ポリテク火星出張所!

現在は簿記のこと、経済学、民法改正などを中心にブログを書いています。

152回日商簿記2級の解答について~第3問 貸借対照表+税効果会計②~

初めて受験される方・いつも時間に余裕のない方は、税効果会計の論点と8を飛ばしてください。これでも12~16点は取れます。

税効果会計の計算が別に苦じゃない方や時間に余裕のある方は、残り時間に応じて、それ以降を1つずつ追加する形で解いていきます。これで16点~20点を目指します。

今回は、12~16点を目指すところまで説明します。それでは、[資料3]決算整理事項からです。

1.売上原価の算定

 通常であれば、「仕・繰・繰・仕」により仕訳をしますが、最終的な商品の金額がわかればいいので、決算整理前残高試算表(以降前T/B)の繰越商品は無視することになります。したがって、期末商品ー商品評価損ー棚卸減耗損の計算だけでOKです。

商品:8,900,000-170,000-230,000=8,500,000円

 ※期末商品棚卸高ー商品評価損ー棚卸減耗損=貸借対照表(以下B/S)「商品

答えがわかったので、早速解答用紙に記入します。

f:id:polytech-MK:20190612135418j:plain

2.売上債権にかかる貸倒引当金の算定

売上債権の「1,000分の10」つまり1%を貸倒引当金とします。また、後に続く税効果会計もありません。

通常では、差額補充法と書いてあるので、前T/B分を差し引いて仕訳を行うのですが、最終的にはどうするんでしたっけ?そうです。差し引いた分は、B/Sに記入するときに加算しなければならないので、差額補充法を気にする自体が無駄な時間となります。

売掛金の残高は、9,960,000円から前回の修正分740,000円([資料2]2.)を差し引いた9,220,000円となっています。その数字に直接1%かけるだけです。

貸倒引当金:(9,960,000-740,000)×1%=92,200円

f:id:polytech-MK:20190612141333j:plain

3.減価償却費の計算

ここは、備品の減価償却についてのみ、後に続く税効果会計が関係しています。

税効果会計については、後でまとめてやりますので、ここでは触れません。

ということで、減価償却累計額の計算のみ行います。

建物:帳簿価額15,000,000円(前T/B残高)、耐用年数30年、残存価額ゼロ

今回の減価償却費:15,000,000円÷30年=500,000円

建物減価償却累計額:5,000,000円(前T/B残高)+500,000円=5,500,000円

備品:帳簿価額7,200,000円(前T/B残高)、耐用年数6年、残存価額ゼロ

今回の減価償却費:7,200,000円÷6年=1,200,000円

備品減価償却累計額1,200,000円

f:id:polytech-MK:20190612142734j:plain

4.消費税の処理(税抜方式)

ここは、テキスト通りの計算で事足ります。もちろん仕訳も不要です。ここで計算した消費税は、未払消費税(負債)で処理します。

未払消費税:7,280,000円(前T/B仮受消費税)-6,064,000(前T/B仮払消費税)=1,216,000円

f:id:polytech-MK:20190612143543j:plain

 5.長期貸付金にかかる貸倒引当金の設定

ここの長期貸付金の利息の情報は全く必要ありません。なぜなら3月31日当日に支払経理済みだからです。これが経理されていないとかいう文言があればやらなければなりませんが…。したがって、ここで行うことは貸倒引当金を設定するだけのことです。

また、この部分も後からの税効果会計に関わる箇所です。

貸倒引当金:3,000,000円(前T/B残高)×15%=450,000円

f:id:polytech-MK:20190612144336j:plain

6.その他有価証券の処理

その他有価証券は、B/Sには、投資有価証券(資産)で表示します。

その他有価証券の期末時点の時価7,700,000円となっていますので、これを記入するだけです。

f:id:polytech-MK:20190612154712j:plain

7.法人税等の処理

法人税、住民税及び事業税(長いので以前の呼び方の法人税等で呼びます。)については、問題によっては、最後の税引前当期純利益を出さないと計算できないものもあります(税引前当期純利益の40%など)。しかし、今回は金額が示されているため、非常に簡単です。

法人税等-仮払法人税等=未払法人税等の式にしたがって解けばいいだけです。

未払法人税等:2,054,000円ー720,000円(前T/B仮払法人税等)=1,334,000円

f:id:polytech-MK:20190612153515j:plain

おまけの1つ

( )内に用語を埋める問題は、用語と金額がセットでなければ2点とならないときや用語もしくは金額のみで2点もらえるときもあります。

まずは、今まで解いた解答用紙を確認しましょう。

f:id:polytech-MK:20190612155310j:plain

( )が一つ埋まっていないですね。ここに何が入るのか?ヒントは、このタイトルに隠されています。

今回のテーマは、貸借対照表の作成のほか、税効果会計がテーマとなっています。そして、[資料3]の8に注目すると、繰延税金資産(固定資産)と繰延税金負債固定負債)のどちらかを表示すると書いてあります。

空欄があるのは、固定負債のところですから、そのカッコ内に入るのは、繰延税金負債となります。税効果会計は苦手だけど、なるべく点をあげたい人は、せめて空欄の勘定科目を埋めましょう。ちなみに、各社の予想配点では、金額がわからなくても、この( )内に繰延税金負債と書くだけで2点だそうです。

まとめ

ここまでで15分から~20分で解けると思います。そして気になる配点ですが…16点です。こんなスカスカな答案用紙であるにもかかわらず、4点しか失点していないことをどう感じていただけるでしょうか?

f:id:polytech-MK:20190612160502j:plain

前回の151回の連結精算書もトリッキーな出方でしたが、連結の項目を抜かしても14点取れる配点でした。第3問については、決算整理仕訳を順番にする必要はなく、知っているところを埋めていくことで半分以上は正解できます。わからないときや長文で時間かかるものについては、飛ばせる勇気も必要です。そして、1,2,4,5の大問さえ解ければ、第3問はおまけみたいなものです。

簿記のメインディッシュは第3問としながらも、そこを重視しない解き方で合格できますので、安心して取り組んでほしいと思います。

次回は、この先満点を目指すところまで進めていきたいと思います。

 

この期間中については、行政書士マーズオフィス個別指導部として宣伝もさせていただきます。弊事務所では、簿記講座をはじめとする社会に使える資格を個別指導方式で教えています。この簿記2級の本試験問題については、「日商簿記2級実戦編」として北海道旭川市近辺の方を対象に行っていますので、よろしくお願いいたします。

f:id:polytech-MK:20190611021142j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021158j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021215j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021235j:plain

 

152回日商簿記2級の解答について~第3問 貸借対照表+税効果会計①~

いよいよ、最後の問題です。150回以来の普通の貸借対照表です。なかなか、サービス業や製造業が出題されないので、また次回以降に持ち越しです。

貸借対照表のスタンダードな解き方は、決算整理仕訳をしっかり行ってから、貸借対照表に必要なものを抜き取って完成させます。しかし、この方法では、時短にならないし、他社とあまり変わらないので、自分の方法で解説します。

貸借対照表の作成に必要なのは、基本的に資産・負債・純資産の3項目だけです。また、本問を除く第1問から第5問までで十分貯金をしている方には、12~16点取れればいいので、満点目指す方法もしていません。

特に初めて試験を受ける方は、ペース配分の調整が難しいので、時短の方法を教えてから、時間が余るようであれば、損益項目を解く方法に徹しています。そこら辺を踏まえて、お読みください。なお、参考程度に仕訳を表示します。

 

*マーズオフィスでの財務諸表の解答方法*

貸借対照表なら資産・負債・純資産のみピックアップして解く。

損益計算書なら収益・費用のみピックアップして解く。

③仕訳をするのは、基本、修正仕訳のみ。

④第3問の合計欄については、採点箇所ではないため、時間のない人は書かない。また、時間のある人でも2周目の確認作業のときまで記入を避ける。

⑤終盤の税金や当期純利益は大体捨て問。

貸借対照表メインで出題され、損益計算書の項目がおまけでついているものについては、損益項目は簡単なもの以外捨て問。(その逆も同様)

⑦もうこの勘定科目は動かないと確定した時点で即座に解答用紙に記入する。

 ⇒ 全部の仕訳終わってから解答用紙に書いてたら、時間切れになったときはメモ用紙にしか書いていないので当然0点です。

以上のことを踏まえて、早速、解説していきます。

 

問 次に示した商品売買業を営む株式会社鹿児島商会の[資料1]から[資料3]にもとづいて、答案用紙の貸借対照表を完成させなさい。会計期間は20X8年4月1日より20X9年3月31日までの1年間とする。本問では貸倒引当金減価償却およびその他有価証券の3項目に関してのみ税効果会計を適用する。法定実効税率は前期・当期とも25%であり、将来においても税率は変わらないと見込まれている。なお、繰延税金資産は全額回収可能性があるものとする。

[資料1]決算整理前残高試算表

f:id:polytech-MK:20190612101636j:plain

[資料2]決算にあたっての修正事項

1.期中に火災に遭ったが保険を付していたため、焼失した資産の帳簿価額(減価償却費計上済)を火災未決算勘定に振り替える処理を行っていた。決算の直前に保険会社から20X9年4月末日に保険金¥1,540,000が当社の普通預金口座に入金されることが決定したとの連絡が入った。

2.売掛金¥740,000が決算日に回収され当社の当座預金口座に入金されていたが、その連絡が届いていなかったので未処理である。

[資料3]決算整理事項等

1.期末商品帳簿棚卸高は¥8,900,000である。甲商品には商品評価損¥170,000、乙商品には棚卸減耗損¥230,000が生じている。いずれも売上原価に算入する。

2.売上債権の期末残高につき、「1,000分の10」を差額補充法により貸倒引当金として設定する。なお、当該引当金にかかる税効果は生じていない。

3.建物、備品とも残存価額ゼロ、定額法に手減価償却を行う。建物の耐用年数は30年、備品の耐用年数は6年である。ただし、備品は投機種に購入したものであり、税務上の法定耐用年数が8年であることから、減価償却費損金算入限度超過額に係る税効果会計を適用する。

4.消費税の処理(税抜方式)を行う。

5.長期貸付金は、20X8年10月1日に期間5年、年利率4%、利払日は毎年3月31日と9月30日の年2回の条件で他社に貸し付けたものである。貸付額につき15%の貸倒引当金を設定する。ただし、これに対する貸倒引当金繰入について損金算入が全額とも認められなかったため、税効果会計を適用する。

6.その他有価証券の金額は、丙社株式の前期末の時価である。前期末に当該株式を全部純資産直入法にもとづき時価評価した差額について、期首に戻し入れる洗替処理を行っていなかった。そのため、決算整理前残高試算表の繰延税金資産は前期末に当該株式に対して税効果会計を適用した際に生じたものであり、これ以外に期首時点における税効果会計の適用対象はなかった。当期末の丙社株式の時価は¥7,700,000である。

7.法人税、住民税及び事業税に¥2,054,000を計上する。なお、仮払法人税等は中間納付によるものである。

8.繰延税金資産繰延税金負債を相殺し、その純額を固定資産又は固定負債として貸借対照表に表示する。

 

前置きの時点で既に2,000字近いです。だから、決算の修正事項だけやっつけて、決算整理事項は次回にします。

決算修正事項は、後の決算整理事項に影響を与える内容となるので、ここはしっかりと仕訳を行います。

1.火災未決算の処理

まず、焼失した時点で次の処理が行われています。

*火災発生時の処理*

(火災未決算)3,600,000/(何らかの資産)×××

減価償却費累計額)×××

そして、今回保険金が下りるという報告を受けたので、火災未決算の処理が必要となります。まず、貸方に火災未決算3,600,000円を置いて、プラマイゼロになります。そして、保険金額が1,540,000円下りる予定になったので、その分は未収入金(資産)で処理します。あとは、損したことになるので、火災損失(費用)で処理します。

*修正仕訳*

(未収入金)1,540,000/(火災未決算)3,600,000

(火災損失)2,060,000

なお、火災損失は費用なので、今回はいらないデータとなります。

2.売掛金の回収

売掛金当座預金に入金になったということで、両方とも必要なデータとなります。また、決算整理前残高試算表(以降「前T/B」)には当座預金という勘定科目はなく、現金預金として処理する必要があります。

*修正仕訳*

(現金預金)740,000/(売掛金)740,000

売掛金の変動は、貸倒引当金の計算に大きく影響しますので、修正仕訳が問題にあるときは定番の仕訳となります。

 

この期間中については、行政書士マーズオフィス個別指導部として宣伝もさせていただきます。弊事務所では、簿記講座をはじめとする社会に使える資格を個別指導方式で教えています。この簿記2級の本試験問題については、「日商簿記2級実戦編」として北海道旭川市近辺の方を対象に行っていますので、よろしくお願いいたします。

f:id:polytech-MK:20190611021142j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021158j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021215j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021235j:plain

 

152回日商簿記2級の解答について~第5問 標準原価計算~

問 株式会社ガトーニッショウでは、2種類の洋菓子(製品Xと製品Y)を製造している。原価計算方式としては標準原価計算を採用している。加工費の配賦基準は直接作業時間であり、予算直接作業時間を基準操業度としている。現在、2019年5月の予算と実績に関するデータを入手し、実績検討会議に向けた報告書を作成している。次の[資料]にもとづいて、下記の問に答えなさい。

[資料]

1.原価標準(製品1個当たりの標準原価)

⑴製品X

 原料費 6円/g×100g       600円

 加工費 1,500円/時間×0.4時間 600円

 合 計           1,200円

⑵製品Y

 原料費 8円/g×150g       1,200円

 加工費 1,500円/時間×0.6時間 900円

 合 計           2,100円

2.2019年5月予算

f:id:polytech-MK:20190611221038j:plain

 ※加工費予算は変動予算を用いている。

3.2019年5月実績

f:id:polytech-MK:20190611221121j:plain

 ※月初・月末に仕掛品は存在しない。

問1 予算生産量にもとづく製品Xの標準原価(予算原価)を計算しなさい。

問2 実際生産量にもとづく製品Xの標準原価を計算しなさい。

 

二つともとりあえず簡単なので、さっさと計算してしまいます。資料1の製品Xの標準原価に2と3の生産量を掛けるだけです。

問1の式)1,200円(Xの標準原価)×2,000個(2.の生産量)

問2の式)1,200円(Xの標準原価)×2,200個(3.の生産量)

*正解*

問1 2,400,000円

問2 2,640,000円

 

問3 製品Yの標準原価差異を分析し、

⑴原料費差異を価格差異と数量差異に分けなさい。

⑵加工費差異を予算差異、能率差異、操業度差異に分けなさい。なお、能率差異は変動費と固定費の両方からなる。

 

⑴ですが、まずはスタンダードにボックスを使って解いていきます。

ところで工業簿記の標準原価計算の再分析に使うボックスと、商業簿記に使う棚卸減耗損や商品評価損に使うボックスの2種類がありますが、覚え方があります。

f:id:polytech-MK:20190611233945j:plain

工業簿記に使うボックスが左側です。きちんと「」の字が浮かび上がっています。そして、商業簿記に使うボックスは右側です。ちょっと苦しいですが、日商簿記の「」の字がついてます。

ということで左のボックスに必要な項目を埋めていきます。

f:id:polytech-MK:20190612002143j:plain

現在分かっているのは、原料費の標準価格が1,200円×1500個=1,800,000円(内側の黄色の枠)であることと、実際価格(外枠)が1,759,400円であることです。

縦の価格欄には原料費のg単価を記入します。資料1⑵により、原料費の単価は8円/gとなっています。次に横の数量欄の標準消費量を計算します。1,800,000円(標準価格)÷8円/g(g単価)=225,000g(標準消費量)となります。

f:id:polytech-MK:20190612004026j:plain

後は実際の原料消費量(総数量)231,500gを右下に、そして1,759,400円÷231,500g=7.6円を左上に配置すると数字の配置が完成します。

f:id:polytech-MK:20190612004612j:plain

あとは、それぞれ価格差異と数量差異を計算すれば、ボックス完成となります。

引くときは、内側から外側に向かうように計算します。答えがマイナスのときは借方差異(不利差異)、プラスのときは貸方差異(有利差異)となります。第4問のときと同じですね。

*問3⑴の正解*

価格差異:(8円-7.6円)×231,500g=92,600円(有利差異)

数量差異:(225,000円-231,500円)×7.6円=49,400円(不利差異)

(参考)

総差異:1,800,000円(標準価格)ー1,759,400円(実際価格)=40,600円(有利差異)

 

f:id:polytech-MK:20190612024625j:plain

⑵はシュラッター図を使った解き方となります。また、能率差異は変動費と固定費の合算となっています。

標準原価計算の差異分析を初めてするときは、シュラッター図の書き方を覚えてもらうようにしています。

f:id:polytech-MK:20190612011506j:plain

 ①横に長い四角形を記入します。

 ②カラスのくちばしを左向きに記入します。

 ③ちょっと左寄りに縦線2本入れれば完成となります。

続いて各部の名称を記入します。

f:id:polytech-MK:20190612013933j:plain

覚え方はありますが、著作権にひっかかりそうなのでやめておきます。

ここでは、解答の検討をしているので、各部の用語説明については、とっても長くなるので割愛します。ということで、数字を入れ終わったのが次の図です。

 

f:id:polytech-MK:20190612023403j:plain

各数字の算出方法は以下のとおり

変動費:資料2の変動加工費 400円/h

固定費率:資料1⑵の(総)加工費1,500円/hから変動費率を差し引いた1,100円/h

標準操業度:資料1⑵の加工費1,500円/h×0.6hより、1個作るのに0.6hかかるのがわかる。5月中に製造した個数は1,500個なので、1,500個×0.6h=900hとなる。

実際操業度:資料3の直接作業時間920h

基準操業度:資料2固定加工費990,000円÷固定費率1,100円/h=900h 

(標準操業度と基準操業度が同じになっています。)

実際発生額:資料3加工費1,372,000円

予算許容額変動費率400円/h×実際操業度920h+固定加工費990,000円=1,358,000円

 

あとはそれぞれの差異を計算すれば、表が完成します。差異の計算のルールは、

①縦の列は下から上に差し引く

②横の行は左から右に差し引く(内側から外側に)

f:id:polytech-MK:20190612025554j:plain

*問3⑵の正解*

予算差異:1,358,000円-1,372,000円=▲14,000円

     予算許容額-実際発生額

    ∴ 14,000円(不利差異)

能率差異:(900h-920h)×(400円/h+1,100円/h)=▲30,000円

     (標準操業度-実際操業度)×(加工費の合計)

    ∴ 30,000円(不利差異)

操業度差異:(920h-900h)×1,100円/h=22,000円

      (実際操業度-基準操業度)×固定費率

    ∴ 22,000円(有利差異)

(参考)

標準原価:900h×1500円/h=1,350,000円

製造間接費総差異:1,350,000円-1,372,000円=▲22,000円(不利差異)

  

この問題に限らず、工業簿記のエリアは2つ合わせて30分で解きたいところです。各4点のミスを許容範囲とした32~40点を目標にして、得点源にできればいいと思っています。

 

この期間中については、行政書士マーズオフィス個別指導部として宣伝もさせていただきます。弊事務所では、簿記講座をはじめとする社会に使える資格を個別指導方式で教えています。この簿記2級の本試験問題については、「日商簿記2級実戦編」として北海道旭川市近辺の方を対象に行っていますので、よろしくお願いいたします。

f:id:polytech-MK:20190611021142j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021158j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021215j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021235j:plain

 

 

152回日商簿記2級の解答について~第4問 部門別個別原価計算~

第3問は?とお思いでしょうが、本試験では第3問は一番ボリュームがあるため、解く順番を知っておかなければなりません。

第3問に時間をかけすぎてしまうと、簡単な工業簿記に手が回らなくなって失敗する恐れがあります。簿記の合格点は70点です。大問が5問ありますので、各20点の構成となっています。極端にいうと第3問飛ばしても、他が正解していれば70点以上は取れます。工業簿記の部分については比較的得点源のエリアですから満点の40点を狙うつもりで取り組みましょう。

とすれば、解いていく基本的な順番は①⇒②⇒④⇒⑤⇒③となります。150回のように、たまに第2問も難しくはないけれどボリュームがあって時間がかかる場合があります。その場合は、①⇒④⇒⑤⇒②⇒③でもいいと思います。

私は実際150回を受験したのですが、そのときは第3問が第2問より簡単でしたから①⇒④⇒⑤⇒③⇒②という順番で解きました。当時の職業訓練所の先生がいうには、10年以上前の簿記2級は意味がないようで、資格の取り直しを余儀なくされました。資格を2度取るという発想がなかったのですが、知識を最新にするということでは納得して受験することができました。

さぁ、本題に入りましょう。

問 X社は実際個別原価計算を採用し、製造間接費の計算は部門別計算を行っている。製造部門費の配布基準は直接作業時間である。次の[資料]にもとづいて、下記の問いに答えなさい。

f:id:polytech-MK:20190611120541j:plain

問1 直接配賦法によって、答案用紙の月次予算部門別配賦表を完成しなさい。なお、[資料]から適切なデータのみ選んで使用すること。

 

まずは、⑴のデータを直接配賦用に修正するところから開始します。直接配賦法は、各補助部門費を製造部門だけで振り分けていく(按分)方法です。

したがって、合計を製造部門のみの数字に書き換えます。そうしたものが下の図になります。

f:id:polytech-MK:20190611183431j:plain

これで下準備はできたので、修繕部門から順に按分していきます。

①修繕部門 基準データ:修繕時間 補助部門費:450,000円

 組立部門への配賦額:450,000円×75h/125h=270,000円

 切削部門への配賦額:450,000円×50h/125h=180,000円

f:id:polytech-MK:20190611184554j:plain

②工場事務部門 基準データ:従業員数 補助部門費:440,000円

 組立部門への配賦額:440,000円×50人/100人=220,000円

 切削部門への配賦額:440,000円×50人/100人=220,000円

f:id:polytech-MK:20190611191652j:plain

③材料倉庫部門 基準データ:材料運搬回数 補助部門費:900,000円

  組立部門への配賦額:900,000円×120回/180回=600,000円

  切削部門への配賦額:900,000円×60回/180回=300,000円

後は合計を記入して完成です。

*正解図*

f:id:polytech-MK:20190611192405j:plain

問2 問1の月次予算別配賦表にもとづいて、組立部門費と切削部門費の予定配賦額と実際配賦額の当月の差額を製造間接費配賦差異に振り替える仕訳をしなさい。なお、計算したところ、当月の組立部門費の実際配賦率は1時間当たり310円、切削部門費の実際配賦率は1時間当たり325円であった。勘定科目は次の中から最も適当と思われるものを選び、正確に記入すること。

組立部門費、切削部門費、製品、仕掛品、製造間接費配賦差異

 

まずは、問1の配賦表合計÷予定直接作業時間でそれぞれの予定配賦率を計算します。

 組立部門費の予定配賦率:2,400,000円÷8,000時間=@300円

 切削部門費の予定配賦率:1,920,000円÷6,000時間=@320円

 

ここで話しておきたいのは、配賦差異は「予定配賦率と実際配賦率の差」であるということです。したがって、(予定配賦率-実際配賦率)×実際直接作業時間でマイナスなら借方差異(不利差異)ですし、プラスなら貸方差異(有利差異)です。

 組立部門費の配賦差異:(@300円-@310円)×7,800時間=▲78,000円(借方差異)

 切削部門費の配賦差異:(@320円-@325円)×5,900時間=▲29,500円(借方差異)

この借方差異とか貸方差異は、製造間接費配賦差異の記入すべき位置を示しています。もしくは、組立部門費と切削部門費が過剰に経理されている位置を示しています。

ここら辺説明しにくいのですが、図に表すとこの通りです。

f:id:polytech-MK:20190611201409j:plain

紙面の都合上、切削部門費のみ表示しています。

いずれも借方差異になっているため、「製造間接費配賦差異」は借方に記入することになります。そして組立部門費と切削部門費は貸方に記入します。

*正解の仕訳*

(製造間接費配賦差異)107,500/(組立部門費)78,000

                /(切削部門費)29,500

 

ここで、注意してほしいことがあります。解答するうえで一番間違えやすいのは、予定配賦率を出さないで、直接、部門別配賦表の合計の数字を使ってしまうことです。

(年間または月次)予算部門別配賦表は、年間(または月次)の予定配賦率を出すための表です。今年(または今月)は、これで予算組んだから、この予定配賦率でやってもらうからね~と工場が年初(または月初)に指示した数字です。

 

これを間違って使ってしまうとどうなるかというと、

組立部門の表の合計:2,400,000円

実際配賦額:@310円×7,800時間=2,418,000円

誤った配賦差異:▲18,000円(借方差異)

切削部門の表の合計:1,920,000円

実際配賦額:@325円×5,900時間=1,917,500円

誤った配賦差異:+2,500円(貸方差異)

*誤った仕訳*

(製造間接費配賦差異)15,500/(組立部門費)18,000

(切削部門費)2,500

となってしまいます。

前に本試験ではいらないデータがあるといいましたが、⑵の予定直接作業時間は必要なデータです。そして、自分のところで集団勉強会を実施したときも、この解き方を教えていないにもかかわらず、間違える人が大多数でした。

ということで、配賦率って言ってもわかりづらいので、「時給」と呼ぶことにして、工業簿記は、まず時給を出す!それから時間数をかけて計算するようにと教えていました。この考え方は、部門別個別原価計算だけではないので、覚えておきましょう。

ちなみにうちの娘は、まんまとこの答えを書いていました。(;_;)/~~~

 

この期間中については、行政書士マーズオフィス個別指導部として宣伝もさせていただきます。弊事務所では、簿記講座をはじめとする社会に使える資格を個別指導方式で教えています。この簿記2級の本試験問題については、「日商簿記2級実戦編」として北海道旭川市近辺の方を対象に行っていますので、よろしくお願いいたします。

f:id:polytech-MK:20190611021142j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021158j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021215j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021235j:plain


 

152回日商簿記2級の解答について~第2問②仕訳問題~

問2 [資料Ⅰ]の⑵ ⑶ ⑷、および、[資料Ⅱ]の⑴ ⑵ ⑷に関する決算に必要な整理仕訳を、答案用紙の該当欄に示しなさい。ただし、勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選び、正確に記入すること。

現金、当座預金普通預金、仮払金、受取手形、仮払法人税等、不渡手形、消耗品費、広告宣伝費、通信費、為替差損益、受取配当金、支払配当金、借入金、買掛金

f:id:polytech-MK:20190611014740j:plain

必要なものだけを抜粋

問2は、当座預金と現金についての決算整理仕訳となります。まずは、前半部分の当座預金を説明します。

⑵は不渡手形の話です。通常、授業で習った知識だけでいえば、未決済で保管中の受取手形が不渡りになるので、以下の仕訳をします。

*通常時の仕訳*

(不渡手形)500,000/(受取手形)500,000

 

ところが、今回31日の時点で受取手形が決済され、その金額が当座預金に入金されたと思って、仕訳をしています。

*31日のときの仕訳*

当座預金)500,000/(受取手形)500,000

 

つまり、受取手形の残高はすでに消えているので、代わりに当座預金を減らす仕訳が正解となります。

*⑵正解の仕訳*

(不渡手形)500,000/(当座預金)500,000

このようにして、授業で習わなかった内容でも、流れをつかむ事で正解に導くことができます。このことを「現場対応力」と呼んでいます。自分の知ってる知識と前後の仕訳を組み立てる応用力が必要となります。

 

⑶は電話料金の自動引落しがなされたのを記帳すればいいだけなので、特に問題はないと思います。

*⑶正解の仕訳*

(通信費)14,000/(当座預金)14,000

 

⑷は小切手を銀行に持って行って当座預金口座に入金するつもりが失念して、金庫に残っていたケースです。そのため、31日に以下の仕訳をしています。ちなみに他店振出の小切手は、現金扱いですね。

*31日の仕訳*

当座預金)120,000/(現金)120,000

 

この31日に仕訳を取消しすればいいので、正解は逆仕訳をすればいいだけとなります。

*⑷正解の仕訳*

(現金)120,000/(当座預金)120,000

 

確認ですが、⑵、⑶、⑷ともに問1の当座預金勘定調整表の当座預金の減算の項目になっています。続いては後半の部分、現金査算に入ります。

まずは、[資料Ⅰ]の現金の状況について確認をします。現金の帳簿残高が1,575,650円、現金の実際在高が1,703,650円になっています。つまり、128,000円現金が不足していることとなります。

今回は、仕訳がしっかりしていれば、ここの部分は無視しても問題ありません。でも、「この数字は何のためにあるんだろうか」と思う人のために、あえてここの金額を今のうちに確認しておきます。

 

⑴は外貨建て換算の問題です。米国紙幣100ドル札50枚、50ドル札90枚を3月31日の為替レートに換算すると以下のとおりとなります。

ドル紙幣の総額:(100ドル×50枚)+(50ドル×90枚)=9,500ドル

3月31日時点の換算額:9,500ドル×@110円=1,045,000円

帳簿の換算によると950,000円のため、95,000円値上がりしたことがわかります。

これについて、為替差損益で処理します。この為替差損益勘定については、借方残高で費用貸方残高で収益とオールマイティに使えるものです。今回、為替差益が起こっているので、貸方に為替差損益が入ります。あとは現金も増加するので、以下の仕訳が正解となります。

*⑴正解の仕訳*

(現金)95,000/(為替差損益)95,000

 

⑵では従業員の出張のため、旅費の仮払いを行っています。しかし、出金の会計処理が行われていなかったので、その仕訳を行います。

簿記の試験では、なぜか経理を正しく行っていないダメ社員がたびたび出現します。この社員のせいで、面倒な後始末をしなければならないと思うと複雑な気持ちになります。そんなときは、心の中で「しっかり仕事しろよ!」と思いながら解くんでしょうね。

通常は、期中に戻ってきて精算を行い、仮払金の金額はゼロになるはずですが、決算日をまたいでしまった場合には、そのままにするしかありません。

*⑵正解の仕訳*(仮払い時の仕訳のみ)

(仮払金)100,000/(現金)100,000

 

⑶は[資料Ⅰ]の⑷と同じ内容なのでカットされています。現金は120,000円増やしています。

 

⑷は少し難しい問題となっています。まずは( )内は無視して考えます。

金庫内実査表の最後の欄「12月決算会社の配当金領収証」について、仕訳を行います。配当金領収書については、現金とみなすので、現金の増加となります。そして、相手勘定は受取配当金(収益)で処理します。

*⑷の( )を無視した仕訳*

(現金)8,000/(受取配当金)8,000

個人事業であれば、この仕訳でOKなのですが、法人企業となると、源泉所得税のことも考えないとなりません。この源泉所得税は、法人税の支払と考えるため、仮払法人税(資産)で処理します。

源泉所得税控除前の金額:8,000円÷(100%-20%)=10,000円

源泉所得税の金額:10,000円-8,000円=2,000円

計算式を書きましたが、金額がきれいなので暗算でできますね。そして、受取配当金も所得税控除前で記入するため10,000円に修正します。

*⑷の正解の仕訳*

(現金)8,000/(受取配当金)10,000

(仮払法人税等)2,000

 

この⑴から⑷の現金を銀行勘定調整表風にすると以下の結果となります。

現金帳簿残高 1,575,650

(加算)⑴95,000+⑶120,000+⑷8,000=223,000

(減算)⑵100,000

現金実査残高 1,698,650

ここで、[資料Ⅱ]の金庫内実査表は1,703,650円なので、現金が合わないことがわかります。では、この合わない原因は何でしょうか?

まず、⑴ですが、実査の段階では3月31日のレート換算前なので、金庫内実査表の方を変えないと合わない原因となります。

また、⑵の仮払金も従業員からの受取書を現金とみなして計算しています。こちらも本当は現金ではないので、金庫内実査表を訂正しないとなりません。

*正しい金庫内実査表*

f:id:polytech-MK:20190611112559j:plain



これで、間違いなく仕訳が行われていると確認できますが…どうでしょう?確認作業をすることによって逆に混乱しますよね。そして、実務なら仕方ありませんが、試験でこんなことやってられません。

ということで冒頭にも話しましたが、仕訳がしっかりしていれば、[資料Ⅰ]の現金の表(帳簿残高と実査残高)必要ない情報ということになります。これを深くまで突き詰めると、「仕訳が間違っているのではないか」という罠に陥ることになり、時間を無駄に費やすことになります。

このように簿記の試験には、必要ない情報も散りばめられていることもあるので、注意が必要です。

 

この期間中については、行政書士マーズオフィス個別指導部として宣伝もさせていただきます。弊事務所では、簿記講座をはじめとする社会に使える資格を個別指導方式で教えています。この簿記2級の本試験問題については、「日商簿記2級実戦編」として北海道旭川市近辺の方を対象に行っていますので、よろしくお願いいたします。

f:id:polytech-MK:20190611021142j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021158j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021215j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021235j:plain

 

152回日商簿記2級の解答について~第2問①銀行勘定調整表~

問1 答案用紙の当座預金勘定調整表を完成させなさい。

f:id:polytech-MK:20190611003655j:plain

問1は当座預金の問題のため、現金は黒塗りしています。

 問1は、銀行勘定調整表の問題です。151回第2問予想では、株主資本等変動計算書か銀行勘定調整表の2択でした。今回、これが出たということで、比較的予想がしやすかったものです。しかも、銀行勘定調整表だけではボリュームが少ないので、現金もセットで出ることが多いため、全てがビンゴでした。

見直しする時間を除いて、この問題は15~20分で解きたいところです。

当座預金帳簿残高と当座預金銀行残高は、それぞれ[資料1]をそのまま写すだけです。スタートとゴールが見えているので、あとは、それに合うように記入していくこととなります。

f:id:polytech-MK:20190611005821j:plain

次に⑴~⑷を順にみていきます。

⑴についてですが、銀行に未呈示の小切手があります。未呈示とは、当社が支払準備をして、取引先がいつ来ても現金化できるようにしてあげているのに、取引先が取りに来ていない状態のことをいいます。

こちらでは、すでに支払ったものとして当座預金をその分減らしていたのですが、取りに来てないので、とりあえず元に戻す仕訳をします。

ということで、銀行への未呈示があった場合は、当座預金の加算として記入します。

当座預金勘定調整表には、28日分の200,000円と、30日分の150,000円をそれぞれ加算します。

f:id:polytech-MK:20190611011058j:plain

この時点で逆算すると、減算の小計が634,000円になれば合うことがわかります。⑴の時点で加算が埋まっているので、試しに634,000円になる数字を探すと、⑵~⑷の数字を足すと、出てくるんですよね。

だから、速算でやると、大体5分もかからずに第2問の問1は終了となります。

まぁ、こんな解き方でスピードアップを図れますので、あとは万が一、間違っていないかは最後余った時間で確認作業に費やすのも一つの手です。

以前、2級の勉強会の講師として教えていたことは、まず1時間~1時間半で答案用紙を埋めることに徹底する。その上で、30分~1時間かけて見直しをすることです。2級の勉強で正攻法でやると、試験慣れしている(落ち続けている)人じゃないと時間に余裕が出てきません。そのため、こんなテクニックがあることも知っておくべきです。

 

今回は、解答の検討をしているので、引き続き⑵の解説をします。

⑵は31日の受取手形のうち500,000円が不渡りとなったため、入金されていなかったものです。したがって、その分を減算しないとなりません。

不渡りとは、取引先の倒産などの理由により決済ができなかったことをいいます。

f:id:polytech-MK:20190611012802j:plain

減算の小計は、この時点で記入しておくこと

 

続いて⑶は、31日に電話料金の自動引落しがされていたにもかかわらず、預金通帳を記帳しないで、経理ミスしてしまった話です。

これも、当座預金からその分差し引かれているので、減算します。

f:id:polytech-MK:20190611013209j:plain

ここまで来たら、全て埋めたくなる!

 

最後に⑷です。売上代金などで受領した小切手を銀行に持って行かずに、そのまま金庫に眠っていた状態です。ちょうど⑴の立場が逆転しているものです。

これも入金していたつもりだったので、減算の対象となります。

 

*最終的な解答*

f:id:polytech-MK:20190611013800j:plain

 

この期間中については、行政書士マーズオフィス個別指導部として宣伝もさせていただきます。弊事務所では、簿記講座をはじめとする社会に使える資格を個別指導方式で教えています。この簿記2級の本試験問題については、「日商簿記2級実戦編」として北海道旭川市近辺の方を対象に行っていますので、よろしくお願いいたします。

f:id:polytech-MK:20190611021142j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021158j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021215j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021235j:plain

 

152回日商簿記2級の解答について~第1問 仕訳問題③~

第1問の4 外貨建取引

問 ×年8月1日、1か月前の7月1日の輸入取引によって生じた外貨建ての買掛金40,000ドル(決済日は×年9月30日)について、1ドル¥110で40,000ドルを購入する為替予約を取引銀行と契約し、振当処理を行うこととし、為替予約による円換算額との差額はすべて当期の損益として処理する。なお、輸入取引が行われた×年7月1日の為替相場(直物為替相場)は1ドル¥108であり、また本日(×年8月1日)の為替相場(直物為替相場)は1ドル¥109である。

 

以前、経済学で「裁定」の話をしました。一応参考までに…。

 

polytech-mk.hatenablog.com

 

買掛金は負債なので、決済日に値上がりしてしまうと、よけいに多く支払わなければならないことになります。そのため、本問では為替予約を使ってリスク回避リスクヘッジ)を行っています。

f:id:polytech-MK:20190610104025j:plain

まずは取引時(7月1日)の仕訳を考えます。

買掛金:40,000ドル×108円=4,320,000

*取引時の仕訳*

仕入)4,320,000/(買掛金)4,320,000

 

そして、8月1日には、決済のときに1ドル110円で取引を行うよう為替予約をしているので、買掛金を計算しなおす必要があります。

新たな為替相場は110円なので、決済時にはこんな仕訳になるはずです。

新しい買掛金の金額:40,000ドル×110円=4,400,000

*決済時の仕訳*

(買掛金)4,400,000/(現金など)4,400,000

 

これでは買掛金が合わないので、為替予約時に1ドルにつき2円増やす仕訳をしなければなりません。そして、相手勘定には為替差損益で処理します。為替差損益は借方に残高がある場合は費用となり、貸方に残高がある場合は収益となります。たまにこのような収益か費用かの判断は残高によるものも登場するので注意が必要です。

買掛金の値上がり分:(108円-110円)×40,000ドル=▲80,000(赤字=費用)

*正解の仕訳*

(為替差損益)80,000/(買掛金)80,000

 

これで、決済時に相場が110円以上に上がっても、気にする必要がなくなりました。なお、これが108円に下がったとしても、予想が外れただけなので、買掛金を元に戻すことはできません。

第1問の5 株式の発行(新規)

問(1)会社の設立にあたり、発行可能株式総数10,000株のうち2,500株を1株当たり¥40,000で発行し、その全額について引受けと払込みを受け、払込金は当座預金とした。なお、会社法が認める最低限度額を資本金として計上する。

 

まずは、払込金総額を計算します。

当座預金への払込金:2,500株×40,000円=100,000,000円(1億円)

この1億円について会社法が認める最低限度額を資本金にする必要があります。払込金については、全額~50%までを資本金にしなければなりません。

この最低限度額という文言が出た場合は、原則、資本金(純資産)資本準備金(純資産)の半々で処理することになります。まれに、勘定科目一覧に資本準備金がないときや問題文で別段与えられている条件があるときには、その他資本剰余金(純資産)で処理することがあります。

*正解の仕訳*

当座預金)100,000,000/(資本金)50,000,000

              (資本準備金)50,000,000

 

問(2)上記(1)の会社の設立準備のため発起人が立て替えていた諸費用¥300,000を現金で支払った。

 

会社が実際に動き出すまでの準備にかかった諸費用は、2種類あります。

まずは、設立準備から創立総会までの間の諸費用は創立費(資産)、創立総会後、開業までの間の諸費用は開業費(資産)で処理します。

その他似たようなものに株式交付費(資産)がありますが、こちらの方は、開業後に増資などで株式を発行した場合の諸費用となります。

こちらの3種類は、費用(○○費)でありながら資産の形をとる繰延資産として使われます。減価償却費のように、5年(創立費・開業費)または3年(株式交付費)に分けて費用にすることができます。

なぜ、そんな繰延資産のような形をとるのかというと、設立当初は会社の運営が安定せず、収益が少なくなりことが予想されるため、多額の費用が最初にまとめて計上されると、決算のときに赤字になりかねないからです。これを防ぐために、数年にわたって費用計上することによって、減税効果が見込まれ、開業したての企業を支援する形になるからです。

今回は、設立準備となっているので、創立費(資産)で処理します。

*正解の仕訳*

(創立費)300,000/(現金)300,000

 

この期間中については、行政書士マーズオフィス個別指導部として宣伝もさせていただきます。弊事務所では、簿記講座をはじめとする社会に使える資格を個別指導方式で教えています。この簿記2級の本試験問題については、「日商簿記2級実戦編」として北海道旭川市近辺の方を対象に行っていますので、よろしくお願いいたします。

f:id:polytech-MK:20190611021142j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021158j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021215j:plain

f:id:polytech-MK:20190611021235j:plain