ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

154回日商簿記2級の解答について~第2問 商品売買①~

順番でいけば第3問なのですが、今回のメインディッシュたるものですので、第2問を先に説明いたします。なお、少し長いので2回に分けてやっていきたいと思います。

 日商商事株式会社(会計期間は1年、決算日は3月31日)の2019年4月における商品売買及び関連取引に関する次の[資料]にもとづいて、下記の[設問]に答えなさい。なお、払出単価の計算には先入先出法を用い、商品売買取引の記帳には、「販売のつど売上原価勘定に振り替える方法」を用いている。また、月次決算を行い、月末には英米式決算法によって総勘定元帳を締め切っている。

[資料] 2019年4月における商品売買および関連取引

4月1日 商品の期首棚卸高は、数量500個、原価@¥3,000、総額¥1,500,000である。

4日 商品200個を@¥3,100で仕入れ、代金のうち¥150,000は以前に支払っていた手付金を充当し、残額は掛けとした。

5日 4日に仕入れた商品のうち50個を仕入先に返品し、掛代金の減額を受けた。

8日 商品450個を@¥6,000で販売し、代金は掛けとした。なお、この掛けの代金には、1週間以内に支払えば、代金の0.1%を割り引くという条件が付されている。

10日 商品200個を@¥3,200で仕入れ、代金は手許にある他人振出の約束手形を裏書譲渡して支払った。

12日 8日の掛けの代金が決済され、所定の割引額を控除した金額が当座預金口座に振り込まれた。

15日 商品300個を@¥3,300で仕入れ、代金は掛けとした。

18日 商品420個を@¥6,300で販売し、代金は掛けとした。また、当社負担の発送運賃¥8,000は小切手を振り出して支払った。

22日 売掛金¥800,000の決済として、電子記録債権記録機関から取引銀行を通じて債権の発生記録の通知を受けた。

26日 得意先に対して¥10,000の割戻しを行うことになり、当座預金口座から得意先の当座預金口座に振り込んで支払った。

30日 月次決算の手続として商品の実地棚卸を行ったところ、実地棚卸数量は280個、正味売却価額は@¥5,500であった。

[設問]

問1 答案用紙の売掛金勘定および商品勘定への記入を完成しなさい。なお、摘要欄への記入も行うこと。

問2 4月の純売上高および4月の売上原価を答えなさい。

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 第2問の商品売買の問題は、簡単な商品有高帳のようなものを作成しなければ解けません。こちらでは、T字勘定の商品ボックスを使って解いていきます。

今までの過去の解説でも申し上げましたが、配られたメモ用紙に一生懸命書いている状態では0点ですから、答えがわかった都度解答用紙に記入していきましょう。

それでは日付順に再度問題を添えて解説していきます。

問1 各総勘定元帳への記入

4月1日

商品の期首棚卸高は、数量500個、原価@¥3,000、総額¥1,500,000である。

この期首棚卸高をまず、メモ用紙の商品ボックスに記入していきます。

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商品有高帳のように使用するので、すべて原価で記入します。仕入れたときは借方に、売り上げたときは貸方に記入します。

商品ボックスに記入したら、解答用紙の該当箇所に転記します。

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4月4日

商品200個を@¥3,100で仕入れ、代金のうち¥150,000は以前に支払っていた手付金を充当し、残額は掛けとした。

解答に必要なデータは、商品の仕入の部分だけです。「代金のうち~」は総勘定元帳の摘要欄に関係しますが、書いている内容から「諸口」だと判断できればOKです。

商品:@3,100×200個=620,000円

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解答には特に必要ありませんが、参考のために仕訳を示しておきます。

【仕訳(参考)】

(商品)620,000/(前受金)150,000

        /(買掛金)470,000

4月5日

4日に仕入れた商品のうち50個を仕入先に返品し、掛代金の減額を受けた。

先入先出法とは関係なく、4日の在庫について返品を行ったことに注意です。また、「掛代金から減額」なので、摘要欄には「買掛金」が入ります。

商品:@3,100×50個=155,000円

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単価ごとに払出後の在庫を記入しておくとわかりやすくなります。

【仕訳(参考)】

(買掛金)155,000/(商品)155,000

4月8日

商品450個を@¥6,000で販売し、代金は掛けとした。なお、この掛けの代金には、1週間以内に支払えば、代金の0.1%を割り引くという条件が付されている。

売上:@6,000×450個=2,700,000円

商品:@3,000×450個=1,350,000円

先入先出法なので、前月繰越の在庫から払い出します。「なお、この掛けの代金~」の文章は、12日の情報なので、無視します。

また、売上原価対立法(販売の都度売上原価に振り替える方法)のため、減らした商品を売上原価にすぐ振り替えます。したがって、摘要欄は「売上原価」となります。

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【仕訳(参考)】

売掛金)2,700,000/(売上)2,700,000

(売上原価)1,350,000/(商品)1,350,000

4月10日

商品200個を@¥3,200で仕入れ、代金は手許にある他人振出の約束手形を裏書譲渡して支払った。

商品:@3,200×200個=640,000

一度受け取った約束手形を裏書して使ったので、摘要欄には「受取手形」が入ります。

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【仕訳(参考)】

仕入)640,000/(受取手形)640,000

4月12日

8日の掛けの代金が決済され、所定の割引額を控除した金額が当座預金口座に振り込まれた。

8日の「なお~」の0.1%の割引きが適用されます。ですが、当座預金の総勘定元帳はないため、この部分も無視することとなります。また、「売上割引」は営業外費用のため問2の純売上高や売上原価算定にも影響しません。

その結果、単純に8日分の売掛金が全額減るだけのことです。摘要欄は「諸口」となります。

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【仕訳(参考)】

売上割引:2,700,000×0.1%=2,700円

(売上割引)2,700/(売掛金)2,700,000

当座預金)2,697,300/

 

次回は15日からとします。