電子記録債権・債務のシステム
平成20年頃から、企業が保有する手形や売掛債権を電子化し、インターネットで取引できるようにして、紙媒体の手形に代わる決済手段として、このシステムができました。このシステムを導入するメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット
①紛失や盗難の防止になります。
②登録した売掛債権は、分割して譲渡することができます。
③決済日に自動的に指定口座から引き落としや入金になるので、銀行に取立依頼をする手間が省けます。
④手形振出しなどにはコストや手間がかかります。そのため、事務効率も改善されます。
デメリット
①こちらが電子記録債権を使いたくても、取引先が電子債権記録機関に登録していないと使えません。
②導入の際に勘定科目が変わるので、慣れるまでに時間がかかります。
電子記録債権・債務の処理
売掛金を電子化したものが、電子記録債権(資産)となり、買掛金を電子化したものが電子記録債務(負債)となります。売掛金と買掛金を理解していれば、名前が違うだけなので、簿記的にはさほど難しい論点ではありません。
電子記録債権の譲渡については、2級の範囲となりますので、今回は割愛いたします。
例)次の一連の取引をそれぞれの立場で仕訳しなさい
①マーズ文具店より商品50,000円を掛けで仕入れた。
②上記の掛け代金全額について、取引銀行を通じて電子記録債権の発生記録を行った。
③支払期限が到来したので、普通預金口座を通じて決済された。(マーズ文具店側は普通預金口座に入金された。)
*当社の仕訳*
①(仕入)50,000/(買掛金)50,000
②(買掛金)50,000/(電子記録債務)50,000
⇒この仕訳により、買掛金から電子記録債務に勘定科目が変わります。
③(電子記録債務)50,000/(普通預金)50,000
*マーズ文具店の仕訳*
①(売掛金)50,000/(売上)50,000