2級は、こちらで指定した解く順番で公開しております。ということで第2問と第3問を飛ばして工業簿記の範囲に入ってきました。
第4問は、(実際)個別原価計算です。工業簿記の中でも比較的難しいというか、面倒な分野といえます。個別原価計算はオーダーメイドに向いている計算方法のため、1個1個の仕上がり状態を考えながら解く必要があります。
問 ニッショウ製作所の新潟工場では、当月から高級家具の受注生産を行っており、製品原価の計算には実際個別原価計算を採用している。次の[資料]にもとづいて、下記の問に答えなさい。
[資料]
1.当月の直接材料購入量・在庫量
月初在庫高 350㎏(実際購入単価 1,300円/㎏)
当月購入量 1,300㎏(実際購入単価 1,240円/㎏)
月末在庫量 300㎏(棚卸減耗等はなかった)
2.当月の原価計算表
(注)直接材料費は予定消費単価、製造間接費は予定配賦率を使用して計算している。
3.製造間接費月間予算(固定予算)1,360,000円
4.当月の生産状況
⑴製造指図書#0201および#0202は当月製造に着手し、当月末までに#0201は完成し、#0202は未完成であった。
⑵製造指図書#0201-1は一部仕損となった。#0201を合格品とするために発行した補修指図書であり、仕損は正常なものであった。なお、補修は当月中に開始し、当月中に完了している。
問1 下記の⑴~⑶について仕訳を示しなさい。なお、勘定科目は次の中から最も適当と思われるものを選び、正確に記入すること。
材料 仕掛品 消費価格差異 製造間接費 製品 買掛金
⑴当月分の直接材料実際購入高を計上する。なお、材料はすべて掛けにて購入した。
⑵当月分の直接材料費を計上する
⑶直接材料の消費価格差異を計上する。実際消費単価は先入先出法にもとづいて計算する。
問2 当月の完成品単価を計算しなさい。
問3 答案用紙の製造間接費勘定を完成しなさい。
問1 仕訳問題
⑴直接材料費の購入
資料1.の当月購入量のデータから計算します。
実際購入金額:1,300㎏×@1,240円/㎏=1,612,000円
【正解の仕訳】
(材料)1,612,000/(買掛金)1,612,000
⑵当月分の直接材料費の計上
資料2.当月の原価計算表の直接材料費の合計額1,620,000円が、そのまま消費金額となります。
【正解の仕訳】
(仕掛品)1,620,000/(材料)1,620,000
⑶消費価格差異の計上
月初在庫+当月購入-月末在庫=実際消費額と予定消費額を比較して、消費価格差異を計算しますが、ここは材料ボックスを使って説明をします。
月初在庫分を水色、当月購入分をオレンジ色の材料とすると、当月の材料消費高は水色とオレンジ色の在庫が混在しています。ところが、月末在庫はオレンジ一色となっています。そして文中には「棚卸減耗等はなかった」と書かれているため、すべて無駄にするものはなかったといえます。これは貸借が同じ㎏・同じ金額で一致することを意味しています。
冒頭の計算式のとおりに計算すると、
455,000(月初在庫)+1,612,000(当月購入高)-372,000(月末在庫)=1,695,000円(実際消費高)
実際消費高は1,695,000円であるべきなのに、予定消費単価を使っているため1,620,000円で材料ボックスには収まっています。
つまり、その差額75,000円が消費価格差異となります。結果的に予算より多く使ってしまったこと(赤字)を意味しています。
材料ボックスの貸方に75,000円の枠があるので、材料を貸方に記入します。そして、相手勘定は消費価格差異となります。
【正解の仕訳】
(消費価格差異)75,000/(材料)75,000
原価差異の原則として、赤字差異は借方差異で黒字差異は貸方差異です。つまり、消費価格差異は借方に記入することを覚えておきましょう。
第2問 当月完成品原価の計算
第1問はどちらかというと費目別計算の内容でしたが、第2問からが個別原価計算の内容となります。
通常は、原価計算表に仕上がりの状態を記入して、その中から完成品を計算するのですが、そんなことをしなくても今回の問題は簡単に計算できます。
4.当月の生産状況により、#0201が完成していて、#0202は未完成と記されています。#0201-1は#0201の補修費(仕損費)です。つまり、#0201と#0201-1は完成品として合算すればいいだけです。
#0201の製造指図書の原価:660,000+340,000+544,000=1,544,000円
#0201-1の補修指図書の原価:120,000+80,000+128,000=328,000円
完成品原価:1,544,000+328,000=1,872,000円
第3問 製造間接費勘定の完成
予定配賦額、予算差異、操業度差異を計算する問題です。
予定配賦額については、原価計算表の製造間接費合計1,312,000円です。
予算差異については、予算額-実際発生額で計算します。
3.の製造間接費月間予算(固定予算)1,360,000円と実際発生額1,382,200円(答案用紙に記載)から、
予算差異:1,360,000-1,382,200=▲22,200円(借方差異・不利差異)となります。
操業度差異については、予定配賦額-予算額で計算します。
操業度差異:1,312,000-1,360,000=▲48,000円(借方差異・不利差異)となります。
これを解答用紙に記入して完成となります。