ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

売掛債権の貸倒れ

貸倒れとは、得意先の倒産などの理由で、売掛債権(売掛金受取手形)が回収できなくなってしまうことをいいます。

f:id:polytech-MK:20190506204401j:plain

①当期に発生した売掛債権が貸し倒れたとき

貸倒れが発生したときは、対象の売掛金(資産)や受取手形(資産)を減少させます。

売掛債権が回収不能となってしまうので、貸倒損失(費用)として処理します。

貸倒れの対象が、当期の売掛債権なのか、前期以前に発生したものなのかで、仕訳が異なります。

 

例)マーズ文具店が倒産し、当期に発生した売掛金20,000円が貸倒れとなった。

(貸倒損失)20,000/(売掛金)20,000

 

②前期以前に発生した売掛債権が貸し倒れたとき

貸倒れが発生すると、費用が過大に計上されることになるため、決算書にも大きな影響を与えます。そのため、ある程度事前に費用計上しておいて、貸し倒れに備える処理をします。このように、貸し倒れに備えて費用計上する金額を貸倒引当金といいます。

この貸倒引当金については、評価勘定といって、資産・負債・純資産・収益・費用のどれにも属しません。売掛金などの資産の価値をマイナスして表示する科目になります。

100万円の売掛金があったとして、その分に対して5万円の貸倒引当金が設定してあった場合、売掛金自体の価値が95万円として貸借対照表に表示されます。

貸倒引当金の計上は、決算時に行いますので、ここでは設定した引当金を貸倒れにあてる説明をします。

前期以前に貸倒引当金を設定した売掛債権が、貸し倒れてしまった場合、まずは、設定している貸倒引当金を取り崩します。それでも、なお不足するときは、貸倒損失(費用)として処理します。

 

例1)マーズ文具店が倒産し、前期に発生した売掛金20,000円が貸倒れとなった。なお、貸倒引当金の残高は、50,000円であった。

(貸倒引当金)20,000/(売掛金)20,000

 

例2)マーズ文具店が倒産し、前期に発生した売掛金20,000円が貸倒れとなった。なお、貸倒引当金の残高は、5,000円であった。

(貸倒引当金)5,000/(売掛金)20,000

(貸倒損失)15,000

③前期以前に貸倒処理した売掛債権を回収したとき

前期以前に貸倒れとして処理した売掛金などの売掛債権が、運良く回収できた時には、償却債権取立益(収益)として処理します。

収益や費用は、次期に繰り越すことはできないので、前期以前に費用として処理してしまったものを減らすことはできません。よって、新たな収益として処理をします。

 

例)前期に貸倒れとして処理した売掛金20,000円を現金で回収した。

(現金)20,000/(償却債権取立益)20,000