ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

153回日商簿記2級の解答について~第5問 組別総合原価計算①~

よくよく考えると、大体2回に1回の頻度で出題される総合原価計算の問題。

148回組別 149回工程別 151回等級別 そして今回の組別となっています。総合原価計算自体は、あまりひねる問題はなく難易度は易しい部類に入ります。

強いていえば単純総合原価計算は、その名前とは別に「材料の投入時期の論点」「仕損・減損の論点」「仕損品の評価額がある場合の論点」とパターンは多いので、やや難しかったりします。

それでも、計算工程は他の原価計算よりも簡単なので、部分点は取りやすく、この総合原価計算はアタリの問題といえましょう。

第5問 組別総合原価計算

問 飲料メーカーであるニッショウビバレッジは、清涼飲料AとBという2種類の製品を製造・販売している。原価計算方法としては、組別総合原価計算を採用している。直接材料費は各製品に直課し、加工費は機械稼働時間にもとづいて各製品に実際配賦している。製品の払出単価の計算は先入先出法とする。次の[資料]にもとづいて、答案用紙の組別総合原価計算表と月次損益計算書(一部)を完成しなさい。

[資料]

1.月初・月末在庫量

(A製品)

月初在庫量 仕掛品 0本

      製品 5,000本

月末在庫量 仕掛品 0本

      製品 3,000本

(B製品)

月初在庫量 仕掛品 0本

      製品 2,000本

月末在庫量 仕掛品 2,000本(30%)

      製品 3,000本

(注)( )内は加工費進捗度を示す。直接材料は工程の始点で投入している。

2.当月の生産・販売データ

 完成品 A製品 52,000本 B製品 29,000本

 販売品 A製品 54,000本 B製品 28,000本

 販売単価 A製品 120円 B製品 140円

3.当月の原価データ

 当月製造費用

  直接材料費 A製品 1,404,000円 B製品 1,085,000円

  (実際の問題では、「答案用紙参照」と記載されている。)

  加工費 1,312,800円

 月初製品原価 A製品 220,000円 B製品 112,000円

4.当月の機械稼働時間

 A製品 16,250時間 B製品 11,100時間

 

加工費の組別仕掛品への配賦

組別総合原価計算の工程は、定番の計算に入る前に原料費と加工費を振り分ける作業から入ります。

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直接材料費はすでに直課されているので、処理不要です。加工費については、1,312,800円を当月の機械稼働時間の割合で按分していきます。

A製品:1,312,800円×16,250h/(16,250h+11,100h)=780,000円

B製品:1,312,800円×11,100h/(16,250h+11,100h)=532,800円

A製品を出した際に、1,312,800-780,000=532,800円という風にB製品を出してもいいですが、ここはしっかりB製品も上の要領で計算することをおすすめします。

これは、A製品の計算が電卓のうち間違え等により誤った数字が出てしまっても、気づかず進行してしまう危険性を防止するためです。おそらくは、原価計算を始めたときに割り切れなくなってここに戻ってくるということが考えられます。そうなると時間の大幅ロスとなってしまうでしょう。いちばん最悪なのは、最後の答えまで割り切れてしまって、ここの得点が0点となってしまうことですね。

そして、A製品とB製品の各配賦額が出たときは、必ず足し算して検算しておきましょう。数秒で済むことなので、面倒がらずにひとつひとつ進めていきましょう。

工業簿記の解き方は、川の流れのように順番に進めていくというものです。そして、途中で計算間違いをしてしまうと、そこからのデータはすべて間違っているということになります。たとえ間違いに途中で気づいても、どこが間違っているのか探さなければならず、結局は最初からやり直すことになってしまいがちです。そのため、検算もその都度行う必要があります。

たった数秒の検算が5分、10分の時間ロスを防ぐこととなりますから、できる限りこまめに計算することを心がけてください。

A仕掛品の直接材料費ボックスの作成

まずは、月初・当月投入の在庫量及び金額をもとに仕掛品ボックス(直接材料費)を作成します。

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この部分については、先入先出法(FIFO:First In First Out)の計算も何もない簡単なものです。借方(左)と貸方(右)の数量・金額は一致するので、以下のようにすれば完成となります。

※後から気づきましたが、仕掛品については、月初仕掛品数量がないため、先入先出法は関係ありませんでした。また、問題文にも「製品」とだけしか書かれていません。申し訳ありませんが、仕掛品の先入先出法については、無視して進めていってください。

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たすき掛けですね。

A仕掛品の加工費ボックスの作成

A仕掛品の 加工費についても、総合原価計算を初めて解説するかのような、初歩的な例題のような問題であり、ひねりもありません。

解き方は、先ほどの直接材料費と全く変わりません。まずは、A仕掛品の加工費のデータをボックスに配置します。

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そして、これも借方と貸方、左右同額になるので、以下のようになります。

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これでA仕掛品のボックスが完成しましたので、解答用紙に書き込んでいきます。
そうすると以下のようになります。

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今回は、ここまでです。次回はB仕掛品ボックスの部分を解説いたします。

原価計算表の(単価:円)は(単位:円)の誤りです。ご了承願います(以降同じ)

 

弊事務所では、簿記講座をはじめとする社会に使える資格を個別指導方式で教えています。この簿記2級の本試験問題については、「日商簿記2級実戦編」として北海道旭川市近辺の方を対象に行っていますので、よろしくお願いいたします。

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