商品売買と違って、学習塾や美容院などのサービス業は、形のないものを提供して収益を得ています。このサービスのことを役務といいます。
今回は、サービス業の取引についてみていきます。
サービス提供に先立って前金を受け取った場合
手付金や前金などの名称で事前に代金を受け取った場合は、前受金(負債)で処理します。
例)個別指導のマーズオフィスは、来月の受講料として5,000円を現金で受け取った。
(現金)5,000/(前受金)5,000
サービス提供にあたって費用を支払った場合
費用の計上がサービスの提供に使われたものとして明らかな場合は、仕掛品(資産)で処理をします。一方、不明な場合は、いったん費用の勘定科目で計上し、その後明らかになったときに仕掛品(資産)に振り替えます。
例1)講座に使用する教材作成費(用紙やインク代)200円を現金で支払った。なお、当該費用はサービスの提供に直接費やされたものであることが明らかである。
(仕掛品)200/(現金)200
例2-1)講座に使用する教材作成費(用紙やインク代)1,500円を現金で支払った。
(消耗品費)1,500/(現金)1,500
例2-2)上記の消耗品費のうち700円が来月の受講に直接費やされるものであることが明らかであることが明らかとなったため、これを仕掛品勘定に振り替える。
(仕掛品)700/(消耗品費)700
サービス提供が終了した場合
講座の提供が終了した場合は、前受金(負債)で処理した金額を役務収益(収益)に振り替えます。また、仕掛品(資産)で処理していた金額を役務原価(費用)に振り替えます。
例)今月分の講座が終了し、先に受け取っていた受講料5,000円を役務収益に振り替える。また、講座にかかる費用700円は仕掛品で処理している。
(前受金)5,000/(役務収益)5,000
(役務原価)700/(仕掛品)700
講座の終了が決算日をまたぐ場合
講座が長期間に及ぶなど決算期をまたいでサービスを提供する場合は、サービス提供の進捗度に応じて収益を計上します。
また、月次決算を行っている場合で月をまたぐ場合なども同じ処理をします。
例)決算日現在、講座(6か月間)の8割が終了している。なお、受講料30,000円は先に受け取っており、前受金で処理している。また、講座にかかった費用6,000円は仕掛品で処理している。
決算日の進捗度(80%)に応じた役務収益と役務原価の計上をします。
役務収益:30,000×80%=24,000
役務原価:6,000×80%=4,800
*決算時の仕訳*
(前受金)24,000/(役務収益)24,000
(役務原価)4,800/(仕掛品)4,800
全ての講座が終了した場合は、残りの2割分について、それぞれ振り替えます。
*全講座終了時の仕訳*
(前受金)6,000/(役務収益)6,000
(役務原価)1,200/(仕掛品)1,200
7月入ってぼちぼち仕事が舞い込んできています。3級も終了し、2級に入ったところでこれから平日以外は掲載お休みにいたします。よろしくお願いいたします。