今回は、そんなにボリュームは多くないですが製品が完成した後の処理です。
その1で説明しましたが、製品勘定が工場か本社に配置されているかで解答は変わってきます。この場合、問題文には以下の表示がされています。
①勘定科目として表示されているパターン
「本社の勘定:製品、買掛金、工場」
「工場の勘定:材料、仕掛品、製造間接費、本社」
②製品倉庫として表示されているパターン
「なお、製品を保管する倉庫は本社にある。」
いずれも、本社のみ製品勘定を使用することになります。そして、大体はこのパターンが多いと思われます。
製品が完成したとき①本社のみに製品勘定(倉庫)がある場合
例)製品30,000円が完成し、ただちに本社に納入した。
【本社側の仕訳】
(製品)30,000/(工場)30,000
【工場側の仕訳】
(本社)30,000/(仕掛品)30,000
製品が完成したとき②本社と工場に製品勘定(倉庫)がある場合
まず、工場では製品が完成して工場の倉庫に納入したときに以下の仕訳が行われています。(問題は上のものと同じ)
(製品)30,000/(仕掛品)30,000
その状態で問題を考えますので、正解は以下のとおりとなります。
【本社側の仕訳】
(製品)30,000/(工場)30,000
【工場側の仕訳】
(本社)30,000/(製品)30,000
簿記の試験は、文章読解の要素も入っています。よく読んでから解くようにしましょう。
製品を売り上げたとき
製品を販売するのは本社の仕事ですから、工場では何もしません。
例)製品20,000円を28,000円で売り上げ、代金は掛けとした。
【本社側の仕訳】
(売掛金)28,000/(売上)28,000
(売上原価)20,000/(製品)20,000
【工場側の仕訳】
仕訳なし
レアなケースとして、工場から直接、取引先に納品するパターン(製品勘定は本社のみ)も取り上げます。
工場では製品勘定が使えないため、仕掛品をすぐに本社に納入したこととします。そして、本社が代わって売上原価と売上の仕訳を行います。
例)工場は、製品20,000円を28,000円で本社の得意先に売り上げ、代金は掛けとした。
【本社側の仕訳】
(売掛金)28,000/(売上)28,000
(売上原価)20,000/(製品)20,000
【工場側の仕訳】
(本社)20,000/(仕掛品)20,000
以上で、日商2級の工業簿記の範囲は終了です。商業簿記はまだまだ残っていますので、そちらを引き続きやっていきたいと思います。
工業簿記については、今すぐではないですが、全経1級の範囲に突入予定です。