前回は、固定資産の取得をやったので、次は固定資産の売却をお話ししたいところですが、減価償却が絡んできますので、まずはその話をしたいと思います。
減価償却とは?
固定資産は、1年以上の比較的高額な資産を指します。そのため、使用するごとに年々その価値が減少していきます。そこで決算において、その減少した価値を固定資産の価額に反映させる必要があります。この手続きのことを減価償却といいます。また、その費用のことを減価償却費(費用)といいます。
減価償却費を計算する方法は、定額法、定率法、生産高比例法、級数法があります。3級では、定額法が出題されます。
また、減価償却費の記帳の方法にも直接法と間接法があります。3級では、間接法が出題されます。
したがって、3級の減価償却費の計算は、定額法と間接法の組み合わせということになります。
定額法
減価償却費を計算するときに必要なものが、次の3つあります。
取得原価:有形固定資産を取得するのにかかった費用(購入代価+付随費用)
耐用年数:有形固定資産の使用できる年数
残存価額:耐用年数まで使用したときに残るとされる有形固定資産の価額
そして、定額法は以下の計算式によって、減価償却費を計算します。
1年分の減価償却費=(取得原価ー残存価額)÷耐用年数
例)取得原価10,000円の備品(残存価額は取得原価の10%、耐用年数3年)の1年分の減価償却費はいくらか?
まずは、定額法の計算式によって1年分の減価償却費を求めたのが以下のとおりです。
(10,000-10,000×10%)÷3年=3,000円
ということで、1年分の減価償却費は3,000円となります。資産価値の変動を図に表すと、以下のとおりです。
間接法
次に記帳方法ですが、上の例をもとに説明します、
直接法は、有形固定資産の金額を直接減らしていく方法となりますので、仕訳は以下のとおりとなります。
(減価償却費)3,000/(備品)3,000
この方法で記帳すると、現在の有形固定資産の価値が一目でわかりますが、その反面、最初にいくらで買ったものなのかが、一目でわからなくなってしまいます。
そこで、間接法では、備品を直接減らさずに、減価償却累計額(評価勘定)で処理します。そして、減価償却累計額は、固定資産の名前を最初につけて、備品減価償却累計額とか建物減価償却累計額のように表示したりします。試験では問題文にしたがって、減価償却累計額か○○減価償却累計額のいずれかを使うようにしてください。
ちなみに評価勘定は、貸倒れのところでお話ししました。
間接法で仕訳したものは以下のとおりとなります。
間接法では、有形固定資産の取得原価はそのままなので、最初に買った金額は残ります。そして、現在の価値については、有形固定資産ー備品減価償却累計額で計算することができます。減価償却費は費用なので、毎期リセットされますが、減価償却累計額は、文字通り積算されていきます。