ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

154回日商簿記2級の解答について~第1問 仕訳問題①~

今日から2級の方に移ります。152回から数えて3回目になるので、過去から見ていただいた方は、このブログでのおおよその解き方はご理解いただけるものと思っています。

今回の順番は、1→4→5→3→2もしくは1→4→5→2→3です。

仕訳問題が終わったら工業簿記を先に解きます。続いて、特にひねりのない損益計算書。最後に時間のかかりそうな商品売買をします。プチ商品有高帳のような表を作らなければならないのが厄介です。それでは順に解説していきます。

 

第1問 下記の各取引について仕訳しなさい。ただし、勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選び、正確に記入すること。

貯蔵品 建設仮勘定 返品調整引当金戻入 未払法人税 当座預金 売上 ソフトウェア のれん 退職給付費用 ソフトウェア仮勘定 建物 機械装置 リース債務 預り金 租税公課 現金 未払金 普通預金 仕入 減価償却費 固定資産圧縮損 リース資産 売掛金 退職金 返品調整引当金 退職給付引当金 買掛金 リース資産減価償却累計額 仮払消費税 固定資産除却損 為替差損益 給料手当 仮受消費税 返品調整引当金繰入 受取手形 固定資産受贈益

第1問の1 リース取引とリース物件の除却

 ×1年4月1日から、ファイナンス・リース取引に該当する事務機器のリース契約(期間5年間、月額リース料¥60,000を毎月末支払い)を結び、利子込み法により会計処理してきたが、×4年3月31日でこのリース契約を解約して×4年4月以後の未払リース料の残額全額を普通預金から支払い、同時にこのリース物件(×4年3月31日までの減価償却費は計上済)を貸手に無償で返却し除却の処理を行った。

この問題では、「リース開始時」と「毎月のリース料の支払時」「決算時の減価償却」から「除却時の取引」を仕訳することとなります。

①リース開始時の取引

リース機器の総額:60,000円(月額リース料)×60か月(5年間)=3,600,000円

ファイナンス・リース取引なので、通常の売買取引と同じように処理します。また、利子込み法なので、利率を気にする必要がありません。

(リース資産)3,600,000/(リース債務)3,600,000

360万円のリース機器を入手したと同時に同額の借金を背負った形になります。

②月額リース料支払い時の処理

毎月リース機器の使用料として、60,000円のリース料を支払っています。これを仕訳すると以下のとおりとなります。

(リース債務)60,000/(現金預金など)60,000

この支払いを3年間してきましたので、それをまとめた仕訳が以下のとおりとなります。

3年間のリース料:60,000×36か月(3年間)=2,160,000円

(リース債務)2,160,000/(現金預金など)2,160,000

③決算時の処理

年度末の3月31日に減価償却を行います。金額は年間のリース料と同額です。

減価償却:60,000円(月額リース料)×12か月(1年間)=720,000円

これが×1年度~×3年度の3年間にわたって、行われてきたので便宜上まとめて仕訳を記入します。通常は決算日に返却・除却しているので減価償却は×2年度まで行われていて×3年度の減価償却は今回の仕訳の中に入りそうなものですが、文中に「×4年3月31日までの減価償却は計上済」と記入されています。したがって、3年分の減価償却費を事前に計算しておく必要があります。

3年間の減価償却:720,000円×3年=2,160,000円

減価償却費)2,160,000/(リース資産減価償却累計額)2,160,000

以上が除却直前の取引をまとめたものです。

④除却時の取引

ここは、「除却の取引」と「残債務の清算取引」に分けて説明します。

まずはリース機器の処分は、有形固定資産の処分と同じように処理します。リース資産(資産)を貸方に記入するとともに、その減価償却累計額を借方に記入します。差額は固定資産除却損(費用)で処理します。

(リース資産減価償却累計額)2,160,000/(リース資産)3,600,000

(固定資産除却損)1,440,000/

続いて、残債務の清算です。

開始時のリース債務から今まで支払ったリース債務を差し引いた金額が、残債務となります。文中には、この残額全額を普通預金から支払った旨が書かれています。

リース料の残債務:3,600,000-2,160,000=1,440,000円

(リース債務)1,440,000/(普通預金)1,440,000

この2つを合わせたものが正解の仕訳となります。

【正解の仕訳】

(リース資産減価償却累計額)2,160,000/(リース資産)3,600,000

(固定資産除却損)1,440,000/

(リース債務)1,440,000/(普通預金)1,440,000

簿記を勉強していれば周知の事実ですが、除却時の取引と残債務の取引が逆であっても正解です。念のため…。

(リース債務)1,440,000/(普通預金)1,440,000

(リース資産減価償却累計額)2,160,000/(リース資産)3,600,000

(固定資産除却損)1,440,000/

第1問の2 返品調整引当金の設定

 販売した商品の一部については販売先からの請求にもとづき販売価格で引き取る契約を結んでいる。直近の6か月の売上¥14,400,000のうち50%はこのような契約をともなう売上であり、売上に対する返品率は45%と推定され、返品対象の売上総利益率は25%であった。この直近6か月の売上に対する予想返品に含まれる売上総利益率相当額について、返品調整引当金を設定する。

いろいろと複雑なことを書いていますが、順序通りに計算していけば返品調整引当金の金額は出ます。

まずは、一部を引き取る契約の金額は、14,400,000×50%=7,200,000円です。

そのうち売上に対する返品率に対する金額は、7,200,000×45%=3,240,000円です。

さらに、その売上総利益率相当額は、3,240,000×25%=810,000円です。

この810,000円返品調整引当金の金額となります。

【正解の仕訳】

(返品調整引当金繰入)810,000/(返品調整引当金)810,000

 

弊事務所では、簿記講座をはじめとする社会に使える資格を個別指導方式で教えています。この簿記2級の本試験問題については、「日商簿記2級実戦編」として北海道旭川市近辺の方を対象に行っていますので、よろしくお願いいたします。

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