初めて受験される方・いつも時間に余裕のない方は、税効果会計の論点と8を飛ばしてください。これでも12~16点は取れます。
税効果会計の計算が別に苦じゃない方や時間に余裕のある方は、残り時間に応じて、それ以降を1つずつ追加する形で解いていきます。これで16点~20点を目指します。
今回は、12~16点を目指すところまで説明します。それでは、[資料3]決算整理事項からです。
1.売上原価の算定
通常であれば、「仕・繰・繰・仕」により仕訳をしますが、最終的な商品の金額がわかればいいので、決算整理前残高試算表(以降前T/B)の繰越商品は無視することになります。したがって、期末商品ー商品評価損ー棚卸減耗損の計算だけでOKです。
商品:8,900,000-170,000-230,000=8,500,000円
※期末商品棚卸高ー商品評価損ー棚卸減耗損=貸借対照表(以下B/S)「商品」
答えがわかったので、早速解答用紙に記入します。
2.売上債権にかかる貸倒引当金の算定
売上債権の「1,000分の10」つまり1%を貸倒引当金とします。また、後に続く税効果会計もありません。
通常では、差額補充法と書いてあるので、前T/B分を差し引いて仕訳を行うのですが、最終的にはどうするんでしたっけ?そうです。差し引いた分は、B/Sに記入するときに加算しなければならないので、差額補充法を気にする自体が無駄な時間となります。
売掛金の残高は、9,960,000円から前回の修正分740,000円([資料2]2.)を差し引いた9,220,000円となっています。その数字に直接1%かけるだけです。
貸倒引当金:(9,960,000-740,000)×1%=92,200円
3.減価償却費の計算
ここは、備品の減価償却についてのみ、後に続く税効果会計が関係しています。
税効果会計については、後でまとめてやりますので、ここでは触れません。
ということで、減価償却累計額の計算のみ行います。
建物:帳簿価額15,000,000円(前T/B残高)、耐用年数30年、残存価額ゼロ
今回の減価償却費:15,000,000円÷30年=500,000円
建物減価償却累計額:5,000,000円(前T/B残高)+500,000円=5,500,000円
備品:帳簿価額7,200,000円(前T/B残高)、耐用年数6年、残存価額ゼロ
今回の減価償却費:7,200,000円÷6年=1,200,000円
備品減価償却累計額:1,200,000円
4.消費税の処理(税抜方式)
ここは、テキスト通りの計算で事足ります。もちろん仕訳も不要です。ここで計算した消費税は、未払消費税(負債)で処理します。
未払消費税:7,280,000円(前T/B仮受消費税)-6,064,000(前T/B仮払消費税)=1,216,000円
5.長期貸付金にかかる貸倒引当金の設定
ここの長期貸付金の利息の情報は全く必要ありません。なぜなら3月31日当日に支払経理済みだからです。これが経理されていないとかいう文言があればやらなければなりませんが…。したがって、ここで行うことは貸倒引当金を設定するだけのことです。
また、この部分も後からの税効果会計に関わる箇所です。
貸倒引当金:3,000,000円(前T/B残高)×15%=450,000円
6.その他有価証券の処理
その他有価証券は、B/Sには、投資有価証券(資産)で表示します。
その他有価証券の期末時点の時価は7,700,000円となっていますので、これを記入するだけです。
7.法人税等の処理
法人税、住民税及び事業税(長いので以前の呼び方の法人税等で呼びます。)については、問題によっては、最後の税引前当期純利益を出さないと計算できないものもあります(税引前当期純利益の40%など)。しかし、今回は金額が示されているため、非常に簡単です。
法人税等-仮払法人税等=未払法人税等の式にしたがって解けばいいだけです。
未払法人税等:2,054,000円ー720,000円(前T/B仮払法人税等)=1,334,000円
おまけの1つ
( )内に用語を埋める問題は、用語と金額がセットでなければ2点とならないときや用語もしくは金額のみで2点もらえるときもあります。
まずは、今まで解いた解答用紙を確認しましょう。
( )が一つ埋まっていないですね。ここに何が入るのか?ヒントは、このタイトルに隠されています。
今回のテーマは、貸借対照表の作成のほか、税効果会計がテーマとなっています。そして、[資料3]の8に注目すると、繰延税金資産(固定資産)と繰延税金負債(固定負債)のどちらかを表示すると書いてあります。
空欄があるのは、固定負債のところですから、そのカッコ内に入るのは、繰延税金負債となります。税効果会計は苦手だけど、なるべく点をあげたい人は、せめて空欄の勘定科目を埋めましょう。ちなみに、各社の予想配点では、金額がわからなくても、この( )内に繰延税金負債と書くだけで2点だそうです。
まとめ
ここまでで15分から~20分で解けると思います。そして気になる配点ですが…16点です。こんなスカスカな答案用紙であるにもかかわらず、4点しか失点していないことをどう感じていただけるでしょうか?
前回の151回の連結精算書もトリッキーな出方でしたが、連結の項目を抜かしても14点取れる配点でした。第3問については、決算整理仕訳を順番にする必要はなく、知っているところを埋めていくことで半分以上は正解できます。わからないときや長文で時間かかるものについては、飛ばせる勇気も必要です。そして、1,2,4,5の大問さえ解ければ、第3問はおまけみたいなものです。
簿記のメインディッシュは第3問としながらも、そこを重視しない解き方で合格できますので、安心して取り組んでほしいと思います。
次回は、この先満点を目指すところまで進めていきたいと思います。
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