ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

組別総合原価計算

153回簿記2級の解答解説が終わってからアップする予定でしたが、今回の論点となったため、急遽解説の途中ですがアップすることとしました。これをもとにして、次回の解説を行います。

 

前回まで単純総合原価計算をやってきました。まだ、仕損品評価額が両者負担のときの処理や、材料投入の時期が材料によって異なるときの処理などの論点がありますが、ここではそこまで詳しくは取り上げません。

そして、単純原価計算の基礎的部分は終わりましたので、あとはオプションのような感じとなります。

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組別総合原価計算は、総合原価計算を行う前に、事前作業を行う手間が1つ増えます。

材料は同じだけど、製造過程によって別のものに変わっていくものを組別総合原価計算で処理します。例えば、木材で机とテーブルを製造する場合、鉄板や鉄鋼などで普通乗用車と軽自動車を製造する場合などに使われます。

実際の処理方法は、最初の材料費や加工費をA組用(机・普通乗用車)の費用、B組(テーブル・軽自動車)用の費用に振り分けてから、それぞれで原価計算を行います。

最初の振り分けさえ終われば、原価計算の方法は単純原価計算を同じ処理をします。

A組やB組特有にかかる材料費や加工費は、組直接費として問題文でそれぞれ数字が与えられています。ところが、A組にもB組にも共通で使われている費用は組間接費といって、直接作業時間などの一定基準によって、お得意の配賦をしていきます。

それでは、例題により具体的な解き方についてみていきましょう。

 

例)当社は組製品AとBを製造しており、原価計算方法として組別総合原価計算を採用している。原料費は各組製品に直課し、加工費は直接作業時間により各組製品に予定配賦している。原価投入合計を完成品総合原価と月末仕掛品に配分するためには先入先出法を用いている。

次の【資料】に基づいて、組別総合原価計算表を完成させなさい。なお、減損は工程の途中で発生した正常なものであり、正常減損の処理は度外視法によること。

 【資料】

1.当月の生産データ

①A製品

月初仕掛品 100個(加工進捗度50%)

当月投入量 2,000個

月末仕掛品 200個(加工進捗度50%)

当月完成品数量 1,900個

②B製品

月初仕掛品 300個(加工進捗度50%)

当月投入量 3,150個

正常減損 200個

月末仕掛品 500個(加工進捗度40%)

2.原価データ

加工費予算額(年間) 81,900,000円

予定直接作業時間(年間)18,000時間

3.当月の直接作業時間

A製品 450時間

B製品 800時間

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組直接費については、組別総合原価計算表に示されています。あとは、【資料】2と3を使って、加工費(組間接費)の配賦をします。

まずは、予定配賦率を計算します。

【資料】2の加工費予算額÷予定直接作業時間=予定配賦率

∴81,900,000円÷18,000h=@4,550円/h

これに【資料】3の当月の直接作業時間を掛けます。

A製品:@4,550円×450h=2,047,500円

B製品:@4,550円×800h=3,640,000円

以上が、それぞれの当月製造原価の加工費となります。

ここで間違えやすいのは、資料3を吹っ飛ばして、@4,550円をA製品・B製品それぞれの当月製造個数で掛けて、加工費を出してしまうことです。

そうすると、

A製品:@4,550円×1,950個=8,872,500円

B製品:@4,550円×2,800個(加工進捗度と減損を反映させた製造数量)=12,740,000円

となってしまい、破格の数字になってしまいます。

これに基づいて、A仕掛品・B仕掛品の原材料ボックスと加工費ボックスを作成すると、以下のようになります。

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そして、完成した表が以下のとおりとなります。

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