今までとは一風変わった計算式の嵐です。CVP分析とは、Cost(原価)・Volume(生産・販売量)、Profit(利益)の3つの関係性から、製品をいくつ生産・販売するときには、原価がどれぐらいかかって、利益がいくらになるのかを分析することをいいます。
CVP分析が単品で出題されることもありますが、直接原価計算の損益計算書作成に付加して出題されることもあります。やはり、計算式を暗記して臨まないとならないのか、これが出題されると合格率は低下気味になります。
それでは出題されるものをひとつひとつ見ていきましょう。
損益分岐点売上高
損益分岐点売上高とは、営業利益がちょうどゼロになるときの売上高をいいます。
公式は、以下のとおりです。
これを単純に覚えることができれば、問題もすぐ解くことができます。
まずは教科書のようにどうしてこの公式になるのかを、150回の過去問を使用してお話しします。なので、公式がわからなくなった場合には、こちらで解いてみてください。
例)ニッショウ産業は、全国にカフェチェーンを展開している。現在、大門駅前店の利益計画を作成している。10月の利益計画では、売上高は3,500,000円であり、変動費と固定費は次の【資料】のとおりであった。11月の利益計画は、変動費率と固定費額について10月と同じ条件で作成する。下記の問いに答えなさい。
【資料】
①変動費
食材費 805,000円
アルバイト給料 420,000円
その他 70,000円
②固定費
正社員給料 650,000円
水道光熱費 515,000円
支払家賃 440,000円
その他 285,000円
問1 変動費率を計算しなさい。
問2 損益分岐点売上高を計算しなさい。
問3以降は後ほど…
まず、直接原価計算を解くときには、内訳は必要ないのでまとめてしまいます。
その結果、変動費は1,295,000円、固定費は1,890,000円となります。
問1 変動費率の計算
変動費率とは、売上高に占める変動費の割合ですから、変動費÷売上高(変動費/売上高)となります。
したがって、計算すると以下のとおりとなります。
変動費率:1,295,000円÷3,500,000円=0.37(37%)
問1の答え 37%
問2 損益分岐点売上高の計算
この問題で損益分岐点売上高を出すには、問1がなくても変動費率を求めることとなります。
直接原価計算でお話しした通り、売上高から変動費を引いたものが貢献利益となります。そして、売上高を100%とすると、変動費率を引いたものが貢献利益率となります。
貢献利益率=1-変動費率
したがって、本問の貢献利益率は以下のとおりとなります。
貢献利益率:1ー0.37=0.63(63%)
冒頭でも話した通り、損益分岐点売上高は貢献利益がちょうど固定費とイコールとなる金額をいいます。つまり、営業利益は0円となります。それ以上売上高が上がれば利益がプラスに転じることになるのが損益分岐点です。
以上をまとめた直接原価計算の損益計算書が以下のとおりとなります。
方程式にして解くと以下のとおりとなります。
0.63Ⅹ=1,890,000
Ⅹ=1,890,000÷0.63=3,000,000
問2の答え 3,000,000円
この1,890,000÷0.63が公式(固定費/貢献利益率)の部分となっています。
目標営業利益を達成するための売上高
損益分岐点売上高がわかると、今度は達成したい目標の利益分を設定して、それに必要な売上高を求めることもできるようになります。
また、目標営業利益を達成するための売上高÷製品単価で、その製品を何個売れば目標が達成できるのかという指標を組み立てることができます。
引き続き150回の問題を使って説明します。
問3 目標営業利益630,000円を達成するために必要な売上高を計算しなさい。
営業利益が630,000円となるためには、固定費にその分を加えて計算すればいいだけの話です。公式にすると以下のとおりです。
計算すると以下のとおりとなります。
Ⅹ=(630,000+1,890,000)÷0.63=4,000,000
問3の答え 4,000,000円
次回の工業簿記も引き続きCVP分析です。