材料費のところで予定消費単価のお話をしましたが、労務費についても人件費予算を立てている企業や工場がほとんどだと思います。
年度初めに1年分の人件費予算を立てておいて、年間作業時間で割ると単価が出てきます。このときの単価を予定賃率といいます。だいたい内容は材料費と同じ作業になります。
賃金を消費したときの処理
例)当月の直接工の賃金消費額を計上する。なお、当月の直接工の作業時間は40時間(すべて直接作業時間)であり、予定賃率は@220円で計算する。
こちらも材料費と同じように賃金(費用)として処理します。
賃金の予定消費額:@220円×40時間=8,800円
(仕掛品)8,800/(賃金)8,800
月末時の処理
月末に実際消費額が判明したら、予定消費額と比較して、その差額分を賃率差異として処理します。
例)当月の実際消費額は8,000円(実際賃率@200円)であるが、予定消費額8,800円(予定賃率@220円)で計上している。なお、当月の直接工の実際直接作業時間は40時間であった。
予算よりも経費を800円節減できたので、その分賃金(費用)の消費から減らす仕訳を行います。
(賃金)800/(賃率差異)800
賃金を安く済ませることができたため、賃率差異が貸方に計上されています。貸方に計上されている場合は、有利差異でしたね。
ちなみに、賃率差異が借方に計上されている場合は、予算よりも多く人件費を消費しているので、不利差異となります。
年度末決算の処理
賃率差異は、毎月計上されていきますが、最終的には売上原価(費用)に振り替えられていきます。
仮に前項目の例の数字(800円の有利差異)が年間の差異だった場合は、このような仕訳となります。
(賃率差異)800/(売上原価)800