簿記2級おつかれさまでした。このブログを始めて3度目の日商簿記となりました。また、折を見て解説していきたいと思います。
今回は、原価計算の最後である直接原価計算を見ていきます。この直接原価計算が本試験に登場すると合格率が下がる傾向にあります。
総合原価計算や標準原価計算でボックス中心の解き方を紹介しましたが、直接原価計算では、ボックスを使う問題もありますが、それとは違った解き方をするものが中心となっていきます。ただ、標準原価計算で出てきた変動費と固定費は、この原価計算では重要ですので、もう一度復習しておいてください。
今までの原価計算は、原価を変動費と固定費に分けずに、全部ひっくるめて計算することから全部原価計算といいます。一方、直接原価計算とは、製造原価を変動費と固定費に分けたうえで、変動製造原価のみを製品の原価として、固定製造原価の発生額を全額一定の期間の費用として計算する原価計算です。直接原価計算は部分原価計算の代表的なものとされています。
直接原価計算の目的と損益分岐点
直接原価計算の目的を知るには、まずは損益分岐点を知る必要があります。以下の表をご覧ください。
売上単価が150円の商品があります。これを製造するには50円の材料費(変動費)、さらにこの商品を製造するための機械のリース料(固定費)が月額300円かかるとします。というような表です。
この条件下で商品が1個も売れなかった場合、機械のリース料の300円赤字となります。機械のリース料は使っても使わなくても300円かかるからです。
では、「この商品を何個売れば、黒字に転換されるのか。」ということが直接原価計算の目的となります。
グラフにすると以下のようになります。まずは、変動費のグラフです。1個作るごとに50円ずつ増えていきます。小学生のときに習った比例のグラフですね。
そして、次は固定費のグラフです。0個であっても300円のままです。
この2つを組み合わせたグラフが以下のとおりとなります。この図見たことありますよね。そうです!固定予算の差異分析のときのグラフです。
これに売上高の線を加えると次のようになります。上の表やグラフのとおり3個売れた地点が、損をするのか得をするのかの瀬戸際のラインとなります。
この地点を損益分岐点といいます。「この商品を何個売ればプラスになるのか」を知ることで、次期の計画を立てやすくなるのです。このため、全部原価計算と直接原価計算は、目的が異なるため並行的に使われることが多いようです。