ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

有形固定資産その3~有形固定資産の売却~

前回、減価償却の話をしたので、今回は有形固定資産の売却についてです。

有形固定資産については、暦年使用してますので、当然ながら取得原価よりも安い金額で売却されます。そのため、売却時点での資産価値を考慮した計算で仕訳も行います。

まずは、前回の例で説明したいと思います。

備品を現在価値よりも安く売った場合

例)取得原価10,000円の備品(残存価額は取得原価の10%、耐用年数3年)について、2年目の3月31日(会計期間:4月1日~3月31日)に2,500円(現金)で売却したときの仕訳をしなさい。

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減価償却費は費用なので、1年ごとにリセットされます。そのため、取得原価ー減価償却累計額の金額が現在の固定資産の価値となります。

したがって、まずはこのようになります。

(備品減価償却累計額)6,000/(備品)10,000

(現金)2,500/

備品を売るので、備品(資産)を減少させます。そして、備品減価償却累計額も3,000円×2年分=6,000円を減らします。さらに、現金2,500円を受け取りますので現金(資産)を増やします。

このときの差額1,500円は、こちら側の見積金額と店側の査定金額が違っていたということで損をしています。この場合、固定資産売却損(費用)で処理します。

最終的な仕訳が以下のとおりとなります。

(備品減価償却累計額)6,000/(備品)10,000

(現金)2,500/

(固定資産売却損)1,500/

備品を現在価値よりも高く売った場合

例)取得原価10,000円の備品(残存価額は取得原価の10%、耐用年数3年)について、2年目の3月31日(会計期間:4月1日~3月31日)に4,500円(現金)で売却したときの仕訳をしなさい。

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次は、見積金額よりも高く売れた場合です。こちら側の見積金額とお店の査定金額と比較して、500円得をしました。この場合は、固定資産売却益(収益)として処理します。仕訳にすると以下のとおりです。

(備品減価償却累計額)6,000/(備品)10,000
(現金)4,500/(固定資産売却益)500

備品を期中に売却した場合

例)取得原価10,000円の備品(残存価額は取得原価の10%、耐用年数3年)について、3年目の5月31日(会計期間:4月1日~3月31日)に2,500円(現金)で売却したときの仕訳をしなさい。

最後に決算日よりも、月がずれてしまって売却した場合です。実務では、決算日のような忙しい日に売却しに行くことはあまりないと思いますので、こちらの仕訳が多いですね。減価償却の計算は、決算日に行います。しかし、今回の例では、2か月先の5月に売却していますので、きちんと2か月分の減価償却を計算しなければなりません。

ということで、2か月分の減価償却費を計算すると以下のとおりです。

10,000円×90%×3年=3,000円(1年分の減価償却費)

3,000円×2カ月/12カ月=500円(2か月分の減価償却費)

※取得価額-残存価額10%の計算は面倒なので、取得原価×90%でこれからは表示していきます。そして、本試験では、残存価額は10%か0%で設定されています。

この500円を減価償却費として、仕訳に反映させると以下のとおりになります。

減価償却費)500/(備品)10,000

(備品減価償却累計額)6,000/
(現金)2,500/
(固定資産売却損)1,000/

今頃ですが、借方の上下の順番については特に決まりはありません。借方(貸方)に書いてあるべきものが書いてあれば、正解となります。

 

記事とは全然関係ありませんが、ポリテクセンター旭川で研修生(7月生)の募集をしています。

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