現在、ポリテクセンターで簿記の授業をしていますが、時間の都合上どうしてもお話しすることができなかったため、ここで詳しく説明しようと思います。
連結修正仕訳でこの考え方は出てきますが、これが理解できないと点数を落とします。ちなみにこれらは小学校の算数で学ぶ項目となります。
売価:売り値のこと。簿記では、売上高の部分になります。
原価:元値(仕入れ値)のこと。簿記では、売上原価の部分になります。
利益:売り値-元値=利益となります。簿記では、売上総利益の部分になります。
利益率と原価率
利益率とは、売価に対する利益の割合です。原価率とは、売価に対する原価の割合となります。
それぞれ、以下の式で計算することができます。
利益率=利益/売価×100(%)
原価率=原価/売価×100(%)
例えば、売価100円、原価80円、利益20円とします。このときの利益率と原価率はそれぞれ以下のとおりとなります。
利益率:20円/100円×100(%)=20%
原価率:80円/100円×100(%)=80%
問題では、連結修正仕訳における未実現利益の控除(棚卸商品)において売上総利益率として登場します。
(利益)付加率
(利益)付加率とは、原価に対する利益の加算割合をいいます。以下の計算式で示されます。
付加率=利益/原価×100(%)
上記の例によると、利益率は以下のとおりとなります。
利益率:20円/80円×100(%)=25%
なお、問題では、「原価に〇%の利益を付加している」との形で出題されます。この場合、わかっている数字は、売価(売上高)と利益率になりますので、そこから利益を計算します。
売価は、原価+利益と分解することができますので、以下の計算式で利益を算出します。
原価=売価×利益/100%(原価割合)+利益率
=売価×利益/(1+利益率)
したがって、100円×0.25(25%)/1.25(125%)=20円となります。
実際の例
156回の第3問連結貸借対照表の【資料3】肢4を例に問題を一部変更して解いてみます。
問題 P社より商品をS社に販売しており、原価に30%の利益を加算して単価を決定している。当期におけるP社の売上高のうち、S社向けの売上高は91,000千円である。このときのS社に対する売上総利益はいくらか。
∴ 91,000(千円)×0.3/1.3=21,000(千円)
ちなみに原価は91,000(千円)-21,000(千円)=70,000(千円)となります。
検算すると、【原価】70,000(千円)×30%=【利益】21,000(千円)となりますので、計算は合いますね。
この計算は、簿記1級でも学習する範囲となります。