156回日商簿記2級の解答について~第1問 仕訳問題②~
今回は、仕訳問題の第4問からです。
第1問の4 固定資産の滅失
問 ×年10月31日、建物(取得原価¥24,000,000、減価償却累計額¥11,520,000、間接法で記帳)が火災で焼失した。焼失した建物には総額¥24,000,000の火災保険が掛けられており、保険会社に保険金の請求を行った。なお、決算日は3月31日(1年決算)であり、この建物については定額法(耐用年数25年、残存価額ゼロ)を用いて減価償却を行っているが、当日までの当期の減価償却費は月割で計算し、記帳を行うものとする。
貸借対照表では、以下のようになっています。
(借方) (貸方)
建物 24,000,000 建物減価償却累計額 11,520,000
この建物が火災によって失ったので、逆仕訳をして無くしてしまいます。
(建物減価償却累計額)11,520,000/(建物)24,000,000
次に滅失時までの減価償却費を計算します。決算日は3月31日であることから、4月~10月までの7か月分を計算します。
減価償却費:24,000,000÷25年×7か月/12か月=560,000円
(減価償却費)560,000/(建物減価償却累計額)560,000
貸方の建物減価償却累計額ですが、このように記帳するとまた借方で消す必要性が出てきます。建物減価償却累計額は本体が無くなるので残高が残ることはありません。
したがって、最後に帳尻を合わせますので、減価償却費の計上のみでOKです。
(減価償却費)560,000/
最後に貸借差額を未決算(資産)として処理すれば完成です。
【正解の仕訳】
(建物減価償却累計額)11,520,000/(建物)24,000,000
(減価償却費)560,000/
(未決算)11,920,000/
ちなみに、授業では火災未決算で出てくることが多いです。勘定科目一覧には、火災未決算はありませんので、ご注意ください。単純ミスで4点失うのはキツいので、必ず勘定科目と付け合わせの確認を怠らないようにしてください。
第1問の5 株式の増資
問 新株600株(1株の払込金額は¥50,000)を発行して増資を行うことになり、払い込まれた600株分の申込証拠金は別段預金に預けられていたが、株式の払込期日となったので、申込証拠金を資本金に充当し、別段預金を当座預金に預け替えた。なお、資本金には会社法が規定する最低額を組み入れることとする。
まず、1株当たりの払込金額×発行株式数で増資の総額を計算します。
増資総額:@50,000×600株=30,000,000円
この分が申込証拠金として別段預金(資産)に預入されています。こちらもただの申込証拠金ではなく、株式申込証拠金(負債または純資産)で処理してくださいね。
(別段預金)30,000,000/(株式申込証拠金)30,000,000
この状態を一旦ひっくり返してリセットします。
(株式申込証拠金)30,000,000/(別段預金)30,000,000
会社法が規定する最低額はハーフ&ハーフの割合で資本金(純資産)と資本準備金(純資産)に振り替えます。資本金の方は利益剰余金の振り替えと比べて簡単ですね。
あとは、別段預金は当座預金(資産)に振り替えるということなので、以下の通りとなります。
【正解の仕訳】
(株式申込証拠金)30,000,000/(資本金)15,000,000
/(資本準備金)15,000,000
(当座預金)30,000,000/(別段預金)30,000,000