ポリテク火星出張所!

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相当の対価を得てした財産の処分行為についての詐害行為取消権

前回は債権者代位権をお話ししました。以前は債権者取消権といわれていたセットもの詐害行為取消権が今回のテーマです。

Aさんは、友人のBさんにお金を貸しました。背景は、大体似たような感じですが、今度は初めからAさんのいやがらせをする目的でCさんにそのお金を渡しました。このお金を渡す行為は贈与にあたりますが、この贈与契約をAさんが取消しできるのか?ということです。

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前回と違うところは、Cさんに単にお金を返せという話ではなく、BとCで交わした贈与契約を何も関係ないAさんが取消しをできるのかというところです。

債権者代位権と違って、詐害行為取消権は第三者との契約に入り込んで、取り消させるという強力な権利となるため、裁判所に請求する方法での決着となります。

また、Cさんは全くそのことを知らないで、巻き込まれた被害者かもしれませんので、AとBとの事情を知っていることが条件となります。そのため、善良な市民には、この詐害行為取消権は通用しません。

 

そして、今回のタイトルですが、「相当の対価を得てした財産の処分行為」とは何でしょうか?

一方的な贈与は、Bさんの財産を減少させ、Aさんへの返済を難しくさせる行為だということはわかります。ところが、売買行為については、極端に安い金額であっても、返済するために必死でかき集めていたのと、「どうせ無くなるんだからさっさとお金に換えて一気に使ってしまおう」と思って売却するのとでは、全然意味合いが変わってきます。このため、司法の判断を仰ぐ方法になるのですが…。

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今回の民法改正でこの要件が3つ明記されました。

①金銭の換価など、財産の種類の変更により隠匿等の処分をするおそれを現に生じさせる行為であること

②債務者(Bさん)が財産隠匿等の処分をする意思を有していたこと

③受益者(Cさん)が債務者(Bさん)の隠匿等の意思を知っていたこと

財産隠匿等」と出てきますが、建物という財産を売ってお金に換えることは、Bさんが建物を持っていたということを隠す(わかりにくくする)行為だと認められるということです。

もともとは、破産法の規定を持ってきたので、こんな表現になっています。

 

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