ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

156回日商簿記2級の解答について~第3問 連結貸借対照表の作成④~

今回の簿記2級の解説は今日で完結です。

 ⑦子会社の配当金の修正

この部分は利益剰余金と非支配株主持分の項目ですから、捨て問作戦の人は飛ばしてしまって構わないです。

今年度、S社はP社と非支配株主に配当を行っています。P社の方は利益剰余金には関係していますが、利益剰余金は計算しません。非支配株主へ10,000千円分配している分だけ内部利益として返還してもらいます。

非支配株主持分▲10,000千円

非支配株主持分は最後の方でないと確定しませんので、とりあえずメモっておきます。

⑧内部利益の控除(ダウンストリーム)

P社の売上とS社の売上原価の相殺ですが、どちらも損益科目ですからスルーします。

次に、期首商品棚卸高と期末商品棚卸高に30%の利益がついてしまっているので、原価に戻します。

期首商品については、基本編の仕訳の通り利益剰余金絡みですからスルーです。

今期の期末商品は、まだ商品(資産)として利益分が含まれているので、その利益分を差し引くこととなります。

期末の内部利益:6,500千円×0.3/1.3=1,500千円

商品▲1,500千円

解答:276,000千円(P社)+150,400千円(S社)-1,500千円=424,900千円

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⑨内部取引高の相殺消去(アップストリーム)

元々90,000千円の土地が80,000千円に減らされてP社へ移動しているので、元の金額に戻します。またアップストリームなので、非支配株主持分(純資産)に影響が出ます。

土地売却損(費用)としていたものが戻ってきたので10,000千円プラスになった40%分を非支配株主持分(純資産)に戻します。

土地10,000千円

非支配株主持分:10,000千円×40%=4,000千円

非支配株主持分は最後なので、土地のみを記入します。

解答:319,000千円(P社)+90,000千円(S社)+10,000千円=419,000千円

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⑩債権債務の相殺

[資料3]6.のデータをもとに売掛金・買掛金・未払金・未収入金を減額します。

売掛金:▲7,000千円

買掛金:▲7,000千円

未払金:▲80,000千円

未収入金:▲80,000千円

【解答】

売掛金:342,000千円(P社)+1,000千円(外貨建ての評価替え分)+180,000千円(S社)-7,000千円=516,000千円

買掛金:89,000千円(P社)+54,000千円(S社)-7,000千円=136,000千円

未払金:100,000千円(P社)+3,000千円(S社)-80,000千円=23,000千円

未収入金:80,000千円(S社)-80,000千円=0円

売掛金(資産)は、P社の残高を決算整理事項①で計算済みですから、S社の分を足せばいいだけです。未収入金(資産)は解答用紙にもないので、初めから0円確定です。

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ここまで記入が終えていれば、あとは利益剰余金と非支配株主持分だけですので、最低でも16点は取れています。

⑪子会社の当期純利益の振り替え

当期純利益:546,900千円-478,200千円=68,700千円

このうち40%は非支配株主の取り分なので非支配株主持分に加算します。

非支配株主持分:68,700千円×40%=+27,480千円

⑫非支配株主持分の計算

これですべての問題が終了しました。

まずは非支配株主持分の計算です。今までのメモ用紙から数字を拾って計算します。

【解答】

非支配株主持分:214,480千円(開始仕訳)-10,000千円(配当金修正)+4,000千円(土地内部利益の相殺)+27,480千円(当期利益の振替)=235,960千円

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 ⑬利益剰余金の計算及び連結貸借対照表の完成

利益剰余金以外の空欄は試算表のP社とS社の合計を出せば埋まります。その上で資産合計を計算すると2,230,140千円となります。

そこから負債純資産を差し引くと(貸借差額)、利益剰余金が求められます。

【解答】

利益剰余金:2,230,140千円(資産合計)-136,000千円(買掛金)-23,000千円(未払金)-98,600千円(退職給付に係る負債)-700,000千円(資本金)-440,000千円(資本剰余金)-235,960千円(非支配株主持分)=596,580千円

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 毎回話しますが、合計は無理して埋める必要はありません。これで完成です。

 

振り返りますと、第3問よりも第2問の方が時間がかかりそうです。わかるものから先に解いていく穴埋め方式の方が70点という絶対判定なので簿記検定では適しています。

 3級は仕事が忙しくなってきたせいもあって解説は今後も難しそうです。2級のみの解説となりますがよろしくお願いいたします。