精算表①
しばらくぶりに本編に戻ってきました。今一度、決算の流れをおさらいしておきます。
①試算表の作成
②決算整理仕訳
③精算表の作成
⑤帳簿の締め切り
いままでに①と②の説明が終わったところです。そして、③の精算表と④の財務諸表(貸借対照表・損益計算書)については、151回の過去問を使って説明します。
精算表とは、決算整理前残高試算表(省略は前T/B)から決算整理を行い、財務諸表を作成するまでの過程を1つの表にしたものです。
一般に財務諸表は、会社関係者、株主や債権者などの利害関係者のほか、一般にも公表されるものです。また、税務申告にも使用されますから、間違ったものを世に出すことはできません。そのため①~④が一目でわかる精算表で間違いないかを確認してから、ようやく④に進むこととなります。
精算表の処理は、原則は以下のとおりとなります。
①決算整理前残高試算表から精算表の残高試算表に書き写す。
⇒試験では、答案用紙に印字済みです。
②決算整理事項にもとづいて、決算整理仕訳を行い、その結果を修正欄に記入する。
③決算整理仕訳をすべて仕上げたら、損益計算書欄と貸借対照表欄に転記する。
④損益計算書と貸借対照表の当期純利益(または当期純損失)は必ず一致することを確認する。
ただし、試験の解き方はこの原則から外れて別の方法がありますが、今回は原則通り進めます。では、前回までの復習もかねて、151回の第5問にしたがって決算整理事項から説明します。また、2019年4月から株式会社の会計を念頭に置いているため、会計年度を1月1日~12月31日だったものを変更していますので、多少当時の解答と異なっています。
問 次の決算整理事項にもとづいて、精算表を完成させなさい。なお、会計期間は4月1日から3月31日までの1年間とする。
修正仕訳(未記帳)
1.現金¥50,000を普通預金に預け入れたが、この取引が未処理であった。
これは、期中に仕訳をしなければならないのに、漏らしてしまったことを決算時に発見したものです。したがって、この時点で仕訳をすればいいだけです。
*決算整理仕訳*
(普通預金)50,000/(現金)50,000
仕訳が終わったら、修正記入の欄に記入をしていきます。
現金過不足の処理
2.過日発生した現金過不足について調査をしたところ、¥2,000については通信費の記帳漏れであることが判明したが、残額については不明のため雑損または雑益で処理する。
前T/Bによると現金過不足(借方残高)¥3,000が発生しています。現金実査の際に3,000円不足していたことがわかります。
*現金過不足時の仕訳*
(現金過不足)3,000/(現金)3,000
まずは、未記帳分の通信費(費用)の仕訳を行います。
(通信費)2,000/(現金過不足)2,000
まだ、1,000円不足分が不明なので、雑損(費用)で処理します。
(雑損)1,000/(現金過不足)1,000
まとめると以下の仕訳となります。
*決算整理仕訳*
(通信費)2,000/(現金過不足)3,000
(雑損)1,000
仮受金の処理
3.仮受金は、全額が売掛金の回収であることが判明した。
前T/Bの仮受金68,000円(貸方残高)が全額売掛金の回収だったということで、その修正仕訳を行います。 この修正仕訳は、5の貸倒引当金の設定に影響してきます。
*決算整理仕訳*
(仮受金)68,000/(売掛金)68,000
誤った仕訳の修正
4.期首に車両運搬具(取得原価¥800,000、減価償却累計額¥700,000)を¥10,000で売却し、代金は現金で受け取った際に、以下の仕訳を行っただけなので、適切に修正する。
(現金)10,000/(車両運搬具)800,000
(固定資産売却損)790,000
減価償却累計額を計算に入れないまま、仕訳をしてしまったようなので、ここで修正仕訳をします。
*売却時の正しい仕訳*
(現金)10,000/(車両運搬具)800,000
※(減価償却累計額)700,000
(固定資産売却損)90,000
誤った仕訳と正しい仕訳を相殺すると以下のとおりになります。
*決算整理仕訳*
※(減価償却累計額)700,000/(固定資産売却損)700,000
※車両運搬具減価償却累計額が長いので省略してます。
以上1.~4.が決算修正仕訳となります。