前回の決算整理事項の続きです。
まずは、問題からです。
問 【資料Ⅰ】決算整理前残高試算表と、次の事業の内容の説明および【資料Ⅱ】決算整理事項にもとづいて、損益計算書を作成しなさい。
(中略)
【資料Ⅱ】決算整理事項
5.決算整理前試算表に計上されている前払費用と未払費用は前期末の決算整理で計上されたものであり、当期の期首に再振替仕訳は行われていない。内容は前払家賃と未払水道光熱費であり、当期末に計上すべき金額は、それぞれ17,000千円と450千円であった。
6.備品はすべてX3年4月1日に取得したものであり、耐用年数8年、残存価額ゼロの定額法で減価償却を行う。
7.ソフトウェアは10年間の定額法で償却しており、その内訳は、期首残高18,000千円(期首で取得後8年経過)と当期取得(2月取得)の新経理システム120,000千円である。この新経理システムの稼働に伴い、期首残高のソフトウェアは除却処理することとした。
8.引当金の処理は次のとおりである。
⑴退職給付引当金を7,000千円追加計上する。
⑵賞与は年1回決算後に支払われるため、月次決算において2月まで毎月各10,000千円を計上してきたが、期末になり支給見込み額が128,000千円と見積もられた。
9.税引前当期純利益に対して、法人税、住民税及び事業税を40%となるように追加計上する。
決算整理事項5 前払費用と未払費用の計上
当期首にしなければならなかった再振替処理と、今回の決算処理が必要となります。
まずは前T/Bより前払費用に対応する支払家賃、未払費用に対応する水道光熱費について再振替仕訳を行います。前払費用と未払費用を逆仕訳によって消しましょう。
【再振替仕訳】
(支払家賃)13,000/(前払費用)13,000
(未払費用)400/(水道光熱費)400
続いて、今回の数字を改めて処理します。前は元となる数字をマイナス、未は元となる数字をプラスです。
【決算整理仕訳】
(前払費用)17,000/(支払家賃)17,000
(水道光熱費)450/(未払費用)450
【正解の仕訳】
(支払家賃)13,000/(前払費用)13,000
(未払費用)400/(水道光熱費)400
(前払費用)17,000/(支払家賃)17,000
(水道光熱費)450/(未払費用)450
決算整理事項6 備品の減価償却
この仕訳は3級程度のものなので説明不要でしょう。
減価償却費:184,000千円(前T/B)÷8年=23,000千円
【正解の仕訳】
(減価償却費)23,000/(備品減価償却累計額)23,000
決算整理事項7 ソフトウェアの償却
古いソフトウェアの除却と新しいソフトウェアの償却が必要となります。
①旧ソフトウェアの除却
ソフトウェアの償却は10年です。前期までに8回償却を行ってきていることから、当期首残高18,000千円につき、あと2年償却する必要があります。また、新しいソフトウェアの更改時期は2月のため、当期の償却額は10か月分となります。まずは、当期分の償却額を出しましょう。
旧ソフトウェアの償却額:18,000千円÷2年×10か月/12か月=7,500千円
続いて、残存価額につきソフトウェア除却損(費用)として計上します。
残存価額:18,000千円-7,500千円=10,500千円
【旧ソフトウェアに対する仕訳】
(ソフトウェア償却)7,500/(ソフトウェア)18,000
(ソフトウェア除却損)10,500/
②新ソフトウェアの償却
こちらについても償却年数は10年です。ただし、当期の2月に取得しているので、月割計算(2月と3月の2か月分)が必要となります。
新ソフトウェアの償却額:120,000千円÷10年×2か月/12か月=2,000千円
【新ソフトウェアに対する仕訳】
(ソフトウェア償却)2,000/(ソフトウェア)2,000
【正解の仕訳】
(ソフトウェア償却)9,500/(ソフトウェア)20,000
(ソフトウェア除却損)10,500/
新と旧を別々に記入しても大丈夫です。
決算整理事項8 引当金の処理
⑴退職給付引当金の計上
○○引当金繰入/○○引当金という仕訳が一つの型ですが、退職給付引当金については、退職給付費用(費用)を使います。
【正解の仕訳】
(退職給付費用)7,000/(退職給付引当金)7,000
②賞与引当金の計上
今まで毎月1万円賞与引当金を計上して110,000千円(4月~2月)となっていましたが、128,000千円を最終見込みとしましたので、その差額を賞与引当金に計上します。
賞与引当金:128,000千円-110,000千円(前T/B)=18,000千円
【正解の仕訳】
決算整理事項9 法人税等の計上
これについては、税引前当期純利益の数字が必要となるため、次回実際の解き方と合わせて説明します。