。

決算整理事項の処理

通常なら同じ科目は合算して行いたいのですが、最後に支店の当期純利益を出さないとならないため、本店と支店それぞれで計算をします。

時間がなかったり、ある程度捨て問とする場合には、合算して計算しても構いません。

(1)売上原価の算定

 ①本店の処理

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※古いノートから画像引っ張ってきたのですが、ところどころ棚卸減耗損が誤って棚卸減耗費となっています。棚卸減耗費は工業簿記で使用する勘定科目です。

期首商品棚卸高:717,000円(前T/B)

期末商品棚卸高:@756円(原価)×1,000個(帳簿棚卸数量)=756,000円

棚卸減耗損:@756円×(1,000個-970個(実地棚卸数量))=22,680円

商品評価損:(@756円-@736円(正味売却価額))-970個=19,400円

【決算整理仕訳⑴本店分】

仕入)717,000/(繰越商品)717,000

(繰越商品)756,000/(仕入)756,000

(棚卸減耗損)22,680/(繰越商品)22,680

(商品評価損)19,400/(繰越商品)19,400

②支店の処理

帳簿価額より正味売却価額が値上がりしているため、商品評価損はありません。

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期首商品棚卸高:483,000円

期末商品棚卸高:@540円×800個=432,000円

棚卸減耗損:@540×(800個-785個)=8,100円

【決算整理仕訳⑴支店分】

仕入)483,000/(繰越商品)483,000

(繰越商品)432,000/(仕入)432,000

(棚卸減耗損)8,100/(繰越商品)8,100

(2)貸倒引当金の設定

①本店の処理

未処理事項等の処理(1)で本店の売掛金に変動があったことに注意です。

本店の売掛金:1,098,000円(前T/B)-60,000円(B⑴)=1,038,000円

貸倒引当金:1,038,000円×1%-10,300円(前T/B)=80円

【決算整理仕訳⑵本店分】

(貸倒引当金繰入)80/(貸倒引当金)80

②支店の処理

貸倒引当金:865,000円(前T/B)×1%-6,200円(前T/B)=2,450円

【決算整理仕訳⑵支店分】

(貸倒引当金繰入)2,450/(貸倒引当金)2,450

(3)減価償却費の計上

①本店の処理

a.備品(定額法)

減価償却:600,000円(前T/B)÷5年=120,000円

b.車両運搬具(生産高比例法)

減価償却:2,000,000円(B⑵)×3,000㎞/150,000㎞=40,000円

【決算整理仕訳⑶本店分】

減価償却費)160,000/(備品減価償却累計額)120,000

           /(車両運搬具減価償却累計額)40,000

②支店の処理

 備品の減価償却:350,000円(前T/B)÷5年=70,000円

【決算整理仕訳⑶支店分】

 (減価償却費)70,000/(備品減価償却累計額)70,000

本支店会計その1~本支店会計の概要~

本支店会計とは、本店支店が存在する場合の会計制度を言います。個々の会社の仕訳については変わりませんが、本支店間での取引についての仕訳の仕方を説明します。

この本支店会計の処理方法には、本店集中会計制度支店独立会計制度の2つの方法があります。

本店集中会計制度は、支店が行った取引もすべて本店が行うこととし、支店は全く仕訳をしない制度です。

支店独立会計制度は、本店と支店のそれぞれに会計帳簿を置いて、支店の取引は支店が仕訳を行う制度です。2級では、支店独立会計制度のみが出題されます。

それでは本支店間の具体的な取引について、1つずつ説明していきます。

 本店から支店に現金を送付したとき

以前、工業簿記で本社工場会計を取り上げましたが、それと考え方は同じです。使う勘定科目は、本店勘定(支店で使用)と支店勘定(本店で使用)の2つです。

原則として、本店の財産が増えたり、得をしたときは、本店勘定を借方に記入し、逆に財産が減ったり、損をしたときは、本店勘定を貸方に記入します。

支店勘定も同じ考え方となります。

 

例題 札幌本店は、旭川支店に現金10,000円を送付し、旭川支店はこれを受け取った。

まずは、札幌本店の仕訳を見ていきます。

札幌本店は、現金10,000円を送付しましたので、現金(資産)の減少となります。

       /(現金)10,000

そして、旭川支店の財産が増えましたので、相手勘定には支店と記入します。ちなみに3つ以上支店があるときは、他の支店と区分して旭川支店と具体的に記入します。

【札幌本店の仕訳】

(支店)10,000/(現金)10,000

次に旭川支店の仕訳です。

旭川支店は現金10,000円を受け取りましたので、現金(資産)の増加となります。

(現金)10,000/

そして、札幌本店の財産が減りましたので、相手勘定には本店と記入します。

旭川支店の仕訳】

(現金)10,000/(本店)10,000

ここで本支店会計のポイントですが、本店勘定と支店勘定は貸借逆で金額が必ず一致します。

札幌本店の支店勘定は10,000円(借方)、旭川支店の本店勘定は10,000円(貸方)で一致しています。これが一致しないと仕訳のどこかが間違っているということになります。

本店の売掛金を支店が代わりに受け取ったとき

これも現金と同じように考えます。本店の売掛金(資産)が減少し、支店の現金預金等の財産が増えます。

例題 旭川支店は札幌本店の売掛金10,000円を現金で受け取り、札幌本店はその連絡を受けた。

【札幌本店の仕訳】

(支店)10,000/(売掛金)10,000

旭川支店の仕訳】

(現金)10,000/(本店)10,000

本店が支店に商品を送付したとき

商品は原価のまま送付しますので、仕入(費用)でやり取りします。

例題 札幌本店は商品10,000円(原価)を旭川支店に送付し、旭川支店はこれを受け取った。

【札幌本店の仕訳】

(支店)10,000/(仕入)10,000

旭川支店の仕訳】

仕入)10,000/(本店)10,000

余談ですが、昔は利益分を加算して支店に売りつける仕訳だったんですが、1級に移行しました。以下は参考まで...

【札幌本店の仕訳】

(支店)10,000/(支店へ売上)10,000

旭川支店の仕訳】

(本店から仕入)10,000/(本店)10,000

あとは、買掛金や営業費などの経費を代わりに支払う問題が出題されます。

支店が2つ以上あるとき(支店間取引)

支店間取引の処理方法にも本店集中計算制度支店分散計算制度の2つの処理方法があります。

例題 旭川支店は釧路支店に商品10,000円(原価)を送付した。

本店集中計算制度

各支店の帳簿に本店勘定のみを置き、支店間で行われた取引は本支店間で行われた取引とみなします。つまり、実際には違うけれど本店を経由して取引が行われたとします。

旭川支店の仕訳】

(本店)10,000/(仕入)10,000

【札幌本店の仕訳】

仕入)10,000/(旭川支店)10,000

(釧路支店)10,000/(仕入)10,000

なお、この仕訳は仕入勘定を相殺して以下の仕訳となります。

【札幌本店の正しい仕訳】

(釧路支店)10,000/(旭川支店)10,000

【釧路支店の仕訳】

仕入)10,000/(本店)10,000

支店分散計算制度

各支店に○○支店の勘定科目を設けて、それぞれの支店で仕訳をします。本店は関与しません。

旭川支店の仕訳】

(釧路支店)10,000/(仕入)10,000

【釧路支店の仕訳】

仕入)10,000/(旭川支店)10,000

【札幌本店の仕訳】

仕訳なし

会社の合併

ここからは、会社が複数関係している取引を見ていきます。このテーマについては、会社の合併本支店会計連結会計の3つがあります。

まずは、会社の合併から見ていきましょう。

合併のイメージ

合併とは、2つ(以上)の会社が合体して、1つの会社となることをいいます。合併には、吸収合併新設合併があります。

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吸収合併:1つの会社が消滅して(消滅会社または被合併会社)、もう一つの会社(存続会社または合併会社)に吸収されることをいいます。

新設合併:2つの会社が消滅して、1つの新たな会社(新設会社または合併会社)が誕生することをいいます。

2級では、吸収合併のみを取り扱います。

存続会社は消滅会社の資産・負債の一切を時価相当額で受け継ぐことになります。つまり、消滅会社丸ごと購入するようなイメージとなります。この方法をパーチェス法といいます。

簿記でいう合併の形態は大きく2つあります。

1つは、吸収する会社のブランド力や顧客・技術力などを自社に取り入れるために行うものです。

ところで、会社の総資産から総負債を除くと純資産(資本金)となりますが、端的にいえば、この資本金が消滅会社の正味価値ということになります。そして、この場合正味価値よりも高値で購入することとなります。

では、どのように消滅会社を購入するかということですが、単純に現預金を出すということも考えられますが、簿記では新しい株式を発行することがほとんどです。

会社の持ち主は経営陣ではなく株主です。消滅会社にも株主はたくさんいます。合併してしまうと消滅会社はなくなりますが、株主の今まで持っていた株式も無くなってしまいます。

このまま合併をすると、株主は当然猛反対することとなりますから、どうにか納得させる材料が必要となるわけです。そこで、消滅会社の株式を存続会社の株式に交換すればよいという形になります。合併をする会社ですから、消滅会社の株価<存続会社の株価と考えられますので、株主は納得して交換に応じる訳です。

なお、新たな株式を発行すると各株主の議決権行使などに支障が出たりします。選挙と違って1人1票ではなく、所有する株式の数に応じて議決権が得られます。つまり、多くの株式を所有している人がより強大な権利を持っているのです。

例えていうなら、一般観客が1票で、審査委員長が10票分持っているようなテレビ番組の審査みたいなものです。某歌合戦の番組でWEB投票が反映されていないと話題になったことはありますが… 

したがって、既存の株主は反対するかもしれませんが、簿記ではここまでの話にはならないので、これ以上の説明は省きます。

もう1つは、潰れそうな会社を救うために合併する場合です。会社の土地や建物がタダで手に入るとか、特許や技術があるなどそれなりのメリットがあって合併することとなりますが、こちらの方は会社の正味価値よりも低い価額で取引することとなります。

会社の経営陣は従業員が路頭に迷うこともないし、会社の負債も背負ってくれるメリットがあり、株主も投資金額がゼロ円になるよりも、低くても株式を取得できるならと合併に応じることでしょう。

この2つのケースについて、簿記ではどのような取扱いをしていくのかを具体的に見ていきましょう。

会社の価値よりも高い価額で合併する場合(最初のパターン)

大体、このパターンが出題されます。最初で申し上げた通り、存続会社(以後M社)は消滅会社(以後E社)の総資産と総負債の一切を引き継ぎます(パーチェス法)。

ここからは例題に沿って説明します。

 

例題 M社はE社を吸収合併し、E社の株主に対して新株100株(発行時の時価@1,000円)で発行し、全額を資本金とした。なお、合併直前のE社の資産・負債の時価は諸資産200,000円、諸負債150,000円であった。

E社の正味価額は200,000円ー150,000円=50,000円です。これを100株×@1,000円=100,000円出して買いました。E社には倍の金額を出しても満足できるブランド力、顧客数などがあったのでしょう。このブランド力などの見えない価値(ここでは差額の50,000円)をのれん(資産)で処理します。

仕訳の順序で説明すると、まずE社の諸資産と諸負債をそのまま記入します。

(諸資産)200,000/(諸負債)150,000

※合併の問題では、諸資産・諸負債という勘定科目で出てくるのでそのまま使いますが、実際には現金や売掛金などの総称です。

次に新たに株式を発行した金額を資本金(純資産)として処理します。

資本金(新株式発行価額):100株×@1,000=100,000円

(諸資産)200,000/(諸負債)150,000

         /(資本金)100,000

最後に貸借差額をのれん(資産)として処理します。

【正解の仕訳】

(諸資産)200,000/(諸負債)150,000

(のれん)50,000/(資本金)100,000

会社の価値よりも低い価額で合併する場合(2番目のパターン)

記入の仕方は途中までのれんと同じですが、こちらの方は金額的には得をして合併しているので、貸借差額を負ののれん発生益(収益)で処理します。

 

例題 M社はE社を吸収合併し、E社の株主に対して新株100株(発行時の時価@300円)で発行し、全額を資本金とした。なお、合併直前のE社の資産・負債の時価は諸資産200,000円、諸負債150,000円であった。

資本金(新株式発行価額):100株×@300=30,000円

【正解の仕訳】

(諸資産)200,000/(諸負債)150,000

         /(資本金)30,000

        /(負ののれん発生益)20,000

のれんの償却

のれんも無形固定資産と同じように定められた年数(取得後20年以内)で直接法・定額法により償却をします。定められた年数は問題文で示されます。

たとえば、上記ののれん50,000円(期首に取得)を20年で償却するときは、毎期末の決算処理で行う必要があります。

のれんの償却額:50,000円÷20年=2,500円

(のれん償却)2,500/(のれん)2,500

 

大分遅く気づきましたが、5月8日に155回簿記検定が全国的に中止となったようです。11月の実施はまだわかりませんが、間延びしたからと油断せず自粛体制のこの時期だからこそ、知識の補充をして次回の合格を目指してください。

 1ヶ月休んでしまうとほとんど最初にリセットされてしまうケースの方もいますので、本当に気をつけて下さい。