ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

156回日商簿記2級の解答について~第3問 連結貸借対照表の作成③~

前回の予備知識をもとに実際に解いていく実戦編です。

点数にならない箇所は書かなくてもいいので、時短のために省略します。

・合計欄

・試算表の数字を単純に足しているもの(現金預金・建物・備品)

・資本金、資本剰余金は開始仕訳があるものの、実際には子会社の数字は無視して親会社の数字を書くだけなので、配点なしです。

・意外と配点にならないのが当期純利益(利益剰余金)です。3級では配点濃厚となりますが、2級では1問2点なので配点が付けられる箇所が10ヵ所しかありません。解くには最後まで時間がかかりますので、戦略的には捨て問候補です。

今回は、貸借対照表なので、できる限り損益勘定は無視できるよう仕訳をしないで進めます。開始仕訳などは避けて通れませんが…。

また、第3問を解く際には、問題全体を一度軽く見ておくことをおすすめします。資料と資料の関係性があるものを最初に見つけておきます。

[資料2]1と2 貸倒引当金の設定

[資料2]4と[資料3]7 退職給付に係る負債

[資料3]1~3 開始仕訳

全体的に利益剰余金と非支配株主持分は関係していますので、10点程度でよいという考えであれば、その問題はスルーです。

それでは、決算整理事項から進めて行きましょう。

①P社の売掛金確定と貸倒引当金の設定

外貨建売掛金でいくら加減になるのか計算します。決算整理事項の中の1問ぐらいはその後の仕訳に影響が出る問題が潜んでいます。そして、それは最初の問題に多いです。

売掛金の加減額:12,000千円÷@120円×(@130円-@120円)=1,000千円

実際には、暗算で解けそうです。12,000千円のレートが@120だから、レート@130なら...13,000千円と考えられそうです。したがって1,000千円増えているということですね。

基準となる売掛金:342,000千円+1,000千円-7,000千円(対S社)=336,000千円

売掛金が確定したら1%を掛けます。差額補充法と書かれていますが、関係するのは損益計算書の作成のときだけです。貸借対照表の作成では、単純に1%を掛けたものが新しい貸倒引当金となります。

P社の貸倒引当金:336,000千円×1%=3,360千円

解答:3,360千円(P社)+1,800千円(S社)=5,160千円

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解答用紙抜粋(以下同じ)

②有形固定資産の減価償却

まずは建物からです。

建物減価償却累計額:234,000千円÷30年×11年=85,800千円

解答:85,800千円(P社)+30,000千円(S社)=115,800千円

今までの数字が「各自推定」となっていますが、今回11年目ですので、30分の11で解くことができます。

続いて備品ですが、これは定率法なので普通に解いた方が早いですね。数式もありそうですが、そちらの方が簿記の問題解くよりも難しそうです。

5分の1を小数点にして200%にすると0.4という計数が出てきます。

1回目の減価償却:100,000千円×0.4=40,000千円

2回目の減価償却:60,000千円×0.4=24,000千円

備品減価償却累計額:40,000千円+24,000千円=64,000千円

解答:64,000千円(P社)+10,000千円(S社)=74,000千円

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③退職給付引当金(退職給付に係る負債)の計算

[資料2]4.の6,800千円をただ足すだけですね。ちなみに[資料3]7.では追加処理はないと書かれています。

解答:72,000千円(P社)+19,800千円(S社)+6,800千円=98,600千円

退職給付引当金があればそのまま記入しますが、解答用紙には「退職給付に係る負債」となっていますので、そこに記入します。

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④前払費用の計上

基礎編でやった棒グラフが頭にあれば大丈夫だと思います。半年1期で2期で1年分。1期はみ出しているのでその分を前払費用(資産)で計上します。

前払費用:36,000千円(リース料)×1期/3期=12,000千円

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⑤開始仕訳

開始仕訳の過程は前回やりましたので、細かい解説は省略します。ここは仕訳があった方がいいと思います。

【連結修正仕訳】

(資本金)150,000/(子会社株式)400,000

(資本剰余金)150,000/(非支配株主持分)214,480

(利益剰余金)186,680/

(のれん)127,800/

その中でショートカットが3つあります。

その1 資本金と資本剰余金は親会社のみを記入

資本金700,000千円(P社)

資本剰余金160,000千円(P社)

連結といっても、その主体は親会社です。子会社のサイフの中身(純資産)は連結には載ってきません。

利益剰余金や非支配株主持分を捨て問とする場合には、記入不要です。

その2 のれんの数字は先に出す

今回、開始仕訳の中と当期分で2回償却が行われています。大体は償却年数は10年ですから、のれんの金額を出してしまってすぐ解答用紙に記入しましょう。

のれん(償却後):142,000千円×0.8(残り10回中8回)=113,600千円

その3 利益剰余金は計算しない

利益剰余金の金額を普通に計算で出すには複雑すぎます。解答用紙を順番に埋めていくと利益剰余金の解答部分だけ残ります。その上で借方合計から貸方合計を差し引くことで解答が出る最後のピースです。

したがって、途中の計算不要ということになります。

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開始仕訳はとりあえずここまでです。

⑥のれんの償却(当期分)

 先ほど処理は終わっていますので、スルーです。

 

長くなったので続きは次回にします。