ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

青色申告について

開業するには、税務署に「開業届」(個人事業主については「個人事業の開業・廃業等届出書」、法人については「法人設立届出書」)を提出しなければなりません。

 

それに伴って、いわゆる青色申告特別控除を受けたい方は、開業後2カ月以内に「所得税青色申告承認申請書」を提出する必要があります。

まず確定申告には、「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。

白色申告とは、青色申告の届出をしていない事業者がする申告になります。そのため、所得控除をはじめとする優遇措置は受けることができません。

f:id:polytech-MK:20190726031352j:plain

青色申告の必要性

もっぱら、経理の仕事が苦手で、収支内訳表などの簡単な帳簿しか使わない方や、節税するほど事業所得がない方が青色申告をしていない白色申告のケースになります。

青色申告は、以下のような方におすすめです。というか、上記の条件に当てはまらない限り青色申告をすべきでしょう。

・所得(収入-経費)が65万円を超えていて、節税をしたい方

・自己に経理経験があるか、経理担当者を雇っている方

・赤字になる可能性が高い方

青色申告のメリット

青色申告には、4つのメリットが存在します。

 

①65万円または10万円の所得控除(青色申告特別控除)が受けられる。

複式簿記経理をした場合は65万円の控除、収支などを記録した単式簿記経理をした場合には10万円の控除を受けられます。

また、複式簿記経理をしても、申告期限(その年の3月15日まで)を経過して確定申告した場合にも10万円控除となります。

※令和2年(令和3年の申告)より、青色申告特別控除額が原則55万円に引き下げとなります。ただし、帳簿等を電磁的記録で備付け及び保存する場合やe-Taxによる申告をする場合には、従来通り65万円の控除額となります。

 

②30万円未満の備品などの減価償却資産を経費で一括計上できる。

通常、備品や車両、建物といった固定資産については、決まった年数に分割して減価償却(経費)を計上しなければなりません。ところで減価償却とは、高額な固定資産を購入したときに経費にすることができるシステムなんです。ご存知でしたか?

例えば15万円のパソコンを4年で償却するとすれば、単純計算で年間3万7500円の経費(減価償却費)にすることができます。

ところが、青色申告をしていれば、1つ30万円未満の固定資産については、その年に一括して必要経費にすることができます(合計300万円まで)。

 

③家族を従業員として雇用していた場合、その給与も全額必要経費にすることができる。

家族経営をしている個人事業主や中小企業などは、生計を同じくする家族や親族を「青色事業専従者」として届け出れば、その給与については全額「専従者控除」として必要経費にできます。

なお、白色申告でも、配偶者86万円、その他の親族50万円の控除ができます。

 

④赤字が出たときは翌年度に繰り越しできる。

もし当年度に赤字となってしまった場合には、翌年以降3年間の事業利益から差し引いて税金の軽減を図ることができます(純損失の繰越控除)。

また、当年度の赤字を前年度の黒字に繰り戻して還付が受けられます(繰戻還付)。

開業当初で軌道に乗るまでの間に会計年度を越してしまったときや、大事なお得意先が離れてしまって売り上げが激減してしまったなどの原因で残念ながら赤字になってしまった場合には、大きな味方となってくれます。

 

※その他、貸倒引当金の設定、棚卸資産の低価法の選択、更正に対する異議申し立ての方法も優遇措置としてあります。

青色申告を忘れてしまっても、これからでも大丈夫

もし、面倒などの理由で青色申告をしていない場合でも、大丈夫です!

青色申告は、原則その年の3月15日までに提出が必要です。また、その年の1月16日以降に開業した方は、業務を開始した時から2ヶ月以内に申告が必要となります。

ですから、もし青色申告に変更したいと思っている方は、来年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出すれば、今年は無理でも、来年からは優遇措置を受けられます。

所得控除の65万円だけ考えても大きいので、これからでも考えてみる価値があるのではないでしょうか?

おまけ

例)事業収入500万円、必要経費200万円、基礎控除を含む所得控除100万円の場合

白色申告では、(500万円-200万円-100万円)=200万円が課税所得金額となります。そして税額が200万円×10%-9万7500円=10万2500円となります。

青色申告では、白色申告の課税所得金額に65万円差し引きますので、135万円が課税所得金額となります。そして税額が135万円×5%=6万7500円となります。

つまり、3万5000円の節税となります。