ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

本社工場会計その1

商業簿記では本支店会計という似たようなシステムが出てきます。工業簿記の方が簡単ですから、ここで感覚をつかんでいきましょう。

本社工場会計とは、本社と工場の会計を独立させるシステムのことをいいます。本試験では、本社と工場に存在する勘定科目を把握し、それぞれの立場で仕訳を行うことになります。主に製造関連のものは工場で仕訳をし、お金の決済や設備管理に関するものは本社で仕訳を行います。

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一般的なパターンです。

本試験において本社工場会計は、ほぼ仕訳問題です。通常は仕訳問題が5問(各4点、計20点)となっています。

これから具体例を順次進めていきますが、1つだけ注意点があります。本社の科目や工場の科目は大体決まっています。しかし、問題によって変わる科目が1つだけあります。それが製品勘定です。

製品を保管する倉庫は、通常、工場にあることになっていますが、場合によっては本社にあったり、どちらにもあったりします。製品勘定がどちらの科目なのかは事前に把握しておく必要があります。

材料を購入したとき

例)本社は材料10,000円を掛けで仕入れ、工場は材料倉庫に受け入れた。

材料を購入したときは、代金の支払いは本社が行い、材料の受入れは工場が行います。

そして、本社が材料を仕入れ、工場に送った場合には、相手科目に工場勘定を使います。感覚的にその部署が得をしたときは借方に、損をしたときは貸方に記入します。

まずは、本社側の仕訳です。本社は10,000円の掛仕入をしているので、買掛金が増加します。

(???)10,000/(買掛金)10,000

そして、工場がタダで材料を取得したので、工場勘定を借方に記入します。

【本社側の仕訳】

(工場)10,000/(買掛金)10,000

つぎは、工場側の仕訳です。工場が材料を受入れ、代金は本社が支払う場合には、相手科目に本社勘定を使います。

工場が、10,000円分の材料を受け取っているので、材料が増加します。

(材料)10,000/(???)10,000

そして、本社が代金を支払っているので、本社勘定を貸方に記入します。

【工場側の仕訳】

(材料)10,000/(本社)10,000

本社側の工場勘定工場側の本社勘定は、貸借逆の形で金額が一致します。工業簿記は仕訳問題だけですからあまり重要視しませんが、商業簿記ではかなり重要なものですから今のうちに覚えておきましょう。

工場で材料を消費したとき

例)工場は材料8,000円(直接材料費6,000円、間接材料費2,000円)を消費した。

工場内での作業は、本社にとっては関係ない話です。したがって、工場だけ仕訳を行いします。本社側を問われたときは、「仕訳なし」と解答用紙に大きく記入しましょう。

【本社側の仕訳】

仕訳なし

【工場側の仕訳】

(仕掛品)6,000/(材料)8,000

(製造間接費)2,000/

工場で賃金を消費したとき

例)工場は賃金10,000円(直接工7,000円、間接工3,000円)を消費した。

工場で賃金が発生したときは、工場側での仕訳をするとともに、未払賃金として、本社側が処理します。

【本社側の仕訳】

(工場)10,000/(未払賃金)10,000

【工場側の仕訳】

(仕掛品)7,000/(本社)10,000

(製造間接費)3,000/

本社で賃金を支払ったとき

例)本社で賃金10,000円を現金で支払った。

工場側では既に処理が終わっていますので、何もしません。本社側が処理をするだけです。

【本社側の仕訳】

(未払賃金)10,000/(現金)10,000

【工場側の仕訳】

仕訳なし

減価償却費を計上したとき

例)工場機械装置の減価償却費について、5,000円(月額)を計上した。

工場においては、減価償却製造間接費となります。本社側では減価償却累計額で処理します。ここではどちらが損得かが考えにくいところでもありますので、形で覚えてください。

【本社側の仕訳】

(工場)5,000/(減価償却累計額)5,000

【工場側の仕訳】

(製造間接費)5,000/(本社)5,000