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税効果会計その3~減価償却費の償却限度超過額~

今回は2つめ。減価償却費の償却限度額についての税効果会計です。

減価償却費の償却限度超過額

減価償却費の耐用年数の数え方についても、会計上と税法上(法定耐用年数)で異なります。

たとえば税法上は6年でも、会計上は4年だった場合、会計上での減価償却費のうち、税法上の減価償却費を超える部分については損金として認められません。この調整を税効果会計で行います。具体的には例題で説明します。

 損金不算入が発生したときの処理

例)第1期期末において、備品12,000円について定額法(耐用年数4年、残存価額ゼロ)により減価償却を行った。なお、当該備品の法定耐用年数は6年、法人税の実効税率は40%とする。

通常の減価償却の仕訳はこのようになります。

会計上の減価償却:12,000円÷4年=3,000円

減価償却費)3,000/(減価償却累計額)3,000

そして、会計上と税法上の減価償却費の差異は以下のとおりです。

税法上の減価償却:12,000円÷6年=2,000円

損金不算入の金額:2,000円-3,000円=1,000円

このように会計上の方が1,000円多く減価償却費を計上しているため、その部分に係る法人税等だけに税効果会計を使っていきます。

法人税等調整額:1,000×40%=400円

今回も「損金とは認められていない」ため、前の仕訳の費用を減額します。今回のターゲットである減価償却費1,000円を減額します。前回と同じように直接減額はできないので、ここで法人税等調整額を使い、税額調整を行います。

(???)400/(法人税等調整額)400

空白の相手科目は借方にあるので、繰延税金資産(資産)を使います。

繰延税金資産)400/(法人税等調整額)400

そして、第1期末から第4期末までは、この処理が続きます。

損金不算入が解消されたときの処理

さて、会計上の4年の減価償却が終了しました。ところが、税法上は6年です。

税法上の減価償却:12,000円÷6年=2,000円について、あと2年損金算入してもいいといっているので納める税金がその分少なくなります。

今まで400円×4年間=1,600円多く税金を納めてきました。これは繰延税金資産として計上されています。

損金算入が認められた場合、先ほどの仕訳の逆仕訳を行うこととなります。ただし、総額1,600円が2年に分けて戻ってくるので、1,600円÷2年で金額は800円となります。

したがって仕訳は以下のとおりとなります。

法人税等調整額)800/(繰延税金資産)800

これを5期末と6期末で行うことにより、繰延税金資産の金額はゼロになります。

一応、仕訳でまとめると以下のとおりとなります。

【第1期】

繰延税金資産)400/(法人税等調整額)400

【第2期】

繰延税金資産)400/(法人税等調整額)400

【第3期】

繰延税金資産)400/(法人税等調整額)400

【第4期】

繰延税金資産)400/(法人税等調整額)400

【第5期】

法人税等調整額)800/(繰延税金資産)800

【第6期】

法人税等調整額)800/(繰延税金資産)800