ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

152回日商簿記2級の解答について~第3問 貸借対照表+税効果会計③~

さて、152回の検討も今回で終わりです。最後は、あと4点、税効果会計の説明をします。配点箇所は、その他有価証券評価差額金と繰越利益剰余金のところ(各2点)です。

3.減価償却費の計算

備品の会計上の法定耐用年数は6年です。一方、税務上の法定耐用年数は8年となっています。ここに関して、税効果会計が用いられます。

6年で計算した減価償却費は、前回計算した通り、7,200,000円÷6年=1,200,000円でした。ところが、税法上は8年でするように指示されています。よって、7,200,000円÷8年=900,000円しか費用としてみてもらえないわけです。

では、その差額300,000円についての法人税25%を多く支払わなければなりません。

繰延税金資産:300,000円×25%=75,000円

税金を一時的に多く支払うけれど、後から必ず戻ってくるものに税効果会計が使われますので、「損金算入が認められなかった」と書いてあった場合は、税金を一旦多く支払うけど後から返してねという話になります。

第3問で出題されるのは、ほぼ損金不算入だけです。今後出てくる可能性も秘めてるのでほぼという言葉を使ってますが、それ以外見たことありません。おそらく益金不算入が出た時点で難易度が格段に上がりますし、合格率も下がります。難易度上げるならもっと別の論点があるので、まずは考えにくいですね。

 

そして、試験においての税効果会計には、決まったパターンがあります。

貸倒引当金は、繰延税金資産を使う。

減価償却は、「会計法上の耐用年数<税法上の耐用年数」のときは繰延税金資産、「会計法上の耐用年数>税法上の耐用年数」のときは繰延税金負債を使う。

その他有価証券評価差額金は、前期よりも時価が下落したときは繰延税金資産、前期よりも時価が上昇したときは繰延税金負債を使う。

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5.長期貸付金にかかる貸倒引当金の設定

まずは、「損金算入が認められなかった」というキーワードが出てきています。また、パターン①に該当しますので、使う勘定科目は繰延税金資産となります。

長期貸付金に設定した貸倒引当金450,000円全額が経費とすることができませんので、その分の法人税を支払う必要があります。

繰延税金資産:450,000円×25%=112,500円

6.その他有価証券の処理

前期末のその他有価証券の残高は6,800,000円でした。そして、当期末では7,700,000円に時価が上昇しています。パターン③に該当しますので繰延税金負債ということになります。ただ、これは仕訳をすればわかる話になります。ということで、ここだけ仕訳を示します。

まず、その他有価証券を900,000円増やさないとなりません。

(その他有価証券)900,000/

次に、相手勘定に法人税25%の金額が入ります。そして、その段階で借方に記入するときは繰延税金資産になりますし、貸方に記入するときは繰延税金負債となります。

今回、空いているのは貸方なので、繰延税金負債(負債)が入ります。

(その他有価証券)900,000/(繰延税金負債)225,000

最後に、差額がその他有価証券評価差額金(純資産)となります。

(その他有価証券)900,000/(繰延税金負債)225,000

              /(その他有価証券評価差額金)675,000

その他有価証券評価差額金:-75,000(前T/B残高)+675,000円(上記の計算)=600,000円

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8.繰延税金負債の表示

もうすでに勘定科目は繰延税金負債に確定しています。なので、繰延税金負債から今までの繰延税金資産を差し引きます。

繰延税金負債:225,000円(6.より)-25,000円(前T/B残高)ー75,000円(3.より)ー112,500(5.より)=12,500円

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最後の繰越利益剰余金

あとは、埋められていない場所を埋めていきます。合計の記入は資産合計だけで十分です。

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最後に資産合計から負債と純資産を差し引くと繰越利益剰余金が出ます。

繰越利益剰余金9,987,300円(貸借差額)

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これでも少し空欄はありますが、堂々の20点です。空欄による減点はありません。

全10日間にわたる解説でしたが、いかがでしたでしょうか?次回11月にチャレンジする方の参考になればと思っています。

明日からは、通常運行で参ります!

 

この期間中については、行政書士マーズオフィス個別指導部として宣伝もさせていただきます。弊事務所では、簿記講座をはじめとする社会に使える資格を個別指導方式で教えています。この簿記2級の本試験問題については、「日商簿記2級実戦編」として北海道旭川市近辺の方を対象に行っていますので、よろしくお願いいたします。

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