経理の仕事をしていなくても、伝票という言葉はよく耳にすると思います。一般的には、伝票というと取引の内容が紙に書かれているものをいいます。そのため、請求書や納品書、領収書などもすべて伝票と呼んでいる企業もあります。
ところが、簿記上の伝票とはもっと狭い意味合いで使われます。簿記上の伝票とは、仕訳帳の代わりに取引を記入する用紙のことをいいます。そのため、伝票会計を採用している場合には、取引の都度、伝票を記入し(起票)、総勘定元帳に転記します。
伝票会計は、三伝票制と五伝票制がありますが、ここでは三伝票制の説明をしていきます。
三伝票制は、取引を入金取引、出勤取引、それ以外の取引に分けて起票するものです。
それぞれ、入金伝票、出金伝票、振替伝票を使用します。
入金伝票
入金伝票には、入金取引を使用します。したがって、以下の仕訳のパターンのときに入金伝票を使用します。
(現金)×××/( )×××
仕訳の借方は現金で決まっていますから、伝票の科目欄には貸方の勘定科目を記入します。
簿記の試験では、日付・科目・金額だけの簡略したものが出てきます。
例)4月1日 当座預金から現金10,000円を引き出した。
出金伝票
出金伝票には、出金取引を使用します。したがって、以下の仕訳のパターンのときに出金伝票を使用します。
( )×××/(現金)×××
仕訳の貸方は現金で決まっていますから、伝票の科目欄には借方の勘定科目を記入します。
例)4月5日買掛金5,000円を現金で支払った。
振替伝票
振替伝票には、入金伝票や出金伝票にも該当しない取引を記入します。記入方法は仕訳帳と同じです。
一部現金取引の起票
市販されている伝票には複数記入できるようになっていますが、簿記の試験では、なぜか伝票の記入欄は1行分しかありません。
そのため、2行になってしまう取引を記入するには、2通りの方法があります。次の取引を例に説明します。
例)4月9日商品22,000円を仕入れ、代金のうち5,000円は現金で支払い、残額は掛けとした。
①取引を分解する方法
こちらは、ただ単純に以下のとおりの仕訳を伝票に起票すればよいだけです。
(仕訳)
(仕入)5,000/(現金)5,000 ←出金伝票を使用
(仕入)17,000/(買掛金)17,000 ←振替伝票を使用
②いったん全部掛け取引にする方法
この方法は、いったん掛け取引で起票してから、その掛けを現金で決済したことにする方法です。
(仕訳)
(仕入)22,000/(買掛金)22,000 ←振替伝票を使用
(買掛金)5,000/(現金)5,000 ←出金伝票を使用
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