ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

連結会計その5~連結精算表の作成~

連結会計の最後は、連結精算表の作成です。本当はその後に連結財務諸表の作成がありますが、内容がほとんど被ってしまうため、本試験で出てきたときに解説できればと思っています。

今回は、いよいよ過去2回にやった開始仕訳と連結修正仕訳から、連結精算表の解答用紙に記入していく作業となります。

ということで、解答用紙をアップします。

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上の解答用紙は、これからの解説のためにわかりやすく色分けしています。

この連結精算書は、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、株主資本等変動計算書(S/S)の3つのパーツで構成されています。

さらに連結精算書は、借方がカッコなし、貸方がカッコありになっています。8桁にすると問題用紙が横長になってしまいますから、コンパクトにまとめています。

今までとは違うので、計算に慣れないとヨコ計算するだけでミス多発になってしまいますので、ご注意ください。

あとは、ピンク、青、緑の行がありますが、進めて行った時にわかると思います。

最初は開始仕訳から

まずは、最初の開始仕訳を解答用紙に記入していきます。

【開始仕訳】

(資本金当期首残高)300,000/(S社株式)300,000

(資本剰余金当期首残高)80,000/(非支配株主持分当期首残高)192,000

(利益剰余金当期首残高)58,000/

(のれん)54,000/

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利益剰余金非支配株主持分は、貸借対照表ではなく、株主資本等変動計算書に記入します。解答用紙によっては、資本金や資本剰余金もこちらから先の場合があります。

資本金と資本剰余金について株主資本等変動計算書に「○○当期首残高」や「○○期首残高」とあるものは、そちらから先に記入します。無いときは、貸借対照表に直接記入することとなります。

連結修正仕訳

こちらも同様に解答用紙に記入します。

【連結修正仕訳】

①のれんの償却

(のれん償却)6,000/(のれん)6,000

②子会社の当期純利益の振り替え

(非支配株主に帰属する当期純利益)72,000/(非支配株主持分当期変動額)72,000

③子会社の配当金の振り替え

営業外収益)30,000/(配当金)50,000

(非支配株主持分当期変動額)20,000/

④内部取引高の相殺控除

(売上高)660,000/(売上原価)660,000

⑤債権債務の相殺控除

(買掛金)100,000/(売掛金)100,000

⑥未実現利益の消去

(売上原価)10,000/(商品)10,000 

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実際の試験では前回の仕訳と同時作業で行います。開始仕訳が終わったら解答用紙にすぐ書き込みましょう。

ここで採点のポイントがあります。

①修正・消去欄は採点箇所にはなっていない。

大体、問題文に記載されています。

②したがって、一番右端の連結財務諸表欄だけが採点箇所となっている。

③右端でも貸借対照表の各合計については採点箇所ではない。

④右端の当期純利益も採点箇所としては可能性が低い。

すぐ下に親会社と子会社の当期純利益の内訳となっているため、そちらの方が採点箇所となっていることが多いと思います。

これが終わったら、集計作業をして各パーツの完成となります。ここには解く順番があって、損益計算書株主資本等変動計算書貸借対照表の順となります。

上から順番に完成させることができない仕組みとなっており、まるでクロスワードパズルのように解いていかないとならない訳です。

連結損益計算書の完成

まずは、連結損益計算書の部分の計算を行っていきます。

修正・消去欄が完成したら、当期純利益欄に合計を記入します。

それから、個別財務諸表の合計から修正消去欄を差し引きして連結の当期純利益を記入します。

連結の当期純利益:220,000(P社)+180,000(S社)-706,000(修正・消去借方)+660,000(修正消去貸方)=354,000

下2行は、親会社と非支配株主持分の配分内訳となります。非支配株主持分は72,000となっていますので、親会社はそれを差し引いた282,000となります。

この時点で連結損益計算書は完成となりますが、よく見ると株主資本等変動計算書に同じ勘定科目が配置されています。そこで、連結損益計算書親会社に帰属する当期純利益の数字を、そのまま株主資本等変動計算書の同じ欄にスライドします。

色分けした部分はワープ箇所になっています。ピンクはピンク、青は青、緑は緑に同じ数字が入るのです。これが上から順番に解答できない理由となります。

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連結株主資本等変動計算書の完成

続いて、株主資本等変動計算書の計算に入ります。

利益剰余金期首残高(貸方):160,000(P社)+100,000(S社)-58,000(修正・消去欄借方)=202,000

配当金残高(借方):親会社の分の140,000のみ

利益剰余金期末残高:202,000-140,000(配当金)+282,000(親会社~)=344,000

この数字は、上の連結貸借対照表の利益剰余金(青)にスライドします。

同じように非支配株主持分も計算します。

期首残高:192,000

当期変動額:72,000(修正・消去欄貸方)-20,000(同借方)=52,000(貸方残高)

期末残高:192,000+52,000=244,000(貸方残高)

この数字は、上の連結貸借対照表の非支配株主持分(緑)にスライドします。

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連結貸借対照表の完成

あとは普通通りに貸借対照表の借方及び貸方を埋めれば完成となります。

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一応検算のために合計を記入していますが、記入しなくても構いません。

 

以上で連結会計は終了しました。あとは製造業の貸借対照表の問題と、サービス業の損益計算書日商サンプル問題を使って解説しようと思いますが、こちらの方は7月か8月頃に掲載する予定です。

11月予定の2級・3級を受験しようと思っている方は、是非、今までの記事を参考に一発合格を目指してください。