部門別個別原価計算(相互配賦法:簡便法)
前回は直接配賦法を解説しました。今回は、出題としてはマイナーなのですが、ゼロではないので、一応確認として取り上げます。
相互配賦法(簡便法)では、2回配賦をすることになります。
1回目の配賦は、自部門以外の他部門へ配賦します。例えば、前回の例で修繕部門費を配賦する場合、修繕部門を除いた第1製造部門・第2製造部門・工場事務部門へ配賦をします。
こうすることによって、修繕部門費と工場事務部門費に最初よりも少ない額が残ることとなります。
そして、2回目の配賦は、直接配賦法と同じように製造部門のみに配賦することとなります。直接配賦法よりも相互配賦法の方が配賦の仕方が丁寧になっています。
それでは、例題にしたがって相互配賦法の具体的な処理を解説していきます。
例)下記の【資料】に基づいて、予算部門別配賦表を完成させなさい。なお、当工場では直接作業時間を基準として、製造間接費を部門別に予定配賦しており、補助部門費の配賦は相互配賦法(簡便法)による。
【資料】
1.当工場の部門別製造間接費予算(年間)
第1製造部門 120,000,000円
第2製造部門 90,000,000円
修繕部門 25,800,000円
工場事務部門 14,000,000円
2.補助部門費の配賦資料
補助部門費の製造部門への配賦(1回目)
1回目の配賦は、修繕部門費は修繕部門以外のデータで配賦、工場事務部門費は工場事務部門費以外のデータで配賦します。
配賦資料を修正したものが次のとおりとなります。
この表に基づいて、各部門へ按分していきます。
①修繕部門費
第1製造部門:25,800,000円×125回/215回=15,000,000円
第2製造部門:25,800,000円×75回/215回=9,000,000円
工場事務部門:25,800,000円×15回/215回=1,800,000円
②工場事務部門費
第1製造部門:14,000,000円×80人/140人=8,000,000円
第2製造部門:14,000,000円×40人/140人=4,000,000円
修繕部門費:14,000,000円×20人/140人=2,000,000円
これを表に埋めると、以下のとおりとなります。
補助部門費の製造部門への配賦(2回目)
2回目は直接配賦法と同じく、製造部門のみに配賦します。
配賦資料を再度修正したものが次のとおりとなります。
この表に基づいて、2回目の配賦をします。
①修繕部門費
第1製造部門:2,000,000円×125回/200回=1,250,000円
第2製造部門:2,000,000円×75回/200回=750,000円
②工場事務部門費
第1製造部門:1,800,000円×80人/120人=1,200,000円
第2製造部門:1,800,000円×40人/120人=600,000円
同じように、表を埋めると完成です。
2回配賦するのが面倒ですが、前回の直接配賦法と合わせて、部門別個別原価計算はコツをつかめれば、非常に簡単な論点となり得点源となるでしょう。