ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

有形固定資産その10~減価償却~

2級の減価償却の計算方法には、定率法生産高比例法があります。

定率法

定率法とは、期首時点の帳簿価額(未償却残高)に一定の償却率を掛けて減価償却費を計算します。

特徴としては、始めは減価償却費が高く計上されますが、徐々に低くなっていきます。

(取得原価-期首の減価償却累計額)×償却率

例えば取得原価10,000円(期首に購入)の備品について、償却率20%で減価償却を行った場合は、以下のとおりとなります。

【1年目の減価償却費】

∴10,000円×20%=2,000円

【2年目の減価償却費】

∴(10,000円-2,000円)×20%=1,600円

【3年目の減価償却費】

∴(10,000円-3,600円)×20%=1,280円

このように、毎年減価償却率が低減されていきます。

したがって、長持ちする固定資産ではなく、比較的すぐに価値が下がっていく固定資産に適用されます。

200%定率法

通常の定率法に比べて、2倍の勢いで減価償却費を計上する方法です。200%定率法が出題された場合、自分で償却率を計算することが多いです。

200%定率法の償却率:1÷耐用年数×200%

たとえば、耐用年数が10年の場合は、償却率:1÷10年×200%=0.2となります。

大抵は、そこで終わる話ですが、合格率の変動によっては、難しい問題が出る傾向があります。そして、気づいた方もおられると思いますが、定率法を採用するといつまでたっても減価償却費が0円になることはありません。小学校で反比例のグラフを勉強したと思いますが、下のラインにはくっつきません。

この場合、ある程度まで行ったら、別の方法で償却することになります。その方法が以下のとおりとなります。

定率法を続けた結果、償却保証額(取得原価×保証率)を下回った場合、通常の償却率に変わって、改定償却率を使って減価償却します。

保証率とか改定償却率は問題文の中で示されます。

 

例題 決算において、当期首より3年前に取得した備品(取得原価10,000円、減価償却累計額7,840円)について200%定率法(耐用年数5年、残存価額ゼロ、保証率0.10800、改定償却率0.500)によって減価償却を行う。なお、記帳方法は間接法による。

まず、通常の償却率を計算します。

償却率:1÷5年×200%=0.4

これにもとづいて減価償却費を計算すると、(10,000-7,840)×0.4=864円となります。

そして、償却保証額を計算します。

償却保証額:10,000円×0.10800=1,080円

今回の減価償却費864円は償却保証額1,080円を下回りましたので、改定償却率で減価償却し直します。

減価償却:(10,000-7,840)×0.500=1,080円

そして、耐用年数5年目に償却保証額1,080円(残存価額と同額)を減価償却して終了となります。

生産高比例法

生産高比例法は、固定資産の耐用年数にわたって、その利用割合に応じて減価償却する方法です。

主に車両など走行メーターによって、はっきりと使用割合がわかるものに適用されます。以下の計算式によって減価償却費を計算します。

(取得原価-残存価額)×当期利用量/総利用可能量

たとえば、100,000円の業務用車両(期首に取得、総可能走行距離100,000㎞、当期の走行距離12,000㎞、残存価額ゼロ)を生産高比例法により減価償却費を計算すると以下のとおりとなります。

∴100,000円×12,000㎞/100,000㎞=12,000円