ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

未収入金と未払金、前受金と前払金

今回は、代金の後払い決済や、手付金などの先払いについてのお話です。

商品を後で受け取ったり、支払ったりする約束をすることを、掛け取引といいました。

使う科目は、売掛金(資産)、買掛金(負債)です。

一般的に建物や備品を購入するときには、継続的な取引先とはいえないので掛け取引とはいいません。そのため、売掛金や買掛金は使えません。

したがって、商品(本業)以外のものを売買したときには、別の勘定科目を使います。

未収入金と未払金

建物や備品、車両運搬具などを後払いで取引したときには、後で代金を受け取る権利が発生する方は、未収入金(資産)として、後で代金を支払う義務が発生する方は、未払金(負債)として処理します。

※まだ払っていないということで「」を使います。

 

例)事業用車(取得原価:500,000円、減価償却累計額220,000円)を200,000円で売却し、代金は月末に受け取ることとした。

減価償却累計額)220,000/(車両運搬具)500,000

(未収入金)200,000

(固定資産売却損)80,000

このような固定資産の売却の問題で、よく出題されます。復習として問題を出してみましたが、正解できたでしょうか?

例)土地(取得原価:1,000,000円)を購入し、代金は諸経費30,000円とともに、月末に支払うこととした。

(土地)1,030,000/(未払金)1,030,000

 

ところで、土地が出てきたので思い出しましたが、土地には減価償却はありません

土地は、年々すり減ったり、摩耗したりすることはないからです。そのときの土地の状況、環境によって、地価が値下がりもしますが、値上がりすることもあります。

したがって、売買するときは、売却益や売却損は出たりしますが、減価償却のことは一切考慮する必要はありません。

前受金と前払金

今度は先払いの話です。こちらについては、商品・商品以外に関わらず、代金の一部を内金や手付金として、先払いをする場合があります。

手付金として受け取ったときは、あとで商品売買などに充当しなければならない義務が発生しますので、前受金(負債)として処理します。

手付金として支払ったときは、あとで商品売買などで充当してもらえる権利が発生しますので、前払金(資産)として処理します。

※事前に支払う(受け取る)ということで、「」を使います。

 

例)マーズ文具店は、アルファマートより商品50,000円を注文し、内金として10,000円を現金で支払った。

*マーズ文具店の仕訳*

(前払金)10,000/(現金)10,000

*アルファマートの仕訳*

(現金)10,000/(前受金)10,000

 

例)先に注文した商品を仕入れ、先に支払った内金を除いた、残額については掛けとした。

*マーズ文具店の仕訳*

仕入)50,000/(前払金)10,000

        (買掛金)40,000

*アルファマートの仕訳*

(前受金)10,000/(売上)50,000

売掛金)40,000

 

注意点は、商品を注文した段階では、商品を受け取っていません。そのため、前払金(前受金)勘定を使わず、仕入(売上)で計上してはいけません。

おまけ

行政書士などの士業は、専門サービス業になります。サービスの提供としながらも、依頼に基づいた書類を作成して依頼人に渡すので、この書類は商品になります。

ここで問題です。業務を依頼された場合の売上の計上時期は、次のいずれでしょうか?

①業務委任契約を結んだとき

②契約書や遺言書などの商品を依頼人に納品したとき

③報酬を受け取ったとき

 

 

まず、①は簿記上の取引とはいいません。これは4月2日の記事を参照してください。

 

polytech-mk.hatenablog.com

 次に②ですが、商品を依頼人に実際に渡しています。モノの受け渡しが行われていますので、ここで計上するのが正解です。

*仕訳例*

売掛金)×××/(売上)×××

最後の③は、もうおわかりですよね。依頼人から売掛金を受け取ったことになります。

*仕訳例*

(現金)×××/(売掛金)×××

間違いやすいのは、②と③です。とりあえず、期中に入金されていれば、問題はないのですが、12月29日に納品して、翌1月4日に入金されたときは、会計年度が違いますので、この年度替わりだけは気を付けてください(個人事業主の会計年度は1月1日~12月31日)。ただ、普段からこのように仕訳のクセをつけていれば、失念することはありません。

また、一応本業なので、未収入金ではなく売掛金で処理することも忘れずに…。

そして、契約時に手付金として報酬の一部を受領したときは前受金として処理します。決して売上計上しないように気をつけましょう。